神様ご機嫌。
ボス自ら起こしにいらしてくれて、私は恐縮です・・。
いえ、どっちかっていえば、恐いの方が比重は大きいですけど。
「ええと、起こしに来て下さって、ありがとうございます・・」
「おう」
オラオラ系なのに、朝早いんだな・・。
神様だからなのか?頭がまだ今ひとつ動かなくて、ぼんやりとクロさんを見る。
「すぐ飯だ」
「あ、はい!支度していきます」
・・いかん、いかん、すぐ起きよう。
ベッドから出て、ふと周囲を見る。クク・・もういない?
「どうした?」
「あ、ククがいないなって・・」
「ああ・・」
外・・行っちゃったのかな・・、まぁ、あとでまた会えるかな。そう思い直す。
「ええと、顔洗ってきます」
「おう」
クロさんはそういって、部屋を出ていく。
よ、良かった・・・。急いで顔を洗って、支度をして、サンルームへ行く。
クロさんは、いつものテーブルのセットになっている椅子に片足を乗せて座っている。溢れる強そうなオラオラ系が、爽やかな朝なのに、ものすごいチグハグ感・・。背景バグってる気がする。
まぁ、絶対言いませんけど。
「すみません・・、遅くなってしまって・・」
「いや・・」
椅子に座って、朝ご飯を早速頂く。
今日も美味しそうだー!
パンというより、ナンがメインの国なんだなぁ・・、プレートにのっているナンを見て改めて思った。
ちぎって、ソースにつけて食べる。
今日も美味しいなぁ〜、思わずニコニコしてしまう。ご飯が美味しい国で良かったと思う・・、まずかったら、私はすぐ元気になれなかったと思う・・。食事は偉大だ。
「今日」
クロさんの低い声に、顔を上げる。
「あ、はい」
「火の神んとこ行ってくっけど、こっちで過ごせ」
「はい」
「ノアルは、来ねぇと思うけど、来たら追い返せ」
「・・・・・それは、私ごときでは難しいかも」
あの細いけど、でっかい体を思い出す。
しかも、あのバチコーンと音のするウィンクをするノアルさんを、一体どうやったら追い出せるんだろう・・。メリケンサックを持っていても、多分無理だと思う。
「・・・武器を使っても無理だと思います・・」
真剣な表情で答えたら、クロさんは少し私を見てから、小さく笑った。
「確かにな」
わ、笑った・・。
朝イチで!!・・・でもやっぱり昨日と同じ、ノアルさんのネタだ。複雑。
「すぐ戻る」
「あ、はい」
コクコクと頷くと、クロさんはまた食べ始めたので私も食べる。
・・・うん、大分恐くはなくなってきた・・・かも。
朝食を食べ終えると、トト君がやって来て、お茶を淹れてくれた。昨日のお茶会の時に飲んだお花のお茶だ!嬉しい心遣いに、お礼を言うとトト君は嬉しそうに笑って、耳をぴこぴこ動かす。触りたい・・撫でたい・・。
「クロ様、火の神様の所へ行くんですよね、お見送りいたしましょ!たえさん」
トト君にそう言われて、思わず頷く。
そりゃ・・見送るくらいは別に・・。トト君がいるなら、恐くないし。
あの・・横で、クロさんが舌打ちしてますけど・・、大丈夫ですかね?
ちょっとドキドキしつつ、水神殿の間へトト君とクロさんと行く。
と、プールの中へクロさんがジャバジャバと入って行く。え?ここから・・??!私が目を丸くしてると、トト君が笑って
「ここから、どこでも転移できるんですよ〜」
説明してくれた・・。すごい、便利だな!!
クロさんの足元が淡く光る。あ、もしかしてもう行くの?
「い、いってらっしゃい・・」
そう言うと、クロさんはこっちを見て、少し驚いた顔をしていた。
「おぅ」
呟くように言うと、水に体を包まれた・・!と思った途端に消えてしまった。うっわ〜〜すっごい!!異世界!!!トト君を見ると、トト君はニコニコ笑って「すごいでしょ?」って言うから、ウンウン!!て頷いてしまった。
「クロ様、今日はすっごい嬉しいからすぐ戻って来ますよ」
「そうなの?何かいい事あったの?」
「はい!!」
トト君のいい笑顔にほっこりする。
そうか、嬉しいのか・・・クロさんが機嫌がいいのは私の精神的にもありがたい。舌打ちされると恐いし。




