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お邪魔してます。


緊張に包まれた朝食を終えると、クロさんはフラッといなくなってしまった。

神様のお仕事って、なんだろう・・。


トト君は、「お暇でしょうし・・」と、庭を案内してくれた。

昨日は、外廊下からしか見られなかったけど、間近で見るとまた綺麗だった。


「綺麗〜〜!!」

「そうでしょう〜?クロ様、結構気合い入れて育ててますからね」

「え?クロさんが育ててるの?!」


オラオラ系がお花を育てている?!

ちょっと頑張って想像してみたけど、うん、イメージしずらい・・。

トト君はニコニコ笑いつつ、花畑がある場所へ行くと、しゃがみこんで花を摘む。え、摘んでいいの?


「たえさん、花の冠って作れますか?」

「え、できるかな・・」

「僕ちょっと花を入れる籠を持ってくるんで、作ってて貰えますか?」

「う、うん・・頑張ってみる」


そういって、トト君は建物に戻っていった。

うーん、忙しそうだ・・。


私は昔作った花の冠を作ってみようと試してみた。えーと・・、ここをこうして・・あれ?どうだったっけ?重ねて、ここをくるっと丸めるんじゃなかったっけ・・・。

小学生の時、散々河原で友達と作っていたのに、すっかり忘れてる・・。ええ、まだ若いぞ私。


がさっと音がしたので、トト君かな?って思って振り返ると、


「お前か」


はい!!BOSS!!!

クロさんが気怠げな目でこっちをじっとみてる!!言ってましたね!育ててるって!!


「あ、はい・・、すみません・・花を摘んじゃって」

「別にいい」

「ありがとうございます・・・」

「何してんだ」

「花の冠を作ろうとしてたんですけど・・・、ちょっと作り方を忘れちゃってて・・、苦戦中です」


質問されてるのに、尋問されているような気分になるのは何故でしょう・・・。若干、青い顔で答えた。


クロさんは、私のそばにしゃがむと、花を摘んで編み出す。

え、上手・・、思わず覗き込んでしまう。


「あ、ここがわからなかったんです」


私が指差してクロさんを見ると、じっと私を見る。

ドッと冷や汗が出た。

あ、馴れ馴れしい感じでした?すみません、もうしません。


「・・・ここを、こうすればいい」

「あ、はい」


クロさんは、花と花の茎をクルッと回して見せてくれた。あ、そうだった!ここ・・そうするんだった。


「そうでした・・、思い出しました!」

「もう一つ、作ってみろ」

「あ、はい」


私は、クロさんが作っている横で花を摘んで編み始めた。

さっき、ここをこうしてたから・・、教えてもらった通りに編み込み結構な長さになった。・・・ここからどうしたっけ・・。


「これをこうする」


クロさんは、私と同じくらいの長さの花をぐるっと輪っかにして、纏める所を見せてくれた。


「クロさん、詳しいんですね・・」


思わず上手な手つきに感心して呟いてしまった。

私もクロさんの真似をして、なんとか花の冠を作り上げた。


「出来た〜!!久しぶりに作ったけど、お陰様で出来ました!!」


ちょっとした達成感で、側で見ていたクロさんに笑いかけた。

少し驚いた顔のクロさんをみて、我に返る・・。


あ、いつもの感覚で笑ってしまった・・。


「ええと、ありがとうございます・・・」


なんという顔をすればいいかわからなくて、多分引きつっていたと思う・・・。花と一緒に埋まりたい・・。なんだか居たたまれなくて、下を向くと頭に花の冠を被せられた。


「やる」


そう言って、クロさんは尻尾を少し揺らしながらどこかへとまた行ってしまった・・。


・・ええと、ちょっとは仲良くなれそう・・な感じかな?

うん、そう思う事にした・・・。




私は、とりあえず花の冠の作り方を忘れないように、もう一つ作る事にした・・。クロさんにまた教えてもらうのは・・やっぱりちょっと恐いし。




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