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第93話 公言しないでくださいね

「あ、それとですね」

「ま、まだ何かあるのか……?」


 アレクさんたちはすでにお腹いっぱいという顔をしていた。


「皆さん、ギフトは持っておられないですよね」

「え? あ、ああ。もちろんそうだ。冒険者でも、祝福なんて受けられるのは運よくお宝を発見した奴とか、ごくごく一部。しかも祝福を受けたところで、高確率でギフトを授かることなんてできねぇ。そんな分の悪い賭けに大金を費やすなんざ、お貴族様だからできるこ――」


 僕が貴族だということを思い出したのか、アレクさんは慌てて口を噤む。


「気にしないでください。今の僕はただの村長ですし」


 それにしても祝福に多額の献金が必要なの、どう考えてもボッタクリだよね。

『神託』のギフト持ちさえいれば、一分もかからずに祝福を授けることができるんだから。


「うちの教会なら金貨一枚で受けれますよ」

「はい?」

「『神託』のギフトを持っている神官がいますので」

「そ、それは本当か!? てか、金貨一枚……っ?」


 さすがにタダというのもどうかと思って、金貨一枚は献金してもらうことにした。

 あ、もちろん村の定住者は無料だけど。


「いやいや、祝福献金は、白金貨数枚とか、庶民じゃ一生かかっても稼げねぇ金額だって聞いてるぞ!?」


 白金貨は一枚で金貨百枚に相当し、僕も見たことがあるのは何回かある程度。

 僕が祝福を受けるときには、恐らく父上が支払ったんだと思うけど……その結果が……うん、あまり考えたくないね。


「その代わり、あまり公言しないでくださいね?」

「あ、ああ……」


 非公式な教会だと理解したのか、アレクさんは引き攣った顔で頷いた。


 もちろん誰かれ構わず、祝福を受けさせてあげるわけじゃない。

 危ない人がギフトを持ってしまっては問題だからね。


 実はアレクさんたちに内緒で、こっそり村人鑑定を使っていたのだ。

 そのため勝手に村人にもしちゃっている。

 特に害があるわけじゃないし、この村を出てしばらく経ったら自動で外れてしまうようなので大丈夫だろう。


 使ったのは村人鑑定Ⅱの方だ。

 あれから試行錯誤した結果、必要な情報だけを選択して見ることができるようになっていた。



アレク

 年齢:38歳

 愛村心:低

 適正職業:戦士

 ギフト:(大剣技)

 スキル:大剣技LV2

 犯罪傾向:なし


ハゼナ

 年齢:18歳

 愛村心:低

 適正職業:魔法使い

 ギフト:(火魔法)

 スキル:火魔法LV2

 犯罪傾向:なし


デル

 年齢:31歳

 愛村心:低

 適正職業:斥候

 ギフト:(索敵)

 スキル:索敵LV3 隠密LV1 短剣技LV1

 犯罪傾向:なし


カムイ

 年齢:27歳

 愛村心:低

 適正職業:僧兵

 ギフト:(光魔法)

 スキル:光魔法LV2 棍技LV1

 犯罪傾向:なし



 特筆すべきは、四人全員が潜在ギフトを持っていることだ。

 そして偶然なのか必然なのか、現在の職業と潜在ギフトがかなり一致している。


 もしかしたらたとえギフトを授かっていなかったとしても、ある程度は生き方に影響を与えてくるのかもしれない。


 スキルというのは、ギフトとは違い、当人が努力によって獲得した能力のことだ。

 ……村スキルは例外だけど。


 これもギフトと関連したものが多い印象である。

 潜在ギフトと同種のスキルは、未祝福であっても伸びやすいのかもしれない。


 ちなみに実際に祝福を受ければ、例えば『剣技』なら「剣技」スキルがあっという間にLV5を超えてしまう。

 それだけギフトの力は大きいってことだ。


「しかしまぁ、ただの平民の俺たちがギフトを授かる可能性は低いだろうけどよ」

「あたしはきっと授かるわ!」

「おいおい、ハゼナ、そりゃ一体どこからくる自信だよ?」

「何となくよ! 何となくあたしは選ばれた存在な気がするの!」

「はっ、だったらいいがな」


 少し冷めた反応のアレクさんに対して、ハゼナさんは鼻息を荒くしている。


「あはは、大丈夫ですよ。皆さん、どうやら選ばれた存在らしいですから」

「……え? 何でそんなことが分かるんだ……?」

「あ、いや、ええと……何となく、です」


 そうして僕は彼らを教会へと連れていくのだった。


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] いっその事住民にならないか誘ってみたら良いのに
[一言] このまま村専属の冒険者(村人)になったりしてw
[一言] おいおーい。なんとなくとかでギフト持ち見抜いたなんて言ったら、また信仰者が増えちゃうじゃないかー。
感想一覧
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