一般人、何か頂く。
時計を見ると、8時・・。
結構な時間、寝ていたんだな・・。外はすっかり真っ暗だ・・。トト君達、気を利かせて寝かせてくれていたのかも・・。
ベッドの枕元に置いてあった花の栞を出して、座って話しかける。
「く、クロさん・・?」
一瞬、間があって・・
『・・おぅ、体調は大丈夫か?』
「あ、はい・・今まで寝てたみたいです・・」
『そうか・・、魔の力が近くにいたんだ。普通はそうなる・・』
「そうなんですか・・」
クロさんの声は、低くて耳にやっぱり心地いい・・。側にいると、見た目につい怖くて声どころじゃなくなっちゃうけど、こうして声だけ聞くと、落ち着くなぁ・・。
「浄化してくれてたんですよね?気がつかなくて・・、ありがとうございました。修業中だったのに・・」
『ちょうどいい練習になった』
そういって、花の栞の向こうで笑うクロさんの気配がする。
迷惑をかけていない・・なら良かったのかな?そう思うと安心して、またウトウトしてきた。
『今日は寝ておけ、多分・・まだしばらくそんな状態が続く』
「え?そうなんですか・・??」
『神力を直接体に取り込んでるわけじゃないからな』
へぇ・・そうなんだ。
ベッドに横になると、いよいよ眠くなってきてしまう・・。
「もうちょっと・・話したかったんですけど・・」
『・・・そうか・・』
「やっぱり・・眠い・・みたい、です・・・」
眠気が一気にやってきて・・、花の栞から、おやすみ・・と言う声を聞いて、そのまま眠ってしまった・・。眠気に勝てなくてすみません・・・。
魔の力に浄化してもらったとはいえ、それから随分と寝込んでしまった・・。
ちょっと起きて、また眠ってしまう生活で・・。
申し訳ないな・・と思っていると、アスちゃんが私の頭をわしゃわしゃ撫でて、
「こればっかりは仕方ないわ!あんた人間だし!!クロと結婚したら、大丈夫になると思うよ」
そう言うので驚いた。
結婚したら、何か変わるの???
「・・結婚すると、どうなるの?」
「ん〜〜、神様の一部みたいになる」
「一部・・・」
「もう、すでに人間は一部なんだけど、もっと関係性が強くなるって感じかな。だから、命も長くなるよ」
神様の世界、わからない事だらけだ・・。
「神様についての本とか・・ある?知らない事だらけで・・」
「ああ〜。そうだね!スミ様に聞いておく〜」
アスちゃん、頼もしい・・。
寝室へは、流石にトト君もリリ君は入ってこれないので、アスちゃんがいてくれて助かった・・。そう思っていると、また眠気がやって来る・・。アスちゃんがベッドに横になるよう言うので、横になると布団をそっと掛けてくれた。
「・・とにかくしっかり寝ておきな。あと二週間で帰ってくるから。そうしたら、クロにしっかり浄化してもらえばいいよ」
「・・・うん、ありがとう・・」
そんな風に話していると、あっという間に眠気がやってくる。
なんだか本当にひたすら眠っている。
すっと意識が降りていって眠ってしまった。
気がつくと、真っ暗な暗闇の中に1人立っていた。
「・・・夢??」
意識はあるけど・・、キョロキョロ周りとみると、宙に木の格子窓が浮いている。
あれ、神様じゃなかったっけ???
思わず格子の窓へ近付くと、窓がキィっと小さく開く。
真っ白い手が出てきて、思わず足が止まる。
綺麗な真っ白な手は、そっと私を手招きするので少しずつ近付くと、手の平を見せるので真似して、手の平を出してみると、その手に小さな紙の包みを置いた。
「・・あ、ありがとうございます・・・?」
真っ白な手は、格子窓の中へ入ると扉が閉まった・・。
そうして、急に意識が目覚めて、目を開けると朝だった・・。
手の中には、真っ白な手に渡された紙の包みがあった。な・・・なんてこったい・・・???




