神様、謝ってくれた。
クロさんは私の手を繋いで河原から離れ、芝生の公園らしき所へ連れて行ってくれた。
ベンチがあったので、一緒に座ると・・知らず大きく息を吐く。
「・・・悪かったな」
「い、いえいえ、あの・・、待ってろって言われたのに、すみません・・、スカートを引っ張られちゃって・・、すぐ呼べば良かったのに・・」
「あぁ?」
クロさんがギロリと睨む。
な、な、何かいたしましたでしょうかーーーーーー!!!!???
びくりと体が跳ねる。
「・・・スカート以外、どっか触られたか?」
「あ、あああ、そういう・・、いえ、大丈夫です!!」
心配してくれた・・ということでしょう。そうでしょう。そう思います。
「・・・お前は、俺んとこに住んでるから、清めて貰えるって思って変なのが寄って来ちまう・・」
「ああ、それで・・」
だから人が側にいても、私にだけくっ付いて来たのか・・。
ようやく意味がわかってホッとした。
「・・一緒にいれば平気かと思ってたけど、悪かった」
「いえ、あの・・助けてくださって本当にありがとうございます!!ぶ、無事!!無事だったので、本当にもうそんな謝らなくて大丈夫ですから!!」
これ以上、ボスに気を遣わせるわけにはいかない!
うん、神様だけど・・。
クロさんは、私をじっと見つめるのでドキッとしてしまう。
「・・・あの?」
「お前、本当によく川に落ちるな」
「あ、そうですね・・二度目ですね」
ははっと、乾いた笑いになる・・。
本当、どんだけ落ちてるって話だよね。
クロさんは、手首につけていた腕輪を一つ外して、私の手を取るとそれをはめた。
「一応つけとけ、弾くことくらいはできる」
「・・・・・はい」
弾く・・、クロさんがいうとなぜ怖いんだろ・・。
「頭」
「は、はい!大丈夫です!!」
「・・・ちげぇよ、撫でていいか?」
・・・わざわざ確認してくれた・・。
「あ、はい・・」
ちょっと頭を傾けてみると、クロさんは小さく笑って頭を撫でてくれた。
あ、これ・・安心する。優しい手つきにほっこりした。
そっとクロさんの手が離れて、クロさんを見るとふわっと笑った。
・・・え、そんな風に笑うんだ!??
思わずじっと見てしまったら、クロさんの手がちょっとずしっと私の頭に置かれた。
「・・ランタン・・見に行くぞ」
「・・・・・・・・・・・はい」
手が置かれる直前、ちょっと目元が赤いクロさんが見えた。
見えてしまった・・・。
さっきまですごく怖かったし、泣いてたし、溺れてたのに、今はまたドキドキしている。ああああ、心がどうにかなっちゃいそうで、本当にどうしたらいいんだろう・・。
クロさんがベンチから立つとそっと手を差し出すので、手を繋ぐ。
・・・本当にどうしよう。
自分の手汗は大丈夫だろうか・・が、グルグルと頭を回る。
空を見ると、少し日が傾いている。
あれ・・、でもまだ昼頃じゃなかったっけ?
そう思って空を見ていると、クロさんが同じように空を見る。
「今日は祭りだから、日が暮れるのが早くて、夜が長い」
「え?!そんな事あるんですか?!」
「・・・ノアルがいるからな」
「・・・そうだった!!!」
神様がいるって忘れてた。
お日様まで調節できちゃうのには流石に驚いたけど・・。
「すごいですねぇ・・、お日様までどうにかできちゃうなんて・・」
空を見ながら言うと、クロさんは小さく笑って空を見る。
「今日だけだ。普段はできねぇ」
「・・・いやぁ、一日だけでも凄いですよ!」
私がクロさんを見上げて言うと、クロさんはじっと私を見る。
な、何でしょうか???
「・・・・水なら、俺もできる」
ん、んん・・・??ノアルさんに対抗してる・・・??
「あ、はい・・、クロさんの水で祓っちゃうの・・凄いです!あと、さっき水を使ってが〜〜って押しあげたのクロさんですよね!?あれも凄いです!!」
そう言うと、ちょっと満足頂けたのか小さく頷いた。
よ、良かった・・・!!!
心の中で冷や汗を拭いた。




