表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/112

神様、お客さんです。


クロさんの化身がククという真実を知って、私は若干死にそうだった。

いや、息はかろうじてしてるレベル。


クロさんは、仕事へ行くといってフラリといってしまったが、尻尾は機嫌が良いのか、ユラユラと揺れていた。


私はというと、花畑にククと一緒にいて・・、一体これからどうククに話せばいいのか・・大いに悩んだ。・・うん、気をつけて話をしよう、そうしよう。



「・・とりあえず、花の冠入れる籠をトト君からもらってこようかな?」


ククにそう話しかけると、ククはすくっと立って歩いて行く。

・・・複雑だ、すごく複雑だが・・、頑張れたえ!私は自分を鼓舞してクロさんの化身こと、ククについていった。


と、庭園の端っこでトト君が何か作業している。


「トト君!」


名前を呼ぶと、パッと私に振り返ってこちらへ急いで駆け寄ってくる。


「たえさん!!大丈夫でしたか!?こっちにいられますか?」

「う、うん・・クロさんにお願いして、いいよって・・」


告白された上に、キスまでされたのは絶対に秘密だ。絶対にだ。


トト君はそれを聞いて、すっごく嬉しそうに笑って、ぎゅっと私の腰に抱きつく。わわ、可愛い・・!!!


「良かったぁあ〜〜!!ずっといて下さいね!」

「ありがとうトト君・・」


そうだよね・・、来てからずっと一緒だったし、心配してくれたのかな・・そう思うと嬉しくて、私もそっと腕を回してみた。足元のククが、心なしか睨んでいるようだったけど。


「ええと、なのでトト君・・、こっちで過ごすのでこれからもよろしくね?」

「はい!!」


ピッカーと輝くような笑顔を向けてくれて、私は眩しいけれども嬉しい。そして可愛い・・。思わず頭をまた撫でてしまった・・。うん、とにかく頑張ろう。


「あ、そうだ・・花の冠を入れる籠を借りたかったんだけど、置き場所とか教えてくれるかな?いつもお世話になりっぱなしで悪いし・・場所も覚えたいし・・」

「たえさん〜〜!大好きです〜!!」

「トト君!!可愛い〜〜、私も好き!」


思わず告白大会になってしまった・・。

だって、可愛いんだもん!!

すると、足元にくるっと尻尾が巻きつく感覚がして、思わず下を見るとククが足元でじっと私を見ている。あ、そうでした・・。ククさんはクロさんの化身でした。


こほんと咳を一つして、


「とりあえず、場所を教えてくれる?」

「はい、そうでした。こちらです〜」


トト君はパッと離れて、用具入れから籠を出してくれた。

そうか、ここにあるのか・・覚えておこう。

お礼を言ってから、またお昼まで花の冠を作るべく花畑に行って、ちょうど良さそうな場所に座るとククが私の膝の上に座ってくる。

あ、甘えてきますね??


「・・・・クク・・」


ククは、私を見上げて緑の目でこちらを見る。

・・・化身って、一体どんな感覚なんだろう。言葉の意味はわかってるみたいだけど・・。うーん、神様の世界はよくわからない・・。ひとまずそっと頭を撫でてみた。


嬉しそうに喉を鳴らすけど、これはクロさんも同じ感覚なんだろうか?どこまで触っていいものか・・、いつものように耳の後ろを撫でた。


まぁ、気持ち良さそうだから・・いっか?


少し撫でてから、いつものように花の冠を作り始める。

サワサワと風が吹いてきて、気持ちがいい。


ああ・・、こんなに穏やかに感じる時間・・、久しぶりだな・・そう思って空を見上げると、何か光ってる。え、星?チカチカと空が光っているけれど、まだ午前中のはずだ。


「え・・?星・・?月??」


空を見ていると、ククが膝の上から降りる。


「あ、クク・・」


そう言うと、あっという間にククからクロさんに姿を変える。

ええ?!!そういう事もできるの?!驚いて、目を丸くしながら後ろ姿のクロさんを見る。



「・・・・・・・また面倒くせぇのが来た」



クロさんは、空に光るものを見て呟いた。

お、お客さん・・・ですか?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ