神様とお祭り。
クロさん・・神様なのにいきなり心臓に悪いと思う・・。
あれから一緒にご飯を食べたり、たまに花の冠作りでそばに来るけど、ドキドキしてしまうので大変困る。・・まぁ、別に何をするわけでなく、そばにいるくらいだけど・・。
あっという間にノアルさんの所へ行く日になって、私は緊張と不安と、更にドキドキまで追加されてお腹と胸が痛いんだけど、これ・・どうしたらいいんだろ・・。非常に困る。
今日はお祭り!と言うことで、トト君にいつもと違う服装を用意してもらった。
白いワンピースに肩から胸辺りに黒い刺繍がしてある。
黒い腰ベルトに金色の刺繍がしてあって、あまりに綺麗な服に驚いてしまう。い、いいの??こんな素敵なの??
トト君がそのワンピースを着た私を見て満足そうに微笑む。
「すっごいバッチリです〜!!!」
「あ、ありがとう・・」
ちょっと照れくさいけど、そう言ってもらえると嬉しい。
と、ドアをノックする音が聞こえて返事をすると、クロさんが入ってくる。
瞬間、目を丸くする。
クロさんは、黒い細身の長いジャケットに金色の刺繍が片側に肩からウエストの辺りまで入っていて、金色の布を腰に巻いている。
白い耳と、尻尾がまたアクセントになってる。
うぁあああ、かっこよすぎるでしょ?
私は、思わず顔が赤くなる。
「クロ様、バッチリ似合ってますね〜!!ね、たえさん、格好いいでしょ?」
トト君に急に振られて、ちょっと驚きつつ、
「あ、うん、格好いいです!」
そう言うと、クロさんは私をじっと見る。う、うわぁあああああ、今こっちを見ないで欲しい!普段はオラオラ系なのに、急にイケメンに見えるフィルターが動いているとしか思えないんだもん!
「・・たえも似合ってる」
ボソッとクロさんがちょっと目を逸らしつつ言うから、もうどうしたらいいんだ。
お祭りとか、もうやめて私は花の冠作っていたい。
「お二人とも本当によくお似合いです!!さ、早速お出かけですね!」
トト君の一言で、残りたい・・と言い出せなくなる。
・・いや、言えないですけど、言えないですけどね!!
水神殿の間へ、移動するとクロさんが私に手を差し出す。
「・・・・へ?」
「ノアルんとこに転移するんだ、手を繋がないと行けねぇ」
「あ、な、なるほど・・、あのお願いします」
そっと手を繋ぐと、大きな手が熱い。だ、大丈夫だろうか・・熱とかないだろうか・・。思わず心配になるが、クロさんはさっと前を向いてプールの中へ入っていく。そうだった・・、ここから転移するんだった。私もクロさんもサンダルだけど、いいんだろうか・・・。
バシャバシャと音をさせて中央へ行くと、水は膝下くらいの深さだった。
「行ってらっしゃいませ〜!!」
トト君が手を振るので、空いている方の手を振る。
うん、そっちに行きたい・・。
切実に思ってしまった・・。
「行くぞ」
クロさんの低い声にハッとして、クロさんの方を見る。
緑の瞳がじっとこちらを見ていて、ククの瞳を思い出す。夜は来てくれるけど、昼は最近いないんだよね・・そんな事を思っていると、水が私達の体を包む。驚いて水をみると、
「大丈夫だ」
クロさんの声が聞こえて、手をぎゅっと握られる。
次いで体がぎゅうっと引っ張られ、目を瞑る。
バシャ!!
水が落ちる音がして、そっと目を開ける・・。
足元は水が張ってあるが、ガラスなのか透明だ。上を見上げると、巨大な円形状の温室のようだ。私達が立っているプールのような場所の周りには熱帯植物が生えていて、その上を鮮やかな色をした鳥達が飛んでいる。
「うわ・・・綺麗・・」
思わず、そう言うと
「たえちゃんもそう思う?それは良かった〜!!!」
振り返ると、ノアルさんが面白そうに私たちを見ていた。・・・ええと、とりあえずお久しぶりです。




