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視えてるらしい。  作者: 月白ヤトヒコ


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ついて来る腐臭。

 ※微グロ注意。

 Aさんが友達と出掛けたときのこと。


 道路で、猫の(れき)死体を見てしまったという。


 Aさんはうっ、と思いながらも友達とその場を通り過ぎたのだそうだ。


 そして、友達と買い物をしていると・・・どうも、店の中が臭かった。なにかの腐ったような臭いが漂っている気がしたのだという。


 臭いが気になったので、別の店に移動しようとして――――Aさんは、気付いた。


 どうも、このナニかが腐ったような(いや)な臭いは、友達から漂っているのでは・・・? と。


 友達は、なにも気付いていない様子だったという。


 けれど、友達が歩くと、その後ろからふわりと腐臭が漂い、その臭いが時折薄くなったり、強くなったりしている。まるで、腐臭を(・・・)放つ(・・)モノ(・・)が友達の後ろから付いて来ているかのように・・・


 Aさんは、友達に聞いてみたそうだ。


「ねえ、さっき、猫を可哀想だと思った?」

「え? ぁ・・・うん。それがどうかした?」


 友達が頷いた瞬間、ぶわっと一気に腐臭が強くなった。なにも(・・・)いない(・・・)背後(・・)を気にしながら、Aさんは言った。


「・・・こんなこと言うのもなんだけど、多分さ、アンタに憑いて来てない? その猫」

「え? 嘘・・・」


 友達は顔を強張(こわば)らせた。


「とりあえず、自分に憑いて来てもできることはなにも無いから、成仏してください。って、心の中で思ってみて」


 Aさん自体は視えるワケではないが、視える人が身内にいるそうで・・・だから、友達にそう言ってみたという。視える身内からの受け売りで。


「わかった」


 と、友達は目を瞑って軽く黙祷したそうだ。すると、その腐臭は次第に薄れて行ったという。


 けれど念のため、Aさんは友達に清めの塩を掛けてから家に帰したそうだ。


 動物の屍体(したい)に安易な同情をすると、憑かれてしまうというが・・・


 動物の死体を見てから、腐臭が付いて来るようなことがあったら・・・ナニか(・・・)が後ろから憑いて来ているのかもしれない。


 気を付けた方がいいだろう。

 読んでくださり、ありがとうございました。

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