なろうテンプレの良いとこ悪いとこ
なろう系とか言われてよく馬鹿にされてますが、悪いのは使い古されたテンプレではない気がします。
なろうの設定のテンプレって、「悪役令嬢の婚約破棄」や「パーティーからの追放」など、色々種類ありますけどこのテンプレの形自体はなんら悪いものではないと思います。ほとんど全部根っこは、「大したことないと思われていたやつが周囲を見返す」もので、有名作品にはこのパターンが実はとても多いです。ヒロアカとかコナンはもろコレだし、最近では怪獣8号とか、なろうっぽいですよね。
というか「周囲を見返す」という展開は面白い作品に見られる黄金パターンの堂々たる一角です。「周囲を見返す」行為はストレス発散になる気持ちのいいものだから、読者はみんなそれを読みたいんです。
ただ、なろうの一番の問題は、それを露骨にやりすぎて読んでる側が恥ずかしくなることです。だから結果として読み手のストレスがたまっちゃって、本末転倒なんです。
これらのテンプレ自体は面白い、つまり設定は面白いことがほぼ保障されているんだから、そのあとの過剰なヨイショさえやめれば楽しく読めるのにな、と思います。
過剰なヨイショ、つまり「○○しただけだが?こっちではやらないのか?」「やりたくても普通の人はできません!」みたいなやつです。このテンプレが悪さをしているんです。
最初に上げたテンプレ、設定のテンプレはなろう系じゃない有名作品でも似たような構造で作っています。ただ、二つ目に上げた過剰なヨイショのテンプレ、こっちはなろう系くらいでしか見られません。
これが好きな人ももちろんいらっしゃいますが、苦手としている人の数はかなり多いです。なろう系が馬鹿にされているとき、ほとんどは後者に原因があります。この過剰なヨイショをするために極端にバカな悪役を出したりして、なんか主人公のご都合主義が丸見えだなぁとなってしまうことも多いです。ご都合主義自体はエンタメ作品にとって良いものですが、読者が読んでて恥ずかしくなるくらい丸出しでは、逆にエンタメを損なってしまいます。
「ざまぁ」までが面白くって、「ざまぁ」後が面白くないのもここに一因があります。「設定」までが面白くって、「展開」が面白くないという話です。
なろうでは、なぜか奇妙なことにこの面白くない「展開」がテンプレとして確立してしまっています。面白くないのになぜかテンプレにまで成長しているのです。この理由は私にはさっぱり分かりません。もしかしたらこの過剰なヨイショ展開が面白いと思う人が私の予想以上に多くて、ちゃんと需要を満たしているのかもしれません。
だからまぁなろうはこのままの方向性で多分いいし、変えたいとも思わないんですが、じゃあなんで私がこんな文章書いたのかって、もちろん自分の好みの作品、つまり主人公がわざとらしく褒められすぎない作品が増えてくれー!と思うからです。
いやー……これ自分だけの好みじゃなく、多分世間一般の好みだと思うんですよね……。過剰なヨイショはなろうだけの異常な文化だと思います。そこだけ、なろうがサブカル小説にとどまって、世間的に評価されない要因だと思います。