第85話 登って遊ぶのかな
春になってから、ますます村の人口が増加していった。
どうやらアルベイル領に広く噂が広がっているらしく、北郡以外の地域からの移住者が増えてきているのだ。
〈パンパカパーン! おめでとうございます! 村人の数が3000人を超えましたので、村レベルが7になりました〉
〈レベルアップボーナスとして、700村ポイントを獲得しました〉
〈作成できる施設が追加されました〉
〈村面積が増加しました〉
〈スキル「村人鑑定Ⅱ」を習得しました〉
その結果、村人が3000人を超えて、またレベルが上がってしまった。
販売店(50) 飲食店(100) 遊び場(100) 墓地(200) 病院(500)
これらが新しく作れるようになった施設だ。
「販売店に飲食店……これはありがたいかも」
人が増えると、商売が行われるようになる。
少しずつこの村でも、定住して商品を売買する商人が増えてきていたけれど、これまでは小屋をカスタマイズしたものをお店として使ってもらっていたのだ。
これまでは数が少なかったのでそれが可能だった。
でも、今後どんどんお店が増えていくと、労力的にそんなことはできなくなるだろう。
なので、商品によっては多少のカスタマイズが必要かもしれないけど、そのまま販売店を作成できるようになったのは非常に助かる。
もちろん飲食店も同様だ。
今は屋外調理場を利用した酒場っぽいものがあるけど、お酒も料理もすべて無料で提供しているので、今後はちゃんと商売の形にしていった方がいいだろう。
「遊び場?」
〈子供用に、様々な遊具を備えた施設です〉
「ちょっとピンと来ないけど……試しに作ってみようかな?」
空いたスペースに作成してみる。
するとそこに現れたのは、普通の広場と変わらない平らな一帯だ。
ただし、見たことも聞いたこともない謎の物体の数々が並んでいる。
「何だろう、これ? 登って遊ぶのかな? あ、もしかしてここから滑り降りる感じ?」
そのうちの一つに登ってみると、ちょうど人一人が滑り降りるような坂が下まで続いていた。
「わっ!」
試してみると、結構な勢いで滑り落ちていく。
降りた先はちゃんと柔らかい砂場になっていて、勢い余って転がっても痛くないようになっているらしい。
これは子供たちが喜びそうだ。
と思っていると、かけっこをしていた子供たちが群がってきた。
「そんちょーさま、何やってるのー?」
「なにこれー?」
「たのしそう!」
その後、この遊び場は子供たちに大人気となった。
今まであちこちで遊んでいたのが一か所に集まってくれるようになり、お陰で目が届きやすくなったと大人たちからも喜ばれた。
村に子供がかなり増えてきてたし、ちょうどよかったね。
……僕ももうちょっと子供だったら、一緒に遊んで……いや、僕は村長だし、そんな暇はないよね、うん。
「あとは墓地に病院か……。確かに今後どちらも必要になってくるよね」
若い人が多いこともあって、今のところ死者は一人も出ていない。
病気の人もほとんどいなかった。
それにしてもこの二つが一緒に並んじゃうの、何となく縁起が悪い気が……。
村の面積がさらに増えて、気づいたら荒野全域どころか、北の森や東の山脈といった場所までほぼ含むようになってしまった。
便宜上、人が住んでいるこの中心部だけを「村」と呼んではいるけれど。
ちなみに村の面積は、最初に村を作った場所を中心に円形に広がっていく。
レベルが上がるにつれ、半径が倍になっていくので、面積としては四倍になる計算だ。
治めている人がいる場所は、領地強奪を使わない限り村の領内にはならないので、円形と言っても実際には歪な形になっていた。
「ええと、それからスキルは……村人鑑定? いや、村人鑑定Ⅱか」
どうやらレベル2で習得した村人鑑定Ⅱの上位版らしい。
ちょうど良いところにミリアがやって来たので、どこが変化したのか実際に確かめてみよう。
ミリア
年齢:21歳
愛村心:超
適正職業:神官
ギフト:神託
力:E 耐久:E 器用:C 敏捷:D 魔力:D 運:B
身長166センチ 体重52キロ バスト91センチ ウエスト68センチ ヒップ93センチ
「うわああああっ!?」
「ルーク様?」
なんか身体の細かい情報まで見えてしまった!?
アルベイル家の元メイド。下級貴族の出で家柄がよく、また仕事もできたため将来のメイド長候補だったが、大のショタ好きのため仕事を捨て、実家を追放されたルーク=アルベイルに同行する。虎視眈々と彼の貞操を狙っ――
す、ストップストップ!
さらに見てはいけない情報が頭の中に流れてきたので、僕は慌てて叫んだのだった。
※村の面積に関する設定を修正しています。
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