表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/112

神様のお仕事。


ノアルさんは2mくらいあるんじゃない?ってくらい身長が高くて、クロさんも相当背が高いと思うけど、後ろからついて行く身としては、これは壁ですか?はい壁です。

みたいな英語文しか出てこない。


壁って、on the wall ・・うん忘れてない。

いや英単語確認してどないすんねーん!・・もう帰れないのに。

二人の進んで行く方向へ、周囲の人が無言で素早く両脇に避けていく。わかる・・恐い。私はその光景をどこか遠い目で見ている・・・。


大きな白い門の扉をクロさんが開けると、クロさんが私を先に入れてくれた。あ、ありがとうございます・・。


ノアルさんがその様子を見て、ニコニコ笑う。


「え〜〜〜、クロ優しい〜〜〜!!」

「黙れ、羽もぐぞ」

「翼です〜〜!」


・・・うん、会話が恐い。

お願いノアルさん私を・・・巻き込まないで。恐いから。

私はいつか胃に穴が開くんじゃないかと思いつつ、ノアルさんとクロさんの後ろをついて行く。


長い階段は、結構疲れる・・大分疲れる。


ふと、何か嗅いだ事のない臭いがして、後ろを振り返ると黒いローブ・・・だろうか、体をすっぽり被った人が階段に立っている。あれ・・・?私の後ろに人がいたっけ・・?そう思っていると、クロさんが私の手を繋ぐ。


え、


なんで、


恐い。


思わずクロさんの顔をまじまじと見てしまう。

クロさんは私の視線に構うことなく、後ろの黒い人を見る。


「・・・ノアルが来ると、面倒くせぇのが毎回来る・・・」

「違うでしょ〜、クロが怖ずぎるんだよ〜、入りづらいんでしょ〜。僕がいるから入れるんだよ」


ど、どういう事・・?

頭が疑問符ばかりなんだけど・・・。


クロさんは、そのまま私の手を繋いで階段を上っていく。え、まじですか。思わずジャラジャラと飾りのついた手を見てしまう。大きい手だなぁ・・、恐いけど。


ときめきのドキドキでなく、うっかり不興を買ったらどうしようというドキドキを抱えつつ、階段を上っていく。テラスへ着いたら手を離すかな・・と思いきや、水神殿の間へそのまま一緒に入っていく。

い、嫌ーーーーー!!!!!もう、手を離して!!!

恐いよーーーーーー!!!!!

・・・言えないけど。


黒い人は、ゆらゆらと揺れるように私達の後を無言でついてくる。



ちらっと後ろを見ると・・黒い人が突然プールの前に崩れ落ちるように入ったので、驚いてクロさんを見る。


「く、クロさん・・!あの人水に・・」

「見てろ」


黒い人は、真っ黒い液体のようになってプール一杯に広がる。

え・・・液体???!!


クロさんが、手をプールの方へかざすと黒い液体になってしまった水がグルグルと渦を巻いていく。驚いて水を見ていると、黒い液体はどんどん色を薄まり、さっきと同じような透明な状態に戻る。と、水が全部宙に浮いて、丸い大きな球体になると、中央に何かがキラキラ輝いているのが見えた。



「終わった、帰れ」



クロさんが低い声でキラキラ輝いている何かに言うと、キラキラ光っていたものはそのまま静かに消えてしまった。そうすると球体の水は静かにプールに降りて、いつものプールのように水で満たされた。


私はその光景を呆然と見ていると、ノアルさんが私を覗き込む。


「初めて見た?」

「は、はい・・・」


コクコクと頷くと、クロさんを見て、もう一度私を見る。


「あれね、穢れとか傷がこびりついちゃった神様の一部なんだ。ああして、ここに来て綺麗にして帰るんだ。たま〜〜に厄介なのも来るけどね」


「穢れ・・・」


神社とか、お水で手を洗い流すもんね・・。

そういう感じかな?


「じゃあ、ノアルさんもそれで来たんですか?」

「んーん!今日は普通に遊びに来た!!」



すっごいいい笑顔で、またバチコーンって音がするんじゃないかってくらいのウインクをしてくれた。・・・心なしかクロさんが握った手に力が入ったような気がした。うん、恐い。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ