2/9
第1話 キッカケは本だった
あれは、私が昼休みのカウンター作業の当番だった日のことである。
図書委員会では、昼休みのカウンター当番が決まっているのだが、作業は簡単。貸し出しや返却に来た生徒の本とカードのバーコードをパソコンで読み取るだけ。
返却の人が来たので、私はバーコードをピッとした。
よく見ると、その人が貸りていたのは、私が大好きなファンタジー小説。生徒の顔を見てみると、何とあの海崎先輩ではないか!
「私もこの本読んだことあるんですけど、面白いですよね。」
なかなか貸りる人がいない、太い小説だったので、私は思わずそう言ってみた。
「そうだね。僕も面白いと思うんだけど、なかなか読んでる人がいなくて、誰かに感想を言いたかったんだ。」
「そうなんですか!私もです。この本が好きなら、あっちの本もオススメですよ!」
「そうなんだ。じゃあ読んでみることにするよ。」
わお!先輩とおしゃべりしちゃったよ。
それにしても、先輩もこういう本読むんだ!なんか仲間ができたみたいで、嬉しい…
このことがキッカケで、私はたまに海崎先輩とおしゃべりするようになったのである。




