××へ連れて行って・・・
主にタクシーが多いと思うが、偶にヒッチハイクやツーリングなどのバージョンでも聞かれる、有名な怪談がある。
概要はこうだ。
タクシーや自家用車、レンタカー、バイクなどの運転手が、人気の無い場所や道、山中、病院、墓や火葬場の近くなどなど……etc.でお客を乗せる。
その人は異様な雰囲気だが、道案内の下どうにか目的地まで連れて行くと、お客はお金やお礼の品を取って来ると言って、家の中に入って行く。
その後、何分待ってもその人は家から出て来ない。
不審に思った運転手が家の呼び鈴を鳴らすと、家人が出て来て慣れたようにお金を払ったり、お礼をしたりする。
連れて来たという人は、実はもう既に亡くなっていて、命日やらこの時期になると戻って来る。けれど家人は、『戻って来た筈の人』とは未だ会ったことがない、と言われ・・・
という風に終わる。
この話のことを、とても不思議に思っていた。
それは、「なぜ『彼ら』は、同じことを繰り返すのか?」ということだ。
目的地である場所(大体は自宅や実家など)に帰って来たのなに、なぜわざわざまた元いた場所(タクシーなどに乗った場所)に戻って、同じことを繰り返すのだろうか? と。
そこで、気付いた。
『彼ら』には、戻りたいという強烈な想いがある(幽霊になってタクシーなどに乗るくらいに)ようなのは明白だ。しかし、『彼ら』には帰りたい場所へと戻ったその後のことが無いのだろう、と。
だから、帰りたい場所へ戻ったというのに、その後のビジョンが無く、また最初の地点から、戻りたいと願った場所へと『帰るという行為』だけを繰り返しているのではないだろうか?
それはある意味、同じルートを繰り返し辿る自縛霊のようなモノ、なのかもしれない・・・
読んでくださり、ありがとうございました。




