一般人ようやく気付く。
何とか頑張って昼食を食べ、絶賛私はお花の冠作り中だ。
目の前でボス・・こと、クロさんは私の横で目を瞑って寝そべっているが・・。
いいのでしょうか神様、お仕事などはないのでしょうか?
風がそよそよと気持ちいい・・確かにこれは眠たくなってしまうかも・・。
花の冠を籠に入れて、クロさんの前髪を見る。
声しか聞いてないけど、クロさんを私の方が好きって言える化身の子は・・すごいなぁ・・。私もそんな風に思える事、その内くるんだろうか。ダメだ・・、何だか自分で想像してみるけど、わからない・・。
キラキラ光る前髪は、なんだか「これは私のよ!」とでも言いたいようだと思えて・・、なんというか複雑だ。
クロさんは気にしてないみたいだけど・・、
それなら私も何も言えないし。
いや、何を言うんだ?
そんな事を考えていたら、なんだか眠たくなってきた・・。
なんというか、真面目に考えないと・・と、思うと眠くなるみたいだ・・。あっちにいる時は、忙しくて考える時間・・確かになかったかも。勉強に、生徒会に、家の事・・、何だか忙しかった。
ああ、こうやって時間がゆったり流れるの・・いいな・・。
そう思っていたら、すっかり眠ってしまったらしい。
気がついたら、私はクロさんの肩に頭を置いて寝ていた。
え・・?
いつの間に・・・???
「起きたか」
「す、すみません!!!すっかり眠ってました」
しかも夕方じゃない?!少し薄暗くなってる!!
急いで頭を離そうとしたら、クロさんの大きな手が頭を掴んで、肩にまた戻された。な、なぜーーー??!!!
「・・・まだ、少し休んでろ」
「え、でも・・」
「お前、疲れてんだろ」
「そ、そうなんでしょうか・・・?」
「熱出してたろ」
「あ、そういえば・・・」
なんだか色々起きたから、すっかり頭から抜け落ちてしまっていた・・。
だって!!告白されたり、キス・・とかされたり、神殿を移されそうになったり、ククがクロさんの化身だったり・・情報が山盛りすぎて・・すっかり忘れない?私は忘れちゃうと思います・・。
「何だか色々ありすぎて・・」
「そうだな」
「あの・・・重くありません?」
「・・・んなヤワじゃねぇ」
・・・確かに、この筋肉すごいですもんね。
とはいえ、ちょっとどころか、かなり恥ずかしいんだよね・・・。
どうにか離れられないかな・・、そう思っているとクロさんの前髪が淡く光って、光だけが空へと浮かんでいく。
「え?!光が・・?!!」
「まぁ、星の光だし・・」
「そ、そうなんですか?!」
「夜になれば、空に帰ってくだろ」
「へ、へぇえええ・・・・」
ダメだ・・。
神様の世界、訳がわからない・・。
ポカーンと口を開けて、クロさんの元に戻った前髪を見る。そんな私の顔を見て、クロさんは面白そうに私を見る。
「・・面白ぇ顔」
「いや・・、神様の世界が何だかよく分からなくて、空に帰っていくって分かってたから、そのままにしてたんですか?」
「・・無理に取ると、面倒くせぇ」
「そうなんですか・・、確かにちょっと淡く光ってて綺麗でしたね・・」
思わず、いつもの前髪をまじまじと見てしまった。
クロさんは、ちょっと目を開く。
「お前・・、気をつけろ」
「?何をですか?」
よく分からなくてクロさんをじっと見た。
「・・・・・何でもねぇ」
ちょっとクロさんが目を逸らすけど、何かしてしまったのかな?
「何か・・、気に触る事してしまいましたか?」
「・・違う」
「そうですか・・」
クロさんが、目の前の私をぐいっと自分の胸に引っ張る。ひえ!!?って、声にならない叫びを抑えつつ、クロさんの顔を見上げる。
「・・・近いと・・夢かと思う」
「げ、現実ですが・・」
「現実でも。星みたいに消えそうだ」
「・・消えないですよ」
まだ死にたくないし・・。
ククみたいにクロさんの頭を、そっと撫でてみた。
「おい・・」
「ちょっと安心するかな・・って・・、ダメでしたか?」
クロさんは、辛そうな・・でも、嬉しそうな・・複雑な顔をしていた。どっち?安心した?それとも不敬罪な感じ?じっと見る私を、クロさんはそっと私を抱きしめてきた。
「たえ」
「はい」
「消えるなよ」
「消えませんよ」
言葉は少ないのに、静かに想ってくれる気持ちが伝わってきて・・、胸が急に苦しくなる。そう想ったら、私・・クロさん好きだなって思った・・。同じくらいの量じゃないかもしれないけど、そばにいたいなって思った。
薄暗くなっていく空に星が光っていく。
まだ私は星にはなる予定はないので、クロさんを抱きしめ返してみた。消えないように、安心できるように。




