真っ直ぐに・・・
Aさんが知り合いと出掛けたときのこと。
まだ日の高い時間帯。Aさんは知り合いを車に乗せ、とある道を走っていたそうだ。
左右を畑に挟まれた道を真っ直ぐに、別の大通りへと抜ける為に走っていたとき。
二十分程ずっと真っ直ぐ走り続けて、Aさんはなにかが絶対におかしい、と不審に思ったそうだ。
その道は、数キロで別の通りに出る筈なのに、二十分以上真っ直ぐに走り続けているのに、左右を畑に挟まれた道から抜けない。
Aさんは酷く焦ったのだという。明るくて見渡しもいい道路。なのになぜか、少しも前へ進めている気がしなくなった。
同乗している知り合いは道に詳しくなく、道がおかしいことには全く気付いていない様子。
このまま真っ直ぐ行くのは絶対にヤバいと直感したAさんは、出ようと思っていた道とは別の場所へ行くことを覚悟して、真っ直ぐ行くのをやめて、道を曲がったそうだ。
すると、数十分も同じ道から抜けられなかったのが嘘のように、その道から別の通りへと出られたという。
あのまま、Aさんが真っ直ぐ行くことになんの疑問も抱かないままで進んでいたら、一体どうなっていたのだろうか?
ちなみに、そのとき車は、数十キロ以上の距離を走行したと、メーターの記録に残っていたのだとか。
そして、Aさんが別の日にその同じ道を通ったときには、直ぐに大通りに抜けられたそうだ。
それからは、あの奇妙な道に遭遇したことは一度もないという。
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