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佇む。
その人は、とある交差点に立っているそうだ。
その人を見掛けた人曰く、黒尽くめの服装で、ずっとずっと同じ場所に立っている人がいるのだという。
俯き加減で、道を渡りたそうにして。けれど、その人はじっと動かずにそこに佇み続けているらしい。
いつも見掛けるので、不思議に思っていたという。
茹だるような夏の暑い日も、息が白く煙るような寒い冬の日も。その人は、ずっとそこから、じっと動かないままなのだそうだ。
何年も何年も、同じ服装で姿も全く変わらずに・・・
視えてしまう人の中には、昼夜を問わず、真昼の明るい時間帯でも関係なく、その人の姿が視えてしまうことがあるのだとか。
季節にそぐわない格好で、ずっとずっと同じ場所から全く動かないという、そんな不自然な人を見掛けたら、それはもしかしたら・・・
読んでくださり、ありがとうございました。




