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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第467話 とぉっても大きいわねぇ

「かなり高いとこまで上がってきたわね」


 壁に開いた窓のような穴から外を眺め、セレンが言う。

 いつの間にか、周囲の奇岩を見下ろすことができる高さまで来ていたようだ。


 そうして螺旋の坂を駆け上がることしばし。

 やがて僕たちの前に現れたのは、両開きの扉だった。


「……気を付けろ……この先に、かなりの数の反応が、ある……恐らく……ここで我々を、待ち構えている……」


 ディルさんが注意を促す。

 やっぱり途中でほとんど魔族と遭遇しなかったのは、戦力を集結させていたからみたいだ。


「だが六魔将はオレ以外、この拠点にはいなかったはずだ。この先にいるのは魔王の側近のダイモン族たちだけだろう」


 頷きながら、ガオガルガさんが補足する。


「行くぞ」


 父上がそう小さく呟きながら、扉を蹴り飛ばした。

 ドオオンッ、と盛大な音と共に扉が勢いよく開く。


 扉の先にはドーム状の空間が広がっていた。

 天井から鍾乳洞のような岩のつららが無数にぶら下がり、また床からも中心部以外には大量の石筍が伸びている。


 やはりここで待ち構えていたようで、二十人ほどの屈強なダイモン族たちが部屋の左右にずらりと並んでいた。

 ダイモン族の中でもひと際体格に優れた者たちを集めたのか、全員がまるでゴリちゃんのようだ。


 だけどそんな彼らを上回る巨漢が、奥に設けられた椅子に腰かけていた。

 あれが魔王……。


 座っているから分かりにくいけど、たぶん背丈は三メートルくらいあるんじゃないだろうか。

 離れた場所にいるのに威圧感が凄まじく、僕は思わず後ずさってしまう。


「あいつが魔王か……」

「……あらぁん、とぉっても大きいわねぇ」


 ラウルやゴリちゃんですら、そのプレッシャーを感じて汗を掻いている。

 やはり一筋縄ではいかない相手なのだろう。


 魔王が口を開く。


「よくぞここまで辿り着いた。虫けらのような人間どもにしては、なかなかやるではないか。褒めてやろう。それに……どうやったかは知らぬが、六魔将を二人も寝返らせるとはな」


 父上が鼻を鳴らして言い返す。


「ふん、随分と偉そうな口を利くではないか。これからその虫けらに無様に倒される運命だというのにな。地に這いつくばって許しを請うなら今のうちだぞ?」

「っ……貴様」

「人間ごときが、魔王様に……」


 その物言いに配下のダイモン族たちが憤慨し、一気に一触即発の空気になる。


「人間風情が鳴き声だけは立派だな。しかし残念ながらこの私と対峙することすら叶わぬだろう。ここに集う我が同胞たちの前に、地に這いつくばるのはお前たちの方だ。やれ。戦闘魔族たる我らダイモン族の力を見せてやるがいい」

「「「おおおおおおおおっ!!」」」


 怒声を轟かせ、ダイモン族たちが一斉に躍りかかってきた。

 こちらも武器を構えて迎え撃たんとする。


 そして両陣営が激突する――まさにそのとき、みんなが隠し持っていた聖水をぶちまけた。


「「「~~~~~~~~っ!?」」」


 聖水を浴びたダイモン族たちがそろって苦しみ出す。


「……何だ? 何をした?」


 予想外の展開に魔王が驚く中、聖水の効果によってダイモン族たちを冒していた呪いが次々と解かれていった。


「お、俺は一体何を……?」

「魔王様……とは、何だ……?」

「今までまるで夢を見ていたような……」


 やはり彼らも呪いにより自我を失っていたらしい。


 ただ、同じダイモン族のため呪いが解けても、魔王側につく可能性は十分ある。

 そのため隙を見せている間に身動きを封じておこうと、すでにビビさんが黒魔法で拘束していた。


「お前たちも呪いによって、強制的に魔王に従わせられていたのだ」

「なんだと?」

「ダイモン族も、その大半が人間との戦いなど望んでおらぬだろう」


 魔族であるビビさんとガオガルガさんから説得を受け、困惑するダイモン族たち。


「どういうことだ? 呪いだと? 何の話をしている?」


 しかし一番この状況に混乱していたのは魔王だった。

 その反応から、どうやら魔王自身は自らが発生源となっている呪いの存在を理解していないようだ。


「もしかしたら、魔王自身も呪われた状態にあるとか……? それなら聖水が効果あるかもしれない!」

「……つまらん。せっかく少しは骨のある相手と戦えるかと思っていたが、そんなもので正気に戻ってしまうとは」


 父上は退屈そうに言うけれど、余計な戦いを避けられるならそれに越したことはない。


「要するにあやつに聖水をかければいいでござるな! 拙者に任せるでござるよ!」

「ちょっ、アカネさん!」


 また功を焦ったアカネさんが、聖水を片手に魔王へと突っ込んでいく。

 しかし魔王が片手をアカネさんに向けた次の瞬間、アカネさんが手にした聖水の瓶が割れ、液体とガラスが飛び散った。


「……へ? ななな、今のは何でござる!?」

「闘気だわぁん。闘気を砲弾のように飛ばして、瓶を割ったのよぉん! でも、あそこまで闘気を凝縮させ、しかもピンポイントで瓶にぶつけるなんて……すごい技術だわぁん」


 闘気の扱いに長けたゴリちゃんですら驚く高等技術らしい。


「はっ。あの様子じゃ、そう簡単に聖水を被ってくれそうにはねぇ。どのみち少なからず痛めつけてやる必要はあるだろうぜ」


 ラウルがどこか嬉しそうに笑う。

 彼の言う通り、魔王は聖水を警戒してくるはずなので、先ほどのダイモン族たちのように簡単にはいかないだろう。


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