神様と公園。
クロさんに、じろっと見られてドキッとする。
ときめき・・のドキではなくて、怒られる?!のドキですよ・・。
おかしい、好きなはずなのに・・なぜ、こうも威圧感とオラオラ感がすごいんだろう・・。
「お、お待たせ・・しました」
小さい声で話しつつ、そろっとクロさんの顔を見上げる。
できれば怒られませんように・・。
クロさんは、真っ白なロングシャツに紺の帯を緩く腰に巻きつけていた。おお・・、似合うな・・・。ジャラジャラはすごいけど。
「おぅ」
そういうと私の側へ来て、手を差し出す。
思わず手を見てから、クロさんを見上げる。
「・・お前、はぐれんだろ」
「あれは、私のせいではないんですが・・」
つまり・・手を繋ごうという意味ですよね・・?
そっと手を重ねると、大きな手がぎゅっと握ってくる。ううう、これ本当に心臓に悪いな・・。私の手も熱いと思うけど、クロさんの手も熱い。
トト君は、そんな私達をニコニコ見て、
「いってらっしゃいませー!!!」
と、笑うから・・、私はトト君も一緒に行こうって言いたかった・・。緊張するよー!!!
クロさんは、無言で私の手を引いて、庭園へ行く。
「て、庭園から行くんですか?」
「おぅ」
そういうと、クロさんは私の体を少し自分に寄せる。
顔が赤くなるんですけど・・、転移ですかね?
足元が淡く光って、水が私たちの体を包む。怖くないけど、思わず目を瞑ってしまう。
バシャン・・
水の音がしてから、そっと目を開ける。
「うわぁ・・・・」
目の前に碧い湖が広がっている。
湖の両脇には、木が多い茂っている高い崖があって、滝だろうか・・奥から水が流れ落ちている。
小さな橋が、湖の上に繋がっていて歩いていけるようだ。
「このラダの一番デカイ公園だ」
「公園なんですか?!」
思わず聞いちゃったよ!こんな規模の大きい公園なんて、自分の知っているものと全然違う。
「街は、うるせぇ」
「・・・人混み、嫌いな感じですもんね・・」
小さく笑うと、クロさんがじっと見る。
え?責めていませんよ・・??
「・・・行くぞ」
「あ、はい」
橋の上を歩いて行くと、大きい湖や小さい池くらいのサイズもある。木が湖の中に沈んでいるけれど、水がものすごく透明なので、底まで見えるので幻想的だ。
滝もいくつもあって、葉っぱや木々が水に濡れて、キラキラ光っている。
「クロさん・・・、すっっごく綺麗です!!!こんなの初めて見ました〜〜〜!!!」
歩くたびに、水面がキラキラ光るし・・綺麗だし、感動しっぱなしである。水の神様の国だからこんなに綺麗なのかな?
「そうか・・」
クロさんは、私を見て小さく笑った。
ううう、その顔・・いきなりはやめて欲しいなぁ・・。
そっと目線を逸らして、周囲を見る。
こんなに綺麗な所・・嫌いになれないでしょ・・、気持ちのいい風が吹いてきて、目を細める。
「素敵な場所ですね・・、ここに住みたいくらいです」
「神殿、ここにもあるぞ」
「え?そうなんですか?!」
思わず笑顔でクロさんを見ると、尻尾が手首に巻きついてきた。
ん???尻尾??私、落ちそう?
不思議に思ってクロさんを見上げると、じとっと見られた。あ、すみません・・また何かやっちゃいました?
「・・・住ませないぞ」
「あ、はい、それは・・・もう・・・」
クロさんの一言で、理解しました。
今日は熱もないですし、すぐに理解しました。
俯いて顔が赤くなった私が水面に映る。
「水に映ってる」
「クロさん・・・、そこはあえて言わないで頂けると・・・・」
ぐうう・・・口を引き結んでいないと恥ずかしすぎて叫び出しそうだ。神様なのに、なんでそう心をピンポイントで突いてくるんだろう・・。
周囲の風景を楽しみたいのに、結局しばらくは水面に映る自分の赤い顔を見ていたように思う・・。
風景・・見たいのにーーー!!!!




