クラクションを鳴らせ。
とある山道に、『クラクションを鳴らせ』という標識だか看板があるのだと聞いた。
その山道には、野生動物がよく出る……というワケでも、落盤が多いワケでも、工事中というワケでもないらしい。
およそ考えられる、クラクションを鳴らす『現実に側した理由』というのが、乏しいのだそうだ。
別に、クラクションを鳴らさなくても、一応通ることはできるらしい。全く気にしない人は、平気で通れるのかもしれない。
なのに、なぜか『クラクションを鳴らせ』という案内があるのだという。
不思議だと思い、その山道の話してくれた人に理由を聞いてみた。すると……
その山道に、野生動物は、あまり出ないそうだ。しかし、クラクションを鳴らさないと、山道を抜けるまでずっと――――
見詰められるのだという。山間の木々の隙間から覗く、たくさんの白い人影のようなモノ達から……
一応は、通り抜けられるらしいが・・・
おそらく、クラクションを鳴らして通れば、その白い人影達は現れないのだろう。
この話を聞いてふと、『音を鳴らすという行為』自体が、魔除けになるという話を思い出した。
読んでくださり、ありがとうございました。




