第426話 空に城壁を作っちゃえ
圧倒的な戦力不足にあって、防衛側の頼みの綱は、間違いなくあの防壁だった。
それなのに、たった一体の魔物の突進によって、いきなり穴を開けられてしまったのである。
「すぐにそいつを仕留めろおおおおおおおおっ!!」
隊長格らしき兵士が必死に叫ぶと、兵が次々と矢を放つ。
だけど硬い鱗を持つその魔物に、矢はまったくといっていいほど効いていない。
そうこうしている間に、続々と魔物が防壁に迫ってきた。
このままではあの穴から、都市の中に魔物が雪崩れ込んでしまう。
急な事態だったためか、街中にはまだ、ここから逃げ出そうとしている市民たちの列で渋滞ができている。
もし魔物がそこに押し寄せたら、取り返しがつかないほどの被害が出るだろう。
「勝手に帝国のことに手を出すのはよくないけど、そんなこと言ってる場合じゃないよね」
事後報告するしかない。
今すぐ影武者を皇帝のところに向かわせるので、正確には事中報告かも。
「まずは施設カスタマイズであの防壁の穴を塞いで……それから施設グレードアップで、防壁の強度を限界まで強化……」
突然、穴が消失したので、兵士たちが「「「え?」」」と幻でも見たような顔になってしまった。
さらにトリケラトプスのような魔物も、心なしか困惑しているように見える。
ドオオオオオオンッ!!
ドオオオオオオンッ!!
ドオオオオオオンッ!!
混乱から立ち直ったトリケラトプスっぽい魔物が、再び防壁を破壊しようと突進するも、今度はビクともしない。
何度も頭を打ちつけたせいか、ふらふらとよろめいてその場に倒れ込んでしまった。
「一体何が……」
「っ……来るぞっ!」
そこへ殺到する魔物の大群。
丈夫な防壁にはできたけれど、あれだけの数が一気に群がったら、簡単に防壁を乗り越えてしまうだろう。
そこで僕は、防壁のすぐ目の前に深い堀を作り出した。
「「「~~~~~~~~~~~~ッ!?」」」
後方から押し寄せてきていることもあって、停止することもできずに魔物が次々とその堀の中へと落ちていく。
「な、何だ、急に!?」
「穴!? 防壁の前に突然、穴が空いたぞ!?」
「しかもずっと向こうまで続いている! 何が起こった!?」
兵士たちが狼狽えている。
一方で、魔物の中には堀を飛び越え、防壁にへばりつくものもいた。
蛙の魔物だ。
穴に落ちていく他の魔物を足場にし、防壁に飛びつく魔物もいて、これだけでは侵入を防ぐことはできそうにない。
「「「クエエエエエエエッ!!」」」
魔物が押し寄せてきていたのは地上だけではなかった。
飛行能力を有した魔物が、空から悠々と防壁を越え、都市内に侵入しようとしている。
ボコボコボコボコッ!!
「っ!? 地面から!?」
「地中を潜ってきやがったのか!?」
さらに地面の下から街中に入り込んでくる魔物までいた。
「ええと、どうしたら……まずは空の魔物から……ええい、空に城壁を作っちゃえ!」
迫りくる飛行系の魔物の進路を塞ぐように、空中に城壁を作成する。
「「「クエエエエッ!?」」」
「この城壁を……回転させてみる?」
三次元配置移動を使い、ぐるぐると城壁を回転させた。
近づいてくる魔物を豪快に弾き飛ばし、ひとまず都市への侵入を防いでくれた。
「次は地中から都市に入ってくる魔物を……モグラ叩きの要領で頭上から物見塔でも落としてみよう」
物見塔は縦に長い形状で、重量もある上に、100ポイントで作れるので費用対効果が高いのだ。
グシャ。
グシャ。
グシャ。
地上に出てきた頭を、どんどん潰していった。
「うわっ、もう堀が魔物でいっぱいになっちゃってる! もっと深くしないと! いや、そもそも簡単に飛び越えていく魔物が多すぎ! 深さよりも幅を広げた方がいいかも!? って、こんなの一人じゃ対処し切れない! 各地にいる影武者! こっち来て手伝って!」
『『『了解!』』』
影武者を十人ほど呼び出して、手分けして魔物の大群に対処していく。
「ふう、ちょっと手が空いた……じゃあ次は……空から城壁を落として……」
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