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神様、ちょっと休憩。


東屋を出ると、クロさんが抱っこしてくれた。

歩けますよ・・ボス。


大きな岩をくり抜いて作られたのか、カーテンだけで仕切られた入り口を入って行くと、右手に簡単な調理場があって、奥にハンモックが吊るされている。


あの豪華な水神殿を見ると、随分と簡素なんだな・・。

小さくガラスの入った窓もあって、そこから光が差し込んでいる。


「・・・なんか、可愛いですね」

「・・そんな事言うの、お前だけだな・・」


クロさんは小さく笑うと、洗面所の場所も教えてくれた。


「服は・・、夜はこれでも着ておけ」


と、クロさんのシャツを貸してもらった。修業中なのに・・すみません・・。

クロさんは明るいうちに・・と、簡単な食事を作ってくれた。

自炊が決まりらしい。ええ、すごい!!


ナンとスープを小さなテーブルで一緒に食べる。

なんだか、それだけですごく嬉しくてニコニコしてしまう。丸々一ヶ月会えないと思っていたから・・、こうして会えるの嬉しいなぁ・・。まぁ、また明日帰るけど。


「食べたら、すぐ風呂に入れよ。ここは、夜になったら灯りが一つしかない」

「え、そうなんですね!避難訓練みたいですね」


「ひな・・・??」

「私の国って、災害が多かったから・・、魔法が使えなくなったら・・みたいに仮定して訓練するんです。なんとなく、似てるなって・・」


クロさんは、思い当たる節があったのか、ああ・・と頷いた。

私の頭をそっと撫でると、


「えらいな・・」


・・クロさん、完全にお兄さん目線で私を見ている気がします・・。まぁ、確かに5歳だから仕方ない。


急いでお皿を片付けて、お風呂に入るとクロさんのシャツを着て腰紐を巻いて出てくると、ハンモックで寛いでいたクロさんが一瞬、目を丸くする。


「クロさん?」


クロさんは、ハーッと大きなため息をついて私の頭を撫でる。


「・・・なんでもねぇ、おら、先寝てろ」


そういって、私を持ち上げるとハンモックにコロッと私を転がす。うまく起き上がれなくて、ちょっとジタバタしながら


「クロさんは?」

「・・風呂入ったら、俺もここで寝る。」


そう言って、薄い掛け布団を私にかけると洗面所へ行ってしまった。ここ・・って、ハンモックで一緒に寝るの??えええ??5歳だけど、中身は17歳の乙女ですけど!?

顔が赤くなってしまうけど、今は5歳・・。うん、とりあえず寝ちゃおう・・。


そう思って、そっと目を瞑る。

朝からジェットコースターみたいな一日で・・、なんというか頭がまだこの状況に混乱している状態だ・・。頭はぐるぐるしていたけど、眠気はすぐにやってきた。


連日と変わらず、あっという間に眠ってしまった・・。



朝、目が覚めるとクロさんの腕の中にすっぽり収まって眠っていた事に気付く。


5歳だとこんな感じなんだなぁ・・、クロさんと朝、別れてしまうのでちょっと胸にすり寄って甘えてみた。ええと、け、結婚しますし・・?小さいし。


クロさんは、少し身じろぎしてから私を見ると腕の中にいる私に小さく笑った。


「眠れたか」

「・・・はい」

「お前、すぐ寝るな」

「すみません・・・、夜もいつも寝落ちしちゃって・・。クロさんの低い声が耳に心地よくて・・、聞いてると眠くなっちゃって・・」


そう言うと、クロさんが面白そうに笑った。


「・・声ねぇ」

「聞いてると、落ち着くんですよ・・。で、寝ちゃうんですが」


クロさんは、頭をそっと撫でてくれた。

うん、やっぱりクロさんが撫でてくれると気持ちいいな・・。


「・・・また、今日も話しかけてくれ。待ってる」

「・・はい!!」


にっこり笑って返事をすると、クロさんが静かに笑って・・ちょっと考えているのか宙を見てから、私の頬にキスをした。



「ま、小さいしここまでだな」



クロさんがニヤッと笑うと、私は一気に真っ赤になった。

神様、修業中でしょう!!



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