寝息。
Aさんが身体を壊してしまい、とある病院に入院してしまったときのこと。
色々と安眠妨害のあった個室(前話参照)から、大部屋に移ったAさんは、部屋を移ったからもう大丈夫だろうと思っていたのだそうだが・・・
夜、同じ部屋にいる人達が、眠れないと言って起きている気配がしていたそうだ。
部屋にいる全員が起きていた様子だったという。なのに、Aさんは隣のベッドからすーすーと眠る、寝息のような音が聞こえたのだそうだ。
閉まっているカーテン越しにだが、隣の人が起きている気配はする。だというのに、その同じベッドから、別の人の寝息が聞こえている。
Aさんは……ああ、いるな。と、思ったらしい。
だから、部屋にいる人達はその気配を察して、眠れないのかもしれない、と。
それから何日かして、Aさんは気が付いたそうだ。寝息の音は、暗いときにだけ聞こえるのだと。
それに気付いたAさんは、寝るときに明かりを付けることにしたそうだ。それからは、そこにいない筈の人の寝息が聞こえることはなくなったという。
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