第453話 強力な助っ人を呼んでいます
第一部隊にはゴリちゃんとアマゾネスたちが、第二部隊には巨人兵や機竜が、第三部隊にはアレクさんたちが加わることになった。
「ちょっと待ってくれ、村長。さすがに俺たちだけ明らかに戦力不足じゃないか?」
アレクさんが慌てて口を挟んでくる。
確かにいかにアレクさんたちが実力のあるパーティだとはいえ ゴリちゃんやアマゾネスたちや、巨人兵や機竜といった強力な兵器群に比べると、戦力が劣るのは間違いない。
「なので、強力な助っ人を呼んでいます」
「強力な助っ人?」
その瞬間、部屋に二つの人影が出現する。
影武者が連れてきてくれたのは、
「事情は聞いた。とっとと連れていけ」
王国軍の将軍を務める僕の弟、ラウルだった。
副官のマリンさんも一緒だ。
「……確かに、頼もし過ぎる助っ人だ。だがいいのか? こんなときに王国軍を離れてしまって」
もちろんセルティア王都だって、いつ魔族に狙われてもおかしくない。
ただ、魔族の六種族が、それぞれ一つの都市ずつ攻撃している状況のため、恐らくすぐには次の襲撃はないと思う。
「心配するな。仮に魔族どもが王都を襲おうと、オレが鍛え上げた今の王国軍はそう簡単にはやられはしねぇ」
ラウルの言葉に頷きつつ、僕は告げる。
「よし、じゃあ早速、各部隊を瞬間移動で戦場に送るよ」
そうして影武者たちが、それぞれの部隊を目的地へと連れていった。
だけどこれはまだ第一陣だ。
今から村人たちに志願者を募集し、第二陣、第三陣と戦力を投入していくつもりである。
「ルーク村長、先ほど募集を開始したところ、すでに三百人以上の志願が来ています」
「え、もうそんなに?」
サテンからの報告を受け、僕は驚く。
「まだまだ増えそうな勢いです」
「頼もしいなぁ」
戦うギフトを持たない普通の村人たちであっても、普段から訓練場で体を鍛えたり、武器の扱いを学んだりしているので、実はそこらの国の兵士よりずっと強かったりする。
なので魔族や魔物が相手でも、十分な戦力になるだろう。
「それじゃあ、適当に三つの部隊に分けて、戦場に投入していって! 今は正確さよりも早さが大事だからね!」
「了解です」
志願者の中には、アカネさんやその弟のゴンくん、あるいはマリベル女王やガンザスさん、カシムの姿もあった。
「拙者も戦うでござる! 世界の危機のために立ち上がらずして、何がサムライか!」
「さすがは姉上! 素晴らしい武士道でござる! ……きっとダイエットにもなるでござるしな」
「我らも力を貸そう。魔族の脅威は、我がエンバラ国にとっても余所事ではないはずだ」
「無論、儂も参戦しますぞ!」
彼らをどんどん戦場へと送り出していく。
「……さて、僕も行こう、戦場に」
僕が最初に瞬間移動で飛んだのは、バルステ王国の王都。
ここではアンデッドの群れが都市に溢れ返り、街中がパニックに陥っていた。
「どう? 上手くいった?」
「うん、アンデッドが沸いてこなくなった」
僕の問いに、あらかじめこの都市にいた影武者が頷く。
ここは村からの救援部隊が後回しにされてしまったものの、その代わりすでに僕の影武者がある対策を講じてくれていた。
墓地をすべて、ギフトで霊園に変えてもらったのだ。
〈霊園:明るく綺麗な墓地。墓石の風化防止。盗掘防止。アンデッド化防止。安らかな眠りを保証します〉
お陰で新手のアンデッドの発生を防ぐことができたみたいだ。
ただ、すでに湧いて出たアンデッドは野放しのままであるし、何より、
「元凶はヴァンピア族だよね?」
「うん。だから住民の血を吸って、操ろうとしてくると思う」
ヴァンピア族にはアンデッドを操る能力だけでなく、血を吸った相手を支配する能力もあるらしい。
「じゃあ、あちこちに大聖堂を作ろう」
僕は影武者と手分けして、街の各所に大聖堂を設置していった。
〈大聖堂:信仰の中心となる聖なる施設。ここで真摯に祈りを捧げれば、様々な恩恵を受けられるかも?〉
ここに逃げ込めば、アンデッドはもちろん、ヴァンピア族も追ってはこれないはず。
「これで加勢までの時間くらいは稼げるかな? よし、次の戦場に行こう」
続いて僕が飛んできたのは、ゴバルード共和国の首都だ。
ここはゴイル族という鳥の姿をした魔族と、飛行系の魔物に襲われていた。
「状況はどう?」
「悪くないよ。みんなどんどん地下に逃げ込んでる」
ここでも影武者がすでに動いてくれていた。
街のあちこちに避難場所として地下道を設置したのだ。
〈地下道:地下を通行するための道路。常時点灯。自動空調〉
空を自在に飛行できるゴイル族は、街を囲む湖も防壁も無効化してしまう上に、制空権を奪われているため戦うのも容易ではない。
だけど地下道のような狭くて天井も低い場所では、その能力を十分に発揮することはできないはずだった。
「ついでにタワーマンションでも建てておくかな」
「タワーマンション? 何のために?」
「自分たちが飛んでる高さより遥かに高い建造物が沢山あったら、嫌でも警戒するでしょ?」
「確かに」
それにゴバルードの兵たちが上手く活用してくれれば、魔族や魔物と有利に戦えるようになるだろう。
ここも村の救援はもう少し後だけど、その際にも利用できるはずだ。
続いて僕は、クランゼール帝国の帝都へと移動する。
ここはダークエルフの襲撃を受けていた。
魔物の大群を引き連れたダークエルフたちが、帝都を包囲し、防壁を破壊しようと猛攻撃を仕掛けている。
ただ、強固な防壁は一向に壊れる気配がない。
「防壁を強化してくれたみたいだね」
「うん」
影武者には施設グレードアップのスキルを使い、防壁を強化してもらったのだ。
元より頑強な帝都の防壁がさらに頑丈さを増せば、そうそう破壊できないだろう。
「都市の中に侵入されてる様子もないし、しばらくは大丈夫そうだね」
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