表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
142/458

第140話 もっふもふっす

「「「めえ~」」」

「羊たちも大きいね……」

「もっふもふっす! お陰で羊毛がいっぱい取れるっすよ!」

「「「ひひーん!」」」

「馬も……」

「どの子も馬力が凄いっすよ! あとこの巨体なのにめっちゃ速く走れるっす!」


 牛と鶏だけじゃなく、羊や馬も巨大化していた。

 もちろん元々は普通のサイズの種のはずだ。

 この家畜小屋で育てられると、どうやら何倍もの大きさに成長してしまうらしい。


「はっ!? ということは、僕もここで暮らしたら大きくなれるんじゃ……」

「村長は家畜じゃないっすから、無理じゃないっすか? それに村長は小さい方がかわいくて良いと思うっす!」

「良くないよ!」


 僕ももう十三歳だ。

 成長期のはずなので、そろそろ一気に背が伸びてくれてもいい頃だと思うんだけど……。


「そんなことより、また家畜小屋を増築してもらえると助かるっす!」


 そんなこと、って……僕にとっては大事なことなんだよ……っ!


「今もどんどん子供が生まれてて、このままだと入れなくなるっすよ!」

「確かに子供が沢山いたよね……」


 これも家畜小屋の効果だと思うけど、繁殖速度も凄まじいみたいだ。

 加えて一匹一匹があれだけ巨大な成体になるのだから、すぐに小屋がいっぱいになってしまうのも当然だろう。


「じゃあ、とりあえず新しく十棟くらい建てておくよ。あと、放牧地ももう少し広げた方がよさそうだね」

「ありがとうっす! ……あ、繁殖と言えばっすけど」

「どうしたの?」

「つーちゃんも繁殖してたっすよ」

「……え?」


 つーちゃんって……確か、ツリードラゴンのことだよね?







 ネルルと一緒にツリードラゴン専用となっている畑へとやってきた。


 何も作物を育てていない畑の真ん中に、巨大な木が一本立っている。

 離れたところから見ると完全に普通の大樹だけれど、よくよく見ると幹の一部がドラゴンのような頭になっていて、近づいていくとこちらに気づいて動き出す。


「~~~~~~♪」

「つーちゃん、元気にしてたっすか!」


 ネルルにかなり懐いているようで、鼻の頭を差し出し、よしよしと撫でられて喜んでいる。

 枝を尻尾のように激しく振っていて、まるで犬だ。


 ちなみに元々ツリードラゴンには名前がなかったのだけれど、ネルルが「つーちゃん」と呼び始めてから最近はそれが定着しつつあった。

 当人、いや、当木も気に入ってるみたいだからいいけど……。


「ほら、見るっす、村長。小さな木が生えてきてるっすよね」

「ほんとだ」


 言われてみると、畑のあちこちから若木が生えてきていた。

 大きさはまちまちで、まだ小さな芽でしかないものもあれば、僕の身長くらいの高さまで成長しているものもある。


「でもこれ、普通の木じゃないの?」


 ツリードラゴンと違って、ドラゴンみたいな頭部は見当たらない。

 一見するとただの若木だった。


「ほら、見るっすよ」


 だけどネルルが近づいてみると、若木がくねくねと動き始めた。


「う、動いてる……」


 しかも比較的大きな若木に至っては、葉っぱや幹を動かすだけでなく、その場から移動することもできるようだ。


「トレントに近い種っすからね。成長するまではトレントと見分けがつかないみたいっす」

「へえ。わっ、何か身体に巻き付いてきたんだけど……」


 近づいてきた若木が、僕の脚や胴体に絡みついてきた。


「じゃれてるっすよー」

「じゃれてるんだ……ちょっと苦しいんだけど……」


 何本もの若木が纏わりついてきて、まるで縄で厳重に縛られているみたいになってしまった。

 お陰で身動きが取れない。


「た、助けて……」

「~~~~!」

「あ、離れた」


 ツリードラゴンが窘めるように枝を振ると、若木は一斉に僕から離れた。

 どうやら親の言うことをちゃんと聞くらしい。


「とっても良い子たちっす!」

「良い子なのかな……?」


 今のところ若木はニ十本近くいるという。

 この様子だとまだまだ増えそうだし、親のツリードラゴンくらい大きくなってしまったら……。



少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

外れ勇者1巻
4月24日発売!!!
― 新着の感想 ―
[良い点] ふわふわしててアットホームに癒されながらよんでいます [気になる点] 3章から転生物になるよ、アナウンスがありましたが いっそ転ぶか熱出すかなんかで前世を思い出す感じがよかったかもですね。…
[気になる点] こんなでかいのが沢山成長して大丈夫か?w
[一言] 神域「樹龍の森」の始まりである(・ω・)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ