神様恐い。
トト君がノアルさんを見送ってしまったので、現在二人で絶賛お茶会である。
非常に緊張を強いられるけど。
もらったお茶菓子は小さいプチタルトみたいになっていて、甘酸っぱくて美味しい。お菓子といい、お茶といい、ご飯といい・・なんでも美味しくて太ってしまいそうだ・・。
気をつけよう・・。そんな事を思いつつもぐもぐ食べた。
そうすると、クロさんはお皿に乗っているお菓子をもう一つ取って渡してくれた。恐縮です・・・。
「ありがとうございます・・。ここって、なんでも美味しい物ばっかりですね」
「・・・そうか」
「はい、ご飯の時が楽しみです。いつもありがとうございます」
うん、わかりやすくお礼を言っておこう。
・・・急に来ておいてご飯を三食出してもらえるのは、素直にありがたい事だし・・。そう思って、そぉっとクロさんを見ると、ちょっと真顔なんだけど若干柔らかい感じになってる・・・?
こう、もうちょっと口角をあげてもらえると、ほっとするんだけどな・・。
人に笑って欲しいなら、私がまず笑うべき・・・?
恐くて、ずっと怯えっぱなしだったけど・・。
そんな事を考えていると、頭の上にヒラっと何かが落ちてくる。
「へ?何・・?」
綺麗な虹色の・・鳥の羽・・・?
上を向くと、ノアルさんが飛んでいる!!
「たえちゃ〜ん、何かあったらその羽使ってね〜!またね〜!!」
またもバチコーンと音がするかのようなウインクをしたかと思うと、グンと高度を上げて飛んで行ってしまった。綺麗な虹色の羽は、光に当たる度にキラキラ輝いている。あまりに綺麗で、うっとり眺めてしまう。
と、横から舌打ちが聞こえてきて、ビクーっと体が跳ねる。
「・・・・・・あの野郎・・・」
クロさんが、ノアルさんが飛んで行った方向を睨んでいる。
うん、恐い。やっぱり無理。
笑顔で対応するのは明日にしよう。
私は自分の心の安寧を最優先にした。まだ17の乙女ですし。
少ししてトト君が戻ってきて、三人でお茶をした時は心底ホッとした・・。面子大事。本当にそう思った・・。
少しすると、クロさんは「明日の準備をしてくる」と言って、またフラリと何処かへ行ってしまった。・・神様って忙しいのかな・・、そうすると外神殿まで連れて行く時間を割いてくれたのに、お礼を言ってなかった事を思い出す。
しまったー!夕食の時にお礼を言おう・・。
お茶の後、手持ち無沙汰になってしまったので、また花畑の所へ籠を持って行き、花の冠を作った。お仕事・・なのかは微妙だけど、クロさんが考えてくれたアイデアでもあるし。
いくつか作ると夕方になっていて・・、花の冠を籠に入れて、自分の部屋に戻る。
クロさんが作ってくれた花の冠は水につけておくと、より長持ちするとトト君が教えてくれたので、浅いガラスのお皿に水を張って花の冠をつけておいた。その横にさっきノアルさんから貰った羽も置いておく。
「綺麗だなぁ・・」
オラオラ系の人が作った花の冠なのに、色合いは優しくて・・、器用な手つきを思い出すと笑ってしまった。
ドアをノックする音が聞こえて返事をする。
トト君かな?ドアへ近付くと、ガチャっと開く。
「おう飯だ」
クロさんだーーーーー!!!
なんでこう威圧感があるんだろうこの人・・。
私の肩越しに、テーブルの上に花の冠が飾ってあるのを見たのか
「飾ったのか」
「あ、はい・・、せっかく作って頂いたんで、売っちゃうの・・ちょっと勿体無いかな・・と」
そう言うと、少し・・ほんとーーーーーに少し広角を上げた。
いいぞ!もっと上げて欲しい。恐いから。
と、横にノアルさんの羽が置いてあるのに気付いたのだろうか、スッと表情が消える。
「あの羽、燃やしとけ」
「・・・ええと・・・・?」
恐い、やっぱり恐い。
羽をじとっと見る目に、私はどうしたら良いかわからず・・、目がウロウロ泳ぐだけだった。・・た、助けてくれー!!!!




