契約
帰ったと思った?
依頼をこなすの忘れてました。
すいませんでした。
まぁフェルだけそそくさと帰ったけど。
ちなみに私は放任主義なので別に良いと思ってるけどね。
話を戻すけど、今日の依頼はオークの討伐。
西の森付近での目撃数がかなり増えてるそうだ。
おそらく西の森に集落があるのだろう。
その調査と集落が有れば潰して欲しいそう。
流石に西の森は広いので魔法で見つけるなんてことは出来ない。
地道に探すしかないか。
ハァー。
「そういえば狼さん。この辺でオークを見ませんでしたか?」
あっ。
そういえば狼はこの辺にいた訳だし、知ってるかも。
「すまんが知らん。」
「チッ。使えんな。」
本当に使えんな。
「いや、我もここには最近来たばかりなのだ。」
『言い訳無用。』
「しょぼ〜ん……。」
「フフフ。なんかレーカちゃんとエリカ先輩って妙に息が合いますよね。それに狼さんもなんか可愛いです。」
確かにエリカとはなんか気が合うよね。
「まぁよくも悪くも似た者同士なんだよ。」
「私はエリカみたいにブラコンじゃないけどね。」
「ブフゥー!」
ちょうどエリカが飲み物を飲んでいたタイミングだったようで、急に吹き出した。
「ちょっと汚い。」
「いや今のはレーカちゃんが悪いと思います。」
「流石の我もそう思うぞ。」
ひどいみんなが私を虐めてくる。
「というかエリカ先輩にお兄さんがいたのですか?」
「ゴホッゴホッ。いるにはいるよ。ただ誰にも話してないはずなんだけど。レーカちゃんはどうして知ってるのかな〜。」
顔が近い。
圧がすごいよ、圧が!
「普通に会っただけだよ。」
『会った?』
おー。
すごい、同じ言葉なのにそこに込められてる感情がこうも違うなんて。
エリカの方から嫌な感情がヒシヒシと伝わってくる。
「サラがちょっと前に従業員募集してたじゃん。その時に面接に来てたんだよね。」
「へー。そうなんですね。」
「ちょっと待って嫌な予感がする。もちろん落としたよね?」
「いや、文句なしの採用だよ。」
「あーーわーーーわーーーわーー
エリカが壊れた。
うるさい。
「落ち着きましたか?」
「うん。なんとか。」
普段のんびりとしながらも完璧主義のエリカがあそこまで取り乱すなんて。
「やっぱりエリカってブラコ。はい、すいません。」
目力がすごいのよ〜。
「タイミングが悪かったら申し訳ないのだが、前方からオークの匂いがするぞ。」
おっ。
タイミングも割といいし。
ちゃっちゃと依頼
終わらせてしまいますか!
「ちょうどいいタイミングでしたね。」
「うん。行こっか。」
木で出来た柵。
見張り用の矢倉のようなものが立っている。
中には住むようと見られる住居もいくつか見られる。
しかし以上なのはその大きさ。
明らかにオークの使える大きさではない。
「小さすぎる。」
「どうしてでしょうか?」
サイズを間違った?
いや、それは無いだろう。
意外と知られていないのだがオークは知能が高い。
ゴブリンならまだしも、そんな知能が高いオークがそんなミスをするはずがない。
それに明らかにあの大きさは……。
「人間用だね。」
「えっ?」
やっぱりエリカも気付いたんだ。
そう、この大きさは人間用だ。
でもなんでこんなところに?
しかもオークの気配はしているので、確実にオークはここにいる。
気配が濃くなった。
この雰囲気、見つかったかな?
「アーリー来るよ!」
「はい!」
「援護は任せて。」
「我も参加するぞ。病み上がりの運動にはちょうどいい。」
建物の影から十二匹のオークが現れた。
『グモォー。』
やっぱりおかしい。
普通のオークはここまで統率が取れていることはない。
オークの知能が高いと言っても他の魔物に比べての話だ。
戦術をとれるようなレベルではない。
十匹以上いっぺんに出てくることなど無いだろう。
しかし今回は十二匹。
しかもまるで挟み撃ちをするかのように二手に分かれて来ている。
どういう事?
うん?
あれは……。
「レーカ、オークの首になんか付いてない?」
「首輪だね。あれからなんか嫌な感じがする。悪いけどアーリーは戦闘なしで。私が全部やる。エリカは私に何かあった時によろしく。」
「分かりました。」
「了解。」
「我はどうすれば良い?」
「待機で!」
「分かった。」
目標オーク十二匹。
オートバトルを開始します。
オークの動きが手に取るように分かる。
このオートバトルの魔法は予めある程度のプログラムを組んでおいて、それを状況に応じて自動で発動するものだ。
例えば今左右から二匹のオークが同時に攻撃しようとしている。
そういう時はギリギリで相手の攻撃を避ける事でお互いの攻撃がお互いに当たるようにするということを事前に決めておくのだ。
魔法はそのプログラムに従って実行してくれる。
その間私は情報を集め、さらにプログラムの精度を上げる。
つまり戦えば戦うほど強くなっていくのだ。
私は前世で数え切れないぐらいの戦闘を行って来た。
そんな私の臥薪嘗胆の努力の成果で、この魔法は最強になっている。
今回はこの魔法を使ってバトルすることで何があってもすぐに対応出来るようにしているのだ。
ドャ!
とりあえず特になんの問題もなくオークを倒せた。
「倒せてしまいましたね。」
「レーカ、この首輪もしかしたら服従の首輪かもしれない。」
「服従の首輪?」
「昔、教会で少しだけ聞いたことがあったの。その首輪を付けると、強制的に言うことをきかせることが出来るって。」
ふざけるな!
そんなものあって言い訳無いだろ!
「レーカ落ち着いて。私はあくまで聞いたことがあるだけ。本当に存在するかは分からないし、その首輪がそうかも分からない。」
「そういえば、背中に十字架の模様の入った服を着た男達が我にその首輪を付けようとしてたな。俺たちの為に働いてもらうぞとか言ってたような。まぁ我がボコボコにしてやったがな。」
背中に十字架……。
『教会!』
「あの話に付いていけないのですが……。」
『……えっ?』
「えっ?アーリー、今の流れで分からなかったの?」
流石にそれは無いでしょ?
「教会が魔物を操って何かしようとしてるって話。」
「えっ、教会ってそんな悪いことしようとしているのですか?」
アーリーは今までの話でそれを理解出来てなかったの?
まぁアーリーらしいや。
「この世の中にそんなひどい人がいたなんて許せません!」
アーリーが頬を膨らませながらプンスカ怒ってる。
なんか和むね。
「なんか逆に冷静になれたね。」
「うん、そうだね。」
「そうだな。」
「?」
流石はアーリー私たちに出来ないことを平然とやってのける!
「そうだ。汝達を見てるのはとても面白い。それに病の件もある。だから、アーリーと契約したいと思うのだがどうだ?」
契約。
それはどちらかが死ぬまでお互いに助け合うことを世界に宣言するものだ。
それをすれば色々なメリットがあるのだ。
私も詳しくは知らないけど。
フェルがそんな感じで言ってた。
「良いのですか?」
「ああ。」
「ではお願いします。」
契約は無事終了した。
エリカがずるいと嘆いていたが、まぁしょうがない。
今の状況ではアーリーが優先だ
エリカもそれが分かってるから、契約が始まるまで何も言わなかったのだろう。
「とりあえず契約も終わったし、帰ろうか。」
「はい。」
帰ってからやるべきことがたくさんだけど、今はモフモフが増えたことを喜びながら帰路に就くとしよう。




