一般人支度しました。
クロさんへの気持ちを自覚したとはいえ、ズーンと音が出るような威圧感はすごい。
・・・どうして、この人神様なのにこんなに圧があるのだろう。
神様って、柔和なイメージだったけど、こっちへ来てからことごとくイメージが壊され、破られている気がする。
朝食を一緒に食べているが、昨日は光っていた前髪はいつも通りで、
嬉しいような・・そう感じる自分にちょっと複雑だったり・・。
クロさんは私をじっと見て、
「顔、何か忙しそうだな」
「え?!何かありました??」
自分の顔を触ってみるけど、・・・特に何も違和感はない。
クロさんは小さく笑って私を見る。
・・クロさん、だいぶ笑ってくれるようになったな・・。最初はこう眉間のシワとか、圧がもっと凄かったのに・・。よかった・・ボスの表情が柔らかくなって・・と、仮にも好きな人のはずなのに私はしみじみ思ってしまった・・。
「今日、出かける」
「あ、そうなんですね」
「行くか?」
「へ?」
「・・・外」
「・・・ええと、街・・とかですか?」
クロさんは、小さく頷く。
そう言われてみると、この間のノアルさんの街を歩くだけで、クロさんの街は出た事がない事に気付いた。え、全然外出してないな・・私。
「もし、いいのなら・・」
そっとクロさんに聞いてみると、クロさんは静かに笑う。
・・・・あ、その顔・・結構心臓に悪いです・・。
目を急に逸らすのも悪いかな・・と思って、そっと口辺りに視線を移すけど、あ、そこも恥ずかしいわ・・と、思って更に下へ視線を移す。なんか・・眼鏡とか欲しい。それかあれだ・・フードとか?仮面とか?ああ、頭がぐるぐるする。
クロさんが頭の上でまた笑った声が聞こえた。
ポンと手が頭の上に置かれた。
「トトに言っておく」
「・・・・・・・・・はい」
顔が真っ赤で頭が上げられない。
ボス・・、朝から甘くないですか?
私はまだ17なのにうっかり死んじゃうと思いますけど・・。
クロさんが、立ち上がった気配でようやく顔を上げた。
後ろ姿のクロさんはやっぱり大きい、いかつい。でも尻尾はゆらゆら揺れていて可愛い・・。ギャップ萌え、分かってきたような気がする。
私も支度した方がいいかな・・、そう思って立ち上がるとトト君がこちらへ駆けてきた。
「たえさ〜ん!おはようございます〜!」
「おはようトト君、あのね今日クロさんと出かける事に・・」
「はい!!伺ってます!!!可愛い格好して行きましょう!!!」
トト君の気合がすごい・・。ど、どうした・・???
「あ、ありがとう・・」
「なんといっても、この街をこの国を好きになって頂けたら嬉しいですし!!」
「あ、そうだね・・全然知らないから・・、でも、私ここは好きだよ?」
神殿を指差すと、トト君が嬉しそうにぎゅっと抱きついてくる。
ああ、可愛い〜〜!!朝からキュンとする!!
「僕も、大好きです!ずっとここにいて下さい!」
「トト君〜〜〜!!ありがとう〜!!」
二人でうふふーと笑いあっていると、ククがいつの間にか足の所にいた。え?いつの間に??
「クク・・、いつの間に・・」
私が驚いて下を見ると、トト君がククを見ながら私にまたぎゅっと抱きつく。
「えへへ〜!今は僕の番でーす!」
そう言うと、ククが尻尾でバシッとトト君の足を叩いた。
おう、クク・・そういうこともするんだ・・。思わず笑ってしまった・・。
そうして、トト君は満足したのか一緒に私の部屋へ行って、クローゼットからどこにあったの???っていう服を出してくれた。本当に淡い・・薄い桃色のワンピースだ。
「綺麗だね・・この色」
「はい!!これ、絶対着て下さい!!」
あ、はい・・もちろんですよ。トト君にはノーは言えない・・。圧と気合がすごいから・・。
着替えて部屋を出ると、クロさんがこちらをじろっと見る。
え、えーーと・・・何でしょうか・・・・???




