神様衝撃の事実。
翌日・・・、なんと熱が出てしまった。
ええ〜〜、昨日はすぐクロさんが服も乾かしてくれたのに・・。
そう思いつつベッドでフゥッと息を吐く。
と、ドアがノックと共に開かれる。ボス・・・、ドアは返事があってから開けるものだと思います・・。とはいえ、熱が出ているのでなんだかぼんやりしてしまう。
私の枕元へクロさんはやってきて、そっと近くに座ると手をそっと額に当てる。あの・・それ、かえって熱が上がると思う・・と思いつつも、ヒンヤリした手は気持ちいい・・思わず目を瞑る。
「昨日の穢れにあてられたんだろうな・・」
「あてられ・・・?」
「穢れの悪い気を受けると体調を崩す」
「・・・そうなんですね・・」
クロさんは手から淡い光を出すと、体が大分楽になる。
「一度寝ておけ、大分楽になる」
「ありがとうございます・・」
そういうと、魔法なのかな?神様の力なのかな?
急に眠気がやってきて、すぐに眠った。
ここはどこかな・・・
ああ、そうだ・・、小さい時、よく遊んでいた河原だ。
・・私は川のそばの小さい公園でよく遊んでたな。
本当に二度も溺れた割に、よく無事だったな・・なんて夢の中で思っていた。
そうそう、誰かとここで遊んでいて・・、ボールが川に落ちて、
危ないよって言われていたのに、大丈夫〜なんて言って・・
私はそれを取ろうとして、落っこちた・・。
あ、待てよ?って、ことは三度目?
そう思った時、自分の体が水に落ちた感覚になる。
あれ?!嘘、夢の中でも落ちた!!
顔を水面に上げようと、上へ泳ぐと、足がグイッと下へ勢いよく引っ張られる。
・・・え、なに・・?
下を見ると真っ黒で深い水の底で、昨日見た真っ黒い顔の人が、私の足首をがっつりと掴んでいる。
「や・・・・」
顔は真っ黒なのに、ニタっと笑っている感覚に、一気に怖くなって思いっきり叫んだ。
「やだぁ!!!」
「たえ!!!」
え、声・・・?
そっと目を開けると、クロさんが少し心配そうに私を見ている。
あれ・・?あ、夢・・・だった?
「うなされてた」
「あ、ありがとうございます・・、今、夢が怖くて・・」
「ああ・・」
クロさんが、布団を握りしめていた手をそっと握ってくれた。ひんやりしていて気持ちいい・・。水の神様だから?
「・・・・私、夢の中で、川に落ちたの三度目だって思い出したんです」
「・・・・・・え」
「小さい時、誰かと遊んでて・・ボールを追いかけて、川に落っこちて・・、そういえばどうやって這い上がったんだっけって・・、助けてもらったのかな・・?」
そうだ・・、小学生の一年生くらいだった気がする。
今考えれば、よく小さい体で這い上がれたな・・。
「・・・・・覚えていたのか」
クロさんがポツリと言うので、顔を見る。
「・・え?クロさん、知ってたんですか?」
「助けたの、俺だ」
「え?!!そうだったんですか?まさかの二度目だったんですか?」
頭が一気に覚醒した。
お、驚きの展開なんですけど!!!
「・・・親父の仕事で、そっちの世界に行ってた。たまたまお前に会って・・、それで助けた」
「えええ・・・すごい偶然ですね・・」
あ、もしかして、昨日よく川に落ちるって、話してたのって、そう言う事?!
あれ・・・でも待てよ。
こっちへの世界は一方通行じゃなかったっけ?
「・・・クロさんは、私の世界へは行けるんですか?」
「いけない」
「え?以前は行けたのに・・・?」
「・・・・お前を助けたから」
驚いて、目を丸くする。
「・・・世界が違う人間を勝手に助けたり、傷つけたら、もうその世界へは神でも行けない」
「・・・え・・」
「だから、もう会えないと思ってた」
私の手を握っていたクロさんの手が少し熱い。
低い声に、そう囁かれて・・、私は目を丸くしてクロさんを見つめ返した。




