第266話 めちゃくちゃ大きいような
「いたぞ! ワイバーンだ!」
「「「よっしゃ肉ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」」」
ワイバーンを発見して、みんなのテンションが爆上がりする。
もはやワイバーンのことを食材としてしか見ていない。
僕は空飛ぶ公園をワイバーンの方へと接近させていく。
「グルアッ!?」
こちらに気づいたワイバーンが驚いたように喉を鳴らした。
向こうから大地が飛んできたのだからびっくりするのも当然だろう。
戸惑っている隙に、僕は斜め下からワイバーンに公園を激突させた。
「~~~~ッ!?」
地面に叩きつけられる格好となって、ワイバーンが土の上にひっくり返る。
そこへすかさず狩猟隊が躍りかかっていった。
「「「肉だああああああああっ!!」」」
「グルアアアアアッ!?」
目が肉になった人間たちに恐怖を覚えたのか、ワイバーンはすぐさま空へと飛び上がり、逃げようとした。
だけど、僕が即座に公園を移動させるので、ワイバーンはどんなに必死になって翼をはためかせても、離れることはできなかった。
ビュゥゥゥンッ!!
「ッ!?」
そうこうしている間に、フィリアさんの矢が翼を貫き、飛行能力を奪われると、後はもう蹂躙されるだけだった。
やはりこの山脈の高いところには、数多くのワイバーンが棲息しているようで、その後も僕たちは順調にワイバーン狩りを進めていった。
いかに亜竜といえども、やはり地面に落としてしまいさえすれば、仕留めるのはそれほど難しくないようだ。
「「「グルアアアアアアッ!!」」」
「っと! 今度は三体同時だぞ!」
一度に数体を相手取る場面もあったけれど、そのときはあらかじめ決めておいた通り、数に応じて組を分け、対処する。
といっても、ゴリちゃんだけは単身だ。
幾らゴリちゃんでも、さすがに一人じゃ無理なのではと思ったけれど、
「シャアアアアッ!!」
「ゴリちゃん、大丈夫!?」
「心配要らないわぁっ!」
「ッ!?」
噛みついてこようとしたワイバーンの顎を、なんと両手で掴んで止めてしまうゴリちゃん。
「どっせえええええええええええいっ!」
さらに服がはち切れそうなほど筋肉を膨張させると、そこから自分の何倍も大きなワイバーンを力任せに投げ飛ばしてしまった。
ドオオオオオオンッ!!
か、怪力過ぎ……。
ゴリちゃんに放り投げられたワイバーンは完全に目を回している。
……うん、彼女なら一人でも大丈夫そうだね。
僕もただ公園を操作するだけじゃない。
時には土からゴーレムを作り出して、ワイバーンの動きを封じさせたりもした。
そんな感じで順調にワイバーンを狩り続けること、数時間。
「今日はこんなところかしらね」
セレンが満足そうに告げたときには、公園内に設けた冷蔵倉庫の中にニ十体を超えるワイバーンが積み上がっていた。
そうして村へと引き返そうとしたときである。
「む? ルーク殿、向こうからワイバーンが近づいてくるぞ」
フィリアさんが注意を促す。
「じゃあ、最後にその一体だけ倒してから戻りましょう!」
「ん? ちょっと待って。少し大きくないか?」
「いや、少しどころじゃないぞ? あのワイバーン、めちゃくちゃ大きいような……」
慌てて物見塔に上って確認したセリウス君が、目を剥いて叫んだ。
「あ、あれはワイバーンなんかじゃない……っ!」
「「「え?」」」
凄まじい速度でこっちに近づいてきているらしく、その姿が見る見るうちに大きくなっていく。
あっという間に肉眼でもはっきりと確認できるようになった。
確かにワイバーンじゃない。
同じくトカゲに似た姿をしてはいるけれど、たぶんその数倍の大きさはあるだろう。
前脚が翼と一体化して二足しかないワイバーンと違って、四足を有している。
「「「ど、ドラゴンだああああああああっ!?」」」
その正体に気づいてみんなが叫んだ直後、ドラゴンは落雷のような咆哮を轟かせた。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
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