ドラゴンそしてそれ
お母さんと組んでる私の戦闘力は53億万だ。
ハッハッハ!
ごめんなさい。
調子乗りました。
いや本当に今私の戦闘力53億万ぐらいなんだよ、ただあのドラゴンの戦闘力が53兆ぐらいなだけで。
何故そんな状況でも、まだ生きているのかと言えばそれはお母さんのおかげである。
いや、お母さんやばすぎ!
はっきり言ってお母さんは魔法が使えない。
それどころか魔力操作もできないため身体強化すらできていない。
つまり素の身体能力でドラゴンと渡りあっているのだ。
ちなみに私の技術ではドラゴンの鱗が硬すぎて刀が弾かれてしまった。
しかし、お母さんはいとも簡単にドラゴンの尻尾を切ってしまった。
刀自体にはそんなに差がないからこれは技術の問題だ。
正直使い物にならない私は魔法でお母さんの支援をしつつ、お母さんの戦いを見ることに集中している。
お母さんの刀捌きを見てやっぱり私はまだまだだなって思った。
具体的には、そう、あんな感じ、そのスパッていう奴がないというかなんというか、まぁなんかまだまだなのだ!
まだまだできていないということは伸び代があると言うこと。
つまり私最強!
ハッハッハ。
さて、そろそろ1番の問題に目を向けよう。
いや、正直ドラゴンとか刀の使い方とかどうでも良いのだ。
いや、どうでもは良くないけど。
ズバリ、1番の問題は私の頭。
……頭が悪いとかじゃないよ。
頭の上にいる猫である。
「なんでフェルがこんなところにいるのさ!」
王城にも勝手に来てたし、本当どこにでも来るね君。
ちょっとフェルさん。
こんなところで寝ないでください。
何々?
寝顔かわいいだろ?
だから許せ?
うん、かわいいけど……。
さすがにダメだわ。
今私の集中力がなくなったらさすがにお母さんがやばい。
私にこんな酷な選択をさせるなんて。
はっ、もしかしてフェルが私の1番の敵?
馬鹿なこと考えてないで集中しろ?
うん、そうだね。
ていうか君さっき私の頭の上で寝ようとしてたよね!
集中乱してるよね!
まぁいいけどさ。
ドラゴンを前にして悠長に寝る猫ってどうなのさ。
もしかしなくても意外と大物なのか?
自分で言っててなんだけど、猫の大物って何?
縄張りが広いとか?
分かんないや。
まぁいいや。
頭の中では馬鹿なことも考えつつ、体は丁寧にそして早く動かしていく。
いくらお母さんが攻撃を防いでいると言ってもそれは受け流してるだけだ。
つまりボーってしてたら死ぬ。
支援の方も一瞬でも気が抜けない。
ドラゴンの方も体が温まってきたのか、攻撃がどんどんどんどん鋭くなっていっている。
最初の頃はともかく今となってはもう私の支援なしではいくらお母さんでも耐えられないだろう。
普通なら考えることが多すぎて頭がパンクしてしまうが、私は単純な判断を魔法で行うことで脳への負担を減らしている。
そして空いた容量でお母さんの技術をちょっとでも多く盗む。
私は感覚派のようになんとなくでは実行できないし、理論派のように理論だけでは理解できない。
ある程度の理論とそれを理解しながらやった感覚があって初めてできるようになる。
今は実行はできないけど、せめて理論だけでも理解しておきたい。
例え間違っていたとしても、あるのとないのでは全然違うのだ。
このままいけば負けることはないそんなふうに思ったときだった。
「アーリー様見ててください!ドラゴンなんて僕が一瞬で倒して見せますよ!」
「離してください!」
なんで勇者がここに?
いやあいつだけならいい。
あいつだけなら別に怪我をしようが死んでしまおうが私には関係がない。
しかし、あろうことかあのばかはアーリーを連れてきた。
あんのバカ!
アーリーが怪我したらどうする気だ。
相手はドラゴン。
怪我では済まないかもしれない。
しかし、ドラゴン相手にアーリーをかばいながら戦う余裕などない。
それどころか今の一瞬でお母さんが押されかけていた。
私はだいぶそれていた意識を再び戦闘の方へ戻した。
しかし、頭の片隅でどうするかを考えていた。
そんな私を嘲笑うかのように、勇者は動いていく。
「くらえ!」
何あの剣?
刀身に魔法が施されてる?
うーん?
高速で振動する?
そんなことしてなんになるのかな?
案の定、勇者の剣はドラゴンを1ミリも傷付けることが出来なかった。
それどころか剣が簡単に折れてしまった。
「なっ!高速振動剣が壊れた?おかしいだろ!なんでも切るんだぞ!なんで壊れるんだ!」
なるほど。
高速振動によって溶かし切るつもりだったんだ。
まぁ、普通生物って魔力が外部からの干渉を無意識的に打ち消してるし、ドラゴンは特にそうだから意味ないけどね。
だからこそドラゴンは強いんだ。
内部からダメージを与えるか、内部の魔力に干渉しないと碌にダメージを与えられない。
この時私は勇者に気を取られ、油断してしまった。
ドラゴンはその一瞬の隙をついてくる。
ドラゴンは急に少し高く飛ぶと私達を無視して、私達を超えていってしまった。
まずい!
あっちにはアーリーが!
まさかアーリーを狙ってる?
ドラゴンはアーリーを狙っていた。
やばいやばいやばい。
どうする、どうする!
落ち着け私。
こういうときこそ落ち着け!
このまま追いかけてもアーリーを庇うのは無理。
どうにかドラゴンの気を逸らすしかない。
頭では考えつつ、ドラゴンを追いかける。
ドラゴンの気を逸らすには、単に傷付けるだけでは足りない。
逆鱗を攻撃する?
前側にあるから時間が足りない。
尻尾を切ればいけるかな?
切れるか?
鱗1枚切れなかった私が。
でも、やるしかない。
手本は散々見たんだ。
できる!
もうドラゴンはアーリーの目の前。
チャンスは一回。
でも、できる。
「アーリーに手を出すなー!」
刀を振り下ろす瞬間まるで自然が私を手助けする様に風が吹き、刀に魔力がこもっていた。
その刀はドラゴンの尻尾を根元から切断していた。
そしてすべての魔力を使い果たした私はかろうじて意識はあるもののその場に倒れ伏してしまった。
ドラゴンが最強と呼ばれる最大の理由はその鱗でも、身体能力でもなく、再生能力である。
尻尾が復活したドラゴンは怒り狂っていた。
普通で有れば、私の行動は単なる時間稼ぎにしかならなかっただろう。
怒り狂ったドラゴンにアーリーどころか私やお母さんまで殺されていたかもしれない。
しかし、ここにはそれがいた。
私の行動はそれが私を助けようと思うに十分な行動だった。
「お疲れなの。後は私に任せてゆっくり休むといいの。」
私はその言葉につられるように眠ってしまった。
「アーリーとやら、レーカを連れてあっちの2人と帰るの。レーカを早く休ませて欲しいの。」
「あなたは誰ですか?」
「そんなことどうでもいいの。さっさと行くの。」
それは不満げながらもレーカを連れて行ったアーリーを少し見送ると、ドラゴンに向き直った。
「あなたも死にたくなければ帰るの。」
「グォー!」
ドラゴンが言葉に反応したかのように吠えると、そのドラゴンより遥かに大きいドラゴンが姿を表した。
「グォー!」
「そう。ならいいの。」
ドラゴンはどこか満足したように大きいドラゴンとさっていった。
そしてそれも主人と決めた者、レーカの元へと戻っていくのだった。
魔法は魔力を操作した上で放出しないといけないので難しい。
放出する際に魔力をかなり使うので魔力も多く必要。
詠唱で魔法を発動する場合魔力操作にも魔力が必要なので、魔力がすごく必要。




