新たな出会い。
クロさんに着いて行くと、私が引き揚げられたプールみたいな「水神殿の間」へ行くと、左手にあった扉を開ける。ふわっと風が顔を掠める。扉の外へ出ると、テラスのようになっていて外の景色が一面に広がる。
手前には街だろうか、石でできた建物が並んでいて、その合間に木々が見える。さらに遠くを見ると、山々が見えて、随分高い所に神殿があると、ようやくわかった。
「こっちだ」
クロさんは、テラスの先に行くと、真っ白な階段が下へと続いていて、下りた先に白い門が見えた。私は慌ててクロさんの所へ走っていき、着いて行く。
これ・・行きはいいけど、帰りは辛いやつだ・・。
白い門は大きくて、とても一人では開けられそうにないくらい分厚い扉だった。
クロさんは、扉にそっと手を添えると、扉はガコンっと大きな音を立てて、開いた。お、おぉ・・格好いいな。ファンタジーみたいだ・・。
大きな扉からスタスタとクロさんは出て行ってしまい、私は焦って追いかける。神様がいきなり外に出ちゃっていいの?そんな事を考えて外へ出ると、扉が自然に閉まった。
大勢の人の姿が見えたけれど、誰もこちらを気にする様子がなくてあっけに取られていると、振り返ったクロさんが
「使いの者もここを使うから、誰が出てきてもおかしくねぇ。ま、上には一般人は上がれねぇけど」
な、なるほど・・。私が納得した様子を見ると、クロさんはまた前を向いてスタスタと歩いていく。
中央に細長いプールのようなものが一段下がってあって、その両側から人が花やお金を投げ入れて祈っているのが見えた。
「わぁ・・・」
思わず声が出て周囲を見渡す。
出店もプールの両側に幾つもあって、色とりどりのお花やお菓子らしきものまで売っている。あちこち見ているとクロさんを見失いそうになって、慌てて追いかける。
「クロさん・・」
そう呼ぼうとすると、バサバサと上から音がする。
・・・ん?・・上???
「あ、みっけ〜〜!」
すっごく明るい声がした先を見ると、両腕が虹色の翼のお兄さんが飛んでいて、こっちを見てニコニコ笑っている。え、どなた様・・・???周囲の人はすごい勢いであとずさり、私はいつの間にか逃げそびれてしまった。
呆気に取られていると、両腕が翼の人は、私の前に降りてニコニコ笑う。
「クロ殿のお気に入りは君かな〜?」
「え?ええ???」
キョロキョロと周りを見るけど、周囲に人はいないし・・焦ってしまう。少し癖っ毛なのか、ところどころ跳ねている綺麗な水色の髪に瞳をしたお兄さんはさっきまで両腕が翼だったのに、あっという間に腕の形になるので私はびっくりして腕と顔を交互に見てしまった。
「あはー!面白いでしょ?」
なんと言えばいいかわからなくて、思わずコクコクと頷く。
「何しに来たんだ・・」
後ろから聞こえた低い声に、今度はビクッと体が跳ねる。
クロさんは私を背中に隠すと、両腕が翼のお兄さんに話しかける。
「もちろん遊びに来たんだよ〜!なんか面白そうな事になってるんだもーん!」
「・・だったら、上に来いよ」
「上に行ったら、行ったで入れてくれないでしょ〜」
クロさんは舌打ちして、私を見る。
「・・・一度、戻るぞ」
「は、はい!!」
コクコクと頷くと、水色の髪の人は「ごめんね〜〜」とニコニコ笑う。
クロさんが、また扉の方へ戻ろうとするのを追いかけようとすると、水色の髪の人は手を差し出して、
「あ、僕、ノアルって言うんだ〜〜、よろしくね〜!ね、手繋いで一緒に上まで行こうよ!」
バッチーンって音がするんじゃないか?っていうくらいのウィンクをしてくる。・・・うん、チャラい。めちゃくちゃチャラい。なんならウェイウェイ言ってたクラスメイトに似てるチャラさだ。
ちょっと遠い目をしていると、クロさんがノアルさんの頭を殴ってから、私の手をぐいっと引っ張る。
「・・あいつには近付くな」
低い、低ーーーーーい声と共に、クロさんが私を睨むので、私は青ざめた顔で首を縦にシェイクした。もちろんですとも・・。あと、手を離して欲しいです・・切実に。




