神様撫でる。
ティナさんによって、どうやら私がいる事がクロさんにとって嬉しい事はわかった。
わかったけど・・・なんで???
私、こっちに来てからまだ3日だし。
何かしたわけでもないけど・・。あ、花の冠は作ったけど。それ?
頭の中は疑問でいっぱいだったけど、クロさんはこっちを全く見ないし、なんならティナさんを睨んでるし・・。
「トト!!」
クロさんが呼ぶと、トト君は、突然姿を目の前に現す。
「お前、どこ行ってた?」
「んもー!!クロ様のお使いです!!だから遅れてしまったんです!」
「たえが襲われかけた」
そうクロさんが言うと、トト君はパッと私をみる。
「たえさん、お怪我は?!」
「だ、大丈夫。ごめんね・・、私が入らないようにって言われてたのに・・、鈴の音がしたから、なんだろう・・って思って入っちゃっただけだし、クロさんが助けてくれたから・・」
トト君は、私の言葉を聞いて、胸を撫で下ろした。
「良かったです・・。たえさんに何かあったら・・、クロ様はとにかく、僕が心配で胸が潰れちゃいます」
「トト君〜〜!!」
「・・・・トト、てめぇ・・」
シュンとしたトト君に、キュンとする。か、可愛い・・・!!!!!そんな私の後ろでクロさんが盛大に舌打ちをかますし、その横でティナさんが笑っている。
うーん・・、この場をどうすれば・・。
「とりあえずさ〜、お茶でも飲みたいんだけど・・、トト君一杯ご馳走になってもいい?」
「もちろんです!」
「おい、聞くのはこっちだろ」
「まあまあ」
・・・うん、ティナさんがいてくれて良かった・・。なんというか空気が中和される。トト君は、庭園でなく今回はサンルームにお茶を用意してくれたらしい。クロさん、ティナさんの後ろへついて、外廊下からサンルームの方へ歩いていく。
途中で、ティナさんは足を止めて庭園を見る。
「すっごい花咲いてて綺麗だな〜!うちの国ももうちょっと増やさないとだなぁ」
「え?お花がない国なんですか?」
「土地柄ね〜。地熱がすごいんで、なかなか育たないんだよね」
「地熱・・、温泉とか・・あります?」
「そう!よくわかったね〜!!」
・・・この間まで学生だったんで・・。
うん、勉強ってそれなりに役に立つんだなって思った。・・好きじゃなかったけど。
「まぁ、多少は・・勉強していたので」
「そっか、そっか、偉いなぁ〜」
ティナさんが頭をポンポンと撫でると、クロさんがこっちを睨んでる!!
思わず「ヒッ」という声が出る。な、何でしょう??何かお気に触る事いたしましたでしょうかーーーー??!!!ティナさんが、クロさんの視線に気付くと、
「あ、クロも触りたかったの?」
バキッといい音をさせて、クロさんのゲンコツがティナさんの頭に落ちる。ひぃいいいいいい!!!!
しかし、ティナさんめげない。
まったくめげない。
あははって笑ってる。・・・すごい。ある意味怖い。
そろっと、クロさんを見ると
ちょっと目元が赤い。・・・・赤いな・・・?照れてる・・・のか・・な?クロさんは、こっちを見ると、
「・・・たえ」
「はい!!!」
クロさんは私の頭に手を置く。
え?殴られるの?
そう思ったら、わしゃわしゃ撫でられた。え、なんか私、犬になった??ってくらいわしゃわしゃ撫でられた。ポカーンとして、クロさんを見上げると、
「あいつに触らせんな」
ぶっきらぼうに言うから、ああ、これは照れてる・・・って、流石にわかった。・・・わかったけど、私まで顔が赤くなるんですが・・、何でしょうねこれ。
ティナさんは、横でニヤニヤしてるからなんというか気恥ずかしいし・・・
何というか、あと少しでサンルームに着くというのに、どこか回れ右して違う場所へ走って行きたくなったんですけど・・、本当、何でしょうねこれ。




