神様上手です。
せっせと花の冠を3つほど作っていると、トト君が籠を持ってやってきた。
「わ〜!すごい!!たえさん上手ですね!」
「いや、最初作れなくて・・、クロさんに教えてもらったの」
「そうですか〜、クロ様ちゃっかりしてますね」
「・・・ちゃっかり・・・?」
トト君は、ニコニコしながら花の冠を一つ持ち上げて、頭にのせる。猫耳と、花の冠・・・めっちゃ可愛い!!!思わずキュンとしてしまう。
「トト君・・・、すっごく似合う〜。可愛い〜〜」
あまりの可愛さに我慢できずに言ってしまった・・・。
格好いいの方がいいだろうか。
トト君は、気にする事なくうふふ〜っと嬉しそうに笑うので、大丈夫そうだ。耳がぴこぴこ動いていて・・更に可愛い。
「クロ様が、この花の冠を外神殿で売ってみたら?って仰ってたんです」
「花の冠を?でも、すぐ萎れちゃうんじゃ・・」
「クロ様の力が入ってますから、一週間くらいは元気です」
「そうなんだ!すごいね」
あ、なんかトト君がすごく誇らしげにしてる。可愛い。
「だから、たえさんお仕事したいって言ってたし、ここで花の冠を作るお仕事をしたらいいんじゃないかって、クロ様が・・」
「え、そんな風に考えててくれたんだ・・!」
仕事・・、この生活に慣れてから・・って言われてちょっと諦めていたけど、それとなく考えてくれてたんだ・・。そう思ったら、じわじわと嬉しくて・・。
恐い・・めっちゃ恐いけど、あとでお礼を言おう・・。そう決めた。
「じゃあ、とりあえず出来上がったのから売ってきますね」
そういって、トト君は籠にお花の冠を入れていく。
「あ、ちょっと待って、こ、これは手元に置いておいてもいい?」
「はい、大丈夫ですけど・・・」
クロさんが作ってくれた花の冠は・・・、なんとなく売っちゃうのは教えてもらった手前、売りにくいというか・・。そっと持ってじっと見る。薄い淡いピンクと、薄い紫のパンジー、白いシロツメ・・色々色合いを考えて編んでくれたように思えて・・。
「ドライフラワーみたいにできるかなぁ・・」
「ああ、できますよ〜!終わり頃に、加工しますね〜」
「トト君・・・、なんでも出来ちゃうんだね・・」
「いえ〜!それほどでも!!」
ニッコー!と身体中から、ピカピカ光るような笑顔に思わず頭を撫でてしまった。
トト君は、最初びっくりした顔をしてたけど、うふふ〜ってニコニコ笑うから、両手でなでなでしてしまった・・。ごめん、可愛すぎて止められなかった・・。
「じゃあ、ここに籠を置いておきますから・・、お昼頃にまた呼びにきますね〜」
ひとしきりトト君をなでなでさせてもらってから、トト君は花の冠が入った籠を外神殿?に売りに行ってしまった・・。
花畑にポツンと一人になった私は花の冠を編む。
クロさんが作ってくれた花の冠の見ながら、配色を考えて私も編んでみる。と、ガサっと音がして、そちらを見ると、黒猫が草むらから出てきた。
「クク?」
そう呼ぶと、ククはゆっくり歩いてこちらへくる。
あ、やっぱりククだ・・。そっと頭を撫でると、手の平に頭を擦り寄せるから可愛くて・・、よく撫でておいた。
「見にきてくれたの?」
そういうと、私の座っている側にごろっと横になって寝てしまう。うーん・・・気ままだ・・・。まぁ、猫だしな。
私は静かに体を上下させているククを見ながら花の冠を編む。
色合いを考えながら作る花の冠は、作るのがなかなか楽しい。
ふと思い立って、花の冠を小さく作ってみる。
これくらいかな・・。
「クク・・・」
名前を呼ぶと顔を上げてくれた。賢いなぁ〜〜。
「ちょっとごめんね〜・・嫌がらないでね」
ククの頭に小さな花の冠・・ならぬ首輪を作ってみたのだ。ちょっと目を瞑ってたけど、嫌がらず首に通してくれた。真っ黒な体に色とりどりの花の首輪がすごく映えていて・・可愛い!!!
「うわぁ・・可愛い!可愛い〜〜〜!!!!!」
両手で口を押さえて感動してしまった。
・・・ククが、ちょっと睨んでいるような気がしたけど・・。気のせいだと思う。




