神様と一般人は幸せである(終)
クロさんと結婚して一ヶ月経った。
え?何があったかといえば、それはもう色々あった。
特に命渡しの儀式を終えた朝は、もう恥ずかしすぎて起きるに起きれないというか‥どんな顔をして、サンルームへ行けばいいのかわからなかったし、明後日会う、ノアルさんを考えると顔が真っ赤になるし‥。
何より、今、目の前で眠るクロさんにどんな顔をすればいいんだろう?
真っ赤な顔のままクロさんを見ると、いつの間にか起きていて、
静かに笑って私を見つめた。
それだけで心臓は飛び出そうなのに、クロさんは私の頬を優しく撫でて、キスしてくるし‥、もう儀式が終わったはずなのに、ま、また、同じ事をしようとするし‥。
うん、とにかくあの朝が一番恥ずかしかったと思う。
でも、命を分けちゃって良かったのかなと‥心配だったけど、クロさんは、私へ命を渡せて本当に安心したようだ。ギュと抱きしめて、嬉しそうに微笑んで「良かった‥」そう呟くから‥。安心してくれて良かったのかも。
下手すると命を私に差し出しかねないくらい、大事にしてくれるから‥。
二日後に、アスちゃんとスミさん、ノアルさん、リリ君、ティナさんがお祝いに駆けつけてくれて、私は照れつつも綺麗な衣装をスミさんに着せてもらった。
似合うかな‥と、思って水神殿の間に行ったら、待っていたクロさんが私を見た途端真っ赤になって‥
それを見た私も真っ赤になって、二人で照れていると、ノアルさんとティナさんが思いっきりからかってくるから、クロさんがギロっと睨んでいたけど、真っ赤なので、思わず笑ってしまった‥。
のんびり式が終わると庭園で、食べたり、飲んだりおしゃべりしたり‥。
アスちゃんがずっと側に座って、おしゃべりしたり、トト君が自慢の料理を食べさせてくれたり、リリ君は綺麗な髪飾りを作ってくれて、つけてくれたりずっと皆に構われている私を、クロさんが少し拗ねたような顔をして見ていた。
後半は、ノアルさんとティナさんがお酒を飲みつつ、泣きながら‥
「あの、たえちゃんが好きすぎて‥ずっと見守るだけのクロが!!」
「まともに声も掛けられなかったクロが!!」
と、言い出し、私は恥ずかしくて照れてしまうし、クロさんは「うるせぇ!!」って怒鳴り始めるし‥、スミさんが盛大にため息をつきつつ、鉄拳を繰り出して静かにさせた時は驚いた。
‥大神様は、スミさんでも良かった気がする‥。
そう思ったのは、ここだけの話だ。
そうして、みんなが帰っていき‥
静かになった水神殿にちょっと寂しく思いつつ、晴れて夫婦になったんだな‥、そう思うと嬉しくもあったり。
クロさんを見上げると、静かに笑って手を繋いでくれる。
そうして、尻尾も手首にクルッと巻きつく。
「‥‥ずっといろよ」
「‥はい」
静かに返事をすると、クシャッと笑うから‥胸がぎゅっと潰れそうになる。
その笑顔、本当に弱いんですよ私‥。
それから私は、花の冠を作ったり、香草油を作ったり、‥と、新たな日常が始まっていく。
「たえ」
「はい」
クロさんの低い声が花畑にいる私を呼ぶ。
尻尾を揺らしながら、愛おしそうに私を見て近付いてくるクロさん。
「お仕事終わったんですか?」
「‥‥今日のは」
ちょっと目線を逸らしつつ、ゴロッと横に寝転ぶクロさんは嬉しそうに私を見るから‥大分、怖くない。
と、トト君が私達の側へ駆け寄ってくる。
「クロ様ーーー!!ノアル様がお仕事を持ってくるそうですー!!すぐ水神殿の間に来てください!」
「あ”あ”‥?!」
‥ギロッと睨むようにトト君を見る。
うん、怖い。やっぱり怖い。
そっとクロさんの耳を撫でると、クロさんが私を見る。
ちょっと面白そうな顔をしてる‥。
「‥すぐ戻る」
「はい」
起き上がったクロさんは、そういうと尻尾で手首を掴むと、ぎゅっと引っ張ってクロさんの胸の中に引き込まれると、そのままキスされた。
ぺろっと唇を舐めると、そっと体を離されて瞬間真っ赤になる。
「く、クロさん!!!」
注意すると、クシャッと笑った顔で私を見るので、何も言えなくなる。
神様は、ちょっとずるいと思う‥。
そんな感じで、私は今日も平和だけど心臓に悪い神様に愛されている‥。
本編はこれにて終了いたします!
もだもだが書けて楽しかった!!
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