神様のお客様押しかける。
結局お腹いっぱい食べてしまった・・。
トト君はお弁当を片付けると、クロさんはコロッと寝転がる。
・・白虎さんって、猫科だから?
まぁ、でもここ・・気持ちいいもんね、わかる・・。
爽やかな風に、水面がキラキラ光ってすごく綺麗・・。
「足って、付けてもいいのかな・・」
ボソッというと、トト君の目がキラッと光る。
「入れますよ〜、そこを少し下った所に浅い所があります」
「え?そうなの?」
「一緒に行きますか?」
「ちょっと・・行ってみたいかも」
綺麗なあの水面を見ているのも楽しいけど、足を入れてみるのも楽しそうだな・・って思ったら、ちょっとワクワクしてしまう。
「・・・・・トト」
クロさんがいつの間にか起きて、じろっと見てる。
あああ、すみません・・もうちょっと休みたいですかね・・?
「クロさん、気にせず休んでて大丈夫ですよ?」
私がクロさんにそういうと、じろっと睨む。あ。すみません・・私ごときが生意気でしょうか?シュルッと音がして私の手首を掴む。
「・・・溺れる」
「浅い所、みたいですし・・大丈夫ですよ?」
クロさんは、のっそりと起きて私の手首を掴んだまま立ち上がった。
「・・行くぞ」
「す、すみません・・」
じとっと見つつ一緒に行ってくれるのは優しいな・・。
うん、そう思っておこう・・。前を嬉しそうにトト君が歩いて行く。それをゆっくりついて歩いて行く私達って、なんか・・・なんかこれって・・・
「・・なんか親子みたいですね・・」
ポツリと呟いてから、わ!!なんか恥ずかしい事言ったな?って思って、
「あ、すみません・・なんか変な事を言いました・・」
そう言いつつ、クロさんは平然としてるかと思いきや、顔がなんか・・赤い?おやぁ・・?ちょっと覗き込もうとすると、空いてる手でグリッと前を向かせられた。痛い。
「・・前向いて歩け」
低い声にそう言われたら、前を向きます。
「はい・・」
気のせいだったかな?
トト君は浅い場所に足をつけて、「冷たいですよー!」って呼ぶから、私はそわそわしてしまう。クロさんは近くまで来ると、そっと尻尾を離してくれて、私が水に入ると浅瀬の淵に座る。プールの監視員みたいだな・・。
「たえさん!こっち、魚が見えます!」
「え、どこどこ・・?」
冷たい水は、やっぱり綺麗で・・入っているだけでテンションが上がる。
トト君に言われた場所へ行こうと歩いていくと、水面の上に光がチカチカと見えた。
・・あれ?水面?ふと上を見ると、チカチカと光があって、
「・・あれ?昨日、見た・・」
そう言いかけた途端、
バシャン!!!!!
大きく水しぶきをあげて、水の中に大きな音と共に誰かが降りてきた。えーっと、降りてきた??ポカーンと降りてきた人を見ると、トト君は尻尾が思いっきり広がっている。
「あ、あ、あ、貴方という人は・・!!!!!」
水の中には黄色の淡い髪の色をしたショートカットの女の子が立っている。
え?女の子・・??中学生くらいかな?
星の飾りがついた服を着ていて、可愛い・・。
女の子は、キッと私を睨む。え、と・・・?
「・・・あんたね!!」
「あ、この声・・」
昨日、クロさんに好きって言ってた子・・かな?
クロさんが、水の中に入って私の後ろへ来た。
「お前な・・、スミにちゃんと言って来たのか?」
女の子はギクッとした顔をして、目を逸らす。・・・・すごくわかりやすい子だ。
「俺ぁ、当分寄越すなっつったぞ?」
クロさんが左隣にいるんですが、圧・・圧が凄い・・・。私は顔が見れず、縮こまるばかりだ・・。この低い声に、女の子は気にせず私を見る。
「だって、顔見たかったんだもん!」
「もーーー!!!!アス!!貴方って人は、どうしてこう図々しいんですか!!クロ様が優しいからって、調子に乗りすぎです!!早く帰りなさい!!!」
「猫、うるさーい!」
「クロ様〜〜〜!!!!!」
・・・おお、なんか凄いな・・このシチュエーション・・。
はぁって、大きなため息が聞こえて、そっとクロさんを見ると大変面倒臭そうな顔になっている。クロさんは、私と目が合うと、ちょっとだけ私の頭を撫でた。
思わずドキっとすると、
「ずるい!!!私もー!!!!!」
と、大変元気のいい声が湖中に響いた・・。元気だなぁ。




