神様、大変そうです。
誰かが来たらしいが、クロさんはジロッと私を見て、
「ここで待ってろ、神殿には来るな」
「はい・・・」
命の惜しい私は、もちろんここにいますとも・・。
ボス・・こと、クロさんはそう言って水神殿の間に行った。
まぁ、先日襲われかけた上に熱まで出しちゃいましたしね・・。私は、軽くなった膝の上をちょっと見てから花を摘む。ちょっと・・寂しい・・かも?
すると、トト君がこちらへ歩いて来る。
「たえさ〜ん、良かったらお茶しませんか?」
「え?いいけど・・、お客さんは大丈夫?」
私がそう言うと、トト君は遠い目になる・・・。
「大丈夫です。たえさんは何にも気にしなくて大丈夫です」
「二回も大丈夫って・・、そんなに大丈夫じゃない感じ・・?」
「クロ様が追い払ってくれるので、大丈夫です」
ものすごく大丈夫って言われたけど・・、まぁ・・いいのかな?作っている途中の花を籠に入れて、私はトト君とサンルーム行く。
いつものテーブルにはお茶が用意されていた。本当にいつも思うけど、誰がやってるの???
「さ、どうぞたえさん」
「あ、ありがとう・・」
トト君が椅子を引いてくれた。
ここの神殿・・ジェントルマン必須なのかな?ちょっと照れ臭いけどお礼を言って座る。トト君が慣れた手付きでお茶を入れてくれる。温かいお茶は、飲むだけでホッとする・・。
しかも美味しい!!
「美味しいね〜・・、トト君今度、お茶の淹れ方教えて欲しいな」
「もちろんです!!クロ様も喜びます!!」
「あ、クロさんに淹れる前提なんだね・・。まぁ、でもお世話になってるし・・、ええとお願いします・・」
そう言うと、トト君は嬉しそうにニコニコ笑う。クロさんの事、好きなんだなぁ・・私までニコニコしてしまう。
と、ドカン!!!と大きな音がして、ビクッと体が跳ねる。
怒号・・も聞こえる・・???
「え??え?何??」
水神殿の方から聞こえた?
そちらを向くと、トト君が咄嗟に私の腕を掴む。
「え?何?トト君、大丈夫なの??神殿に行った方が・・」
「いえ、間違いなく今行ったら危険です!!」
「そ、そんなに?!!」
慌てて、また水神殿の方を見る、クロさん・・強そうだけど・・、大丈夫かな?思わず不安になる・・。
すると・・・
「「「「あたしの方が、クロの事好きなのに!!!」」」」
ものすっごい大きな声が聞こえた。
へ・・?
好き・・・??
私はトト君を見ると、トト君は思いっきりため息をつきながら顔を手で隠す・・。
「クロ様・・・」
「だ、大丈夫?トト君、しっかり?」
「すみません・・・たえさん・・・、もう本当に嫌だあの人・・・」
「と、トト君、しっかり!」
思わずトト君のそばに立って背中を撫でる。
と、水神殿に通じる外廊下の扉からクロさんが戻ってきた。
「・・・あれ?」
クロさんの前髪の一部が、白い淡い色をしている。
そんな髪だったっけ?
トト君がそれを見て、勢いよく立ち上がる。
「・・・あいつ!!!もーーーー怒った!!!怒鳴り込んできます!!!」
「と、トト君?!!」
いや、私はびっくりしてるんだけども・・何があった?オロオロしながら、トト君とクロさんを交互に見る。
「・・・ただ光をぶつけられただけだ・・」
クロさんがトト君の頭を乱暴に撫でた。
・・・怪我ではないのかな?
「お、お疲れ様です・・・?」
「・・・おぅ」
「お茶・・一緒に飲みますか・・?」
そう言うと、クロさんは小さく笑った。
おお、ボス・・大分笑ってくれるようになったなぁ・・。
そう感動している横で、トト君は「やっぱり一度殴り込みに・・」「武器も持っていく・・」と、大変物騒な事を言っている。え、これ大丈夫?そう思って、クロさんを見ると、トト君をもう一度乱暴に撫でていた。




