第469話 こんなに激しいの
魔王に吹き飛ばされ、後方の壁に激突する父上。
「ピパネル、エデル様の回復を! ガイオン、メリベラはやつをエデル様に近づけるな!」
ネオンが慌てて指示を出すが、自分の役割を理解しているのか、すでに他の四将たちは動いていた。
「はっ、オレたちも参戦するぞ!」
「うふぅん、久しぶりにヒリヒリする戦いができそうねぇん!」
ラウルとゴリちゃんを筆頭に、みんなが一斉に魔王に躍りかかっていく。
「雑魚どもが」
「「「~~~~っ!?」」」
魔王が軽く腕を振るうと同時、放出された闘気が津波のようにみんなに襲いかかった。
まとめて吞み込まれ、こちらに吹き飛ばされてくる。
「うわっ!?」
「村長!」
僕も巻き込まれそうになったけれど、ノエルくんが目の前に立って防いでくれた。
「ノエルくん、ありがとうっ……でも、前に言った通り、僕のことは守らなくていいから! ノエルくんにはもっと重要な役割があるでしょ!」
「村長……わ、分かった!」
盾を手に前進するノエルくん。
魔王は再び闘気を放ってきたけど、それをノエルくんは盾で明後日の方角へと弾き飛ばしてしまった。
「ほう、我が闘気を防ぐか」
そのノエルくんを文字通り盾にし、セレン、セリウスくん、そしてバルラットさんが魔王に迫った。
「凍りつきなさい! フリージング!」
「風よ、集え! ワールウィンド!」
セレンの放った猛烈な冷気を、セリウスくんの風がサポートする。
極寒の旋風が巻き起こり、魔王を渦の中に閉じ込めてしまう。
「無駄だ!」
魔王は軽々とそれを消し飛ばしてしまったが、その頭上から躍りかかる影。
「うおおおおおっ!!」
ノエルくんの背中を踏み台にして跳躍していたアレクさんが、落下の勢いも上乗せしながら、大上段から魔王の頭へ剣を振り下ろそうとする。
「無駄だと言っているだろう」
しかしアレクさんの渾身の一撃を、魔王は片手で受け止めてしまうと、そのまま剣を掴み、アレクさんごと放り投げた。
「ファイアジャベリン」
「貫け」
そこへハゼナさんが発動した炎の槍と、フィリアさんの放った矢が魔王に迫る。
だが魔王は炎の槍を片腕で掻き消すと同時、矢をあっさり掴み取ってしまった。
「「はああああああああああっ!!」」
間髪入れず、気迫の雄叫びと共に魔王に迫ったのはアマゾネスの二人。
両側から拳と蹴りの連打を魔王に浴びせたが、
「効かぬ」
まるでそれを意に介することなく、右手でチェリュウさんの拳を、左手でチョレギュさんの足を掴んで放り投げた。
さらにアカネさん、マリベル女王、バルラットさん、バンバさん、ガンザスさん、カシムが挑むも、やはり魔王に一蹴されてしまう。
「うふっ、アタシ、興奮してきちゃったわぁぁぁんっ!」
攻撃を浴びていつものようにヒートアップし始めたゴリちゃんが、再び魔王に迫った。
魔王が闘気の砲弾を放つも、ゴリちゃんは闘気を帯びた拳で、
「どっせええええええええいっ!」
それを弾き飛ばした。
「なに?」
「イクイクイクイクイクッ……イクわよおおおおおおおおおおんっ!」
ゴリちゃんの凄まじい猛攻が魔王に襲い掛かる。
「っ……なるほど、人間にしておくには、惜しいパワーだ。だが……到底、我には及ばぬ!」
だけど魔王も防戦に甘んじることはなかった。
むしろゴリちゃんの攻撃を浴びながらも、強烈な反撃をお見舞いしていく。
「アアアアンッ、すごいっ……こんなに激しいのっ……初めてよおおおおおんっ!!」
ドMの本領を発揮して(?)、さらに興奮を強めていくゴリちゃん。
さすがの魔王もこれには少し戸惑っている様子。
「な、なんて戦いだ……正直、俺たちじゃ割り込めないぞ……」
「巻き込まれるだけでお陀仏であろう」
バルラットさんとガイさんが息を呑んで呻く中、そんな激戦の中に割って入っていく者たちがいた。
「はっ、楽しそうじゃねぇか! オレも交ぜやがれ!」
「ふん、あの程度で私を倒せたと思ったか」
ラウルと父上だ。
さらにそこへノエルくんも突撃する。
正面から魔王の攻撃をゴリちゃんとノエルくんで受け、ラウルと父上が左右から魔王を挟撃する。
「『剣聖技』が二人に、『拳聖技』と『盾聖技』……っ! 間違いなく人間最強の四人……凄まじい攻撃だ……っ!」
「だがそれとまともにやり合っているなんてっ……さすがは魔王……っ!」
「けど明らかに押してる! 勝てるぞ!」
ノエルくんのシールドバッシュが魔王の体勢を崩すと、ゴリちゃんの強烈な蹴りが下顎を貫く。
よろめいた魔王へ、ラウルと父上が容赦ない斬撃をお見舞いする。
「が……っ!」
魔王が膝を突いた。
さらに畳みかけようと、四人が猛攻を仕掛ける。
「舐めるなっ! 虫けらどもがあああああああああああっ!!」
「「「~~~~~~~~っ!?」」」
しかし次の瞬間、魔王が全身から闘気を爆発させると、それが衝撃波となって四人を吹き飛ばしてしまう。
「我はっ……魔王っ……虫けらごときにっ……負けるわけにはいかんのだあああああっ!!」
身体中の血管が浮き出し、爛々と目を光らせながら絶叫する魔王。
全身を纏う闘気がさらに強くなり、その怒りに呼応してか、部屋全体が震え始める。
「ま、まだ強くなるってのかよ!?」
「いやっ……いくら何でも、あれはすでに限界を超えている……っ! ダイモン族とはいえ、普通は身体が持たぬぞ!」
「呪いのせいでコントロールが効かなくなっているのやもしれぬ!」
そのときだった。
背後から密かに接近していた人影が、魔王の背中に聖水を振りかけたのは。
「……怒りのあまり……周りが、見えなくなっていたな……」
四将の一人、ピパネルだ。
「っ!? がっ……があああああああっ!?」
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