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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第477話 もう倒しちゃったんで

 その日、僕はミランダさんに呼び出された。

 彼女が居候している部屋に入ると、エミリナさんもいた。


「話って何ですか?」

「ああ、実はよ……そろそろ、オレたちがなぜ封印されていたのか、話すべきときが来たと思ってよ」

「そうですか」

「って、何で回れ右して帰ろうとしてんだよ!?」


 僕は溜息を吐きながら向き直って、


「だって、どうせまた出鱈目を言って僕を揶揄うつもりでしょ」

「いやいや、今までのは悪かったって。だが今回はマジだ。よく見てみろ、オレもエミリナも全然酔ってねぇだろ?」

「言われてみれば」


 珍しく部屋の中が整頓されているし、アルコールの臭いもしない。


「うふふふ、わたくしたちだって、いつでも飲んでるわけではないんですのよ」

「いつでも飲んでますよね?」


 最近は飲んでいないところを見たことがない。

 だからこそ、こうして素面でいるのが信じられないほどだ。


 まさか、今回は本当に真面目に話すつもり……?


「でもこいつらのことだし、手が込んだ真似をしてまた僕を揶揄う気かもしれない」

「……心の中の声が完全に外に漏れだしてんぞ? まぁ、とりあえずオレの話を聞いてみろって。最近、世界的に魔物の動きが活発化してきてるだろ?」

「え? なぜそれを? というか、唐突に何ですか? ミランダさんたちの話と何の関係が?」


 僕が少し食いついてきたからか、ミランダさんは満足そうに頷いてから、


「実は関係大ありだぜ。今から何百年も昔の話だが……悪しき神によって、世界中の魔物が力を得た。数が増えたばかりか、より凶悪で狂暴になりやがったんだ。だが、実はそれはほんの序章に過ぎなかった。その神の加護によって、恐ろしい魔族の王が誕生したんだ」


 えっと……どこかで聞いたような話なんだけど?


「そいつは自らを魔王と名乗った。そして他の魔族を従え、狂暴化した魔物を操りながら、人間の国々に襲い掛かったんだ。その結果……人類国家の半分以上が滅ぼされた」


 うん、つい最近、聞いたばかりの話だ。


「もはやこのままじゃ、人類は完全に魔族に支配されちまう。だがそんな状況で、魔王に立ち向かう人類の希望が現れた。それがオレたちだ。オレとこいつ、それからあと二人の英傑たちが、力を合わせて魔王に挑んだ。戦いは熾烈を極めたが……ついには魔王を打ち破ることに成功する。ただ、絶命の間際、魔王はこう告げた――」




「――いずれ新たな魔王が誕生する。今度こそ貴様ら人間どもは滅びるだろう、と」




「そこでオレたち四人は、自らを封印することにした。新たな魔王が現れたときにオレたちもまた復活し、再び魔王を倒すためにな」

「うふふふ、その前に誰かに無理やり封印を解かれたりしないよう、人の手が届かない場所を選んだはずだったんですのよ?」

「まさか、普通にオレたちのとこまで辿り着きやがるとは思ってなかったぜ。お陰でほんの少し、復活のタイミングがズレちまったようだ」

「というわけですので、魔王の討伐はわたくしたちにお任せくださいまし」


 これは一体、どういうことだろう?

 今回の一件を利用し、また僕を揶揄っているってこと?


 うん、そうだ。そうに違いない。


「はぁ……そうまでして、僕を騙したいんですか……」

「あ? 何を言ってやがる? 今回のはマジのマジだぜ」

「昼間から部屋に籠ってお酒ばっかり飲んでるのに、どうやって情報を得たんですか」

「……何の話ですの?」


 不思議そうな顔をする二人。


「そもそも残念ですけどそれ、もう成立してないですよ? 最新の情報を仕入れられなかったようですね。お陰でちょっと喜劇みたいになってますから」

「おい、どういうことだ? 本気で意味が分かんねぇんだが?」

「だって……魔王なら、もう倒しちゃったんで」




「「はい?」」




 二人の頓狂な声がハモった。


「正確には、邪神の呪いを解いて魔王を正気に戻したんです。それで魔族たちも正気になって、すでに和平を結びました」

「は? は? ちょっ……な、何を言ってやがる?」


 珍しく焦った様子のミランダさん。


「演技が上手いですね。だけど、もう僕は騙されないですよ」

「いやいやいや、演技じゃねぇって! 魔王を倒した!? それはマジで言ってんのかよ!?」


 ……あれ?

 さすがに演技にしては、ちょっと迫真すぎる気も……?


「はぁ、だからやり過ぎるとオオカミ少年になると忠告しましたのに……」


 エミリナさんが大きな溜息を吐く。


「村長さん、今回こそは本当なのですわ。そしてあなたのおっしゃることも本当だと信じることにしますの。……今までの意趣返しに、嘘を吐いているというわけではありませんわよね?」

「僕は嘘なんて吐いてないよ。魔族と和平を結んだ証拠に、村に遊びに来ているよ」

「マジか!」


 ミランダさんが部屋の窓から外を覗く。

 地上は遥か下なので人が豆粒くらいにしか見えないけど、視力がいいのか、あるいは魔法によるものなのか、すぐに確認できたようで、


「……マジで魔族がいやがる……いつの間に……あれ……つーことは……オレたち……何のために封印から解放されて……」

「どうやら本当に、わたくしたちの役目が終わってしまったみたいですわね……」


 ……どうやら今回は本当に本当だったらしい。

 ええと……こんなとき、なんて言ったらいいんだろう……?


「つまり……もう何も気にせず、毎日毎日飲んで食ってぐうたらしてたらいいってわけだな!」

「そういうことになりますわねぇ!」

「開き直った!?」

「「ひゃっほおおおおおおおっ!!」」


 そうしていつも以上にハイテンションで酒盛りを始める二人。

 僕は思わず呟いた。


「また封印できないかな、この二人……」


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生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
拷問官の婆さんの所に封印していいんじゃないか?この役立たずども
一応仕事は真面目にやる気はあったんだなw
おーい神様。出番の時に何もせず役目がなくなったらのんべんだらりの連中もういっぺん封印してくださーい。
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