設定資料4:魔法
魔法に関する設定です。
この世界には神秘の力として『魔法』が実在しており、人間をはじめとして様々な種族が『魔法』という力を利用することができます。
本設定書は、主に一般的な人間の魔術師が使用する魔法についてまとめています。
他種族が使う特殊な魔法や魔術師とは違うクラス(例えば神聖魔法使いなど)は、ここで書かれているものとは違う系統になります。
加えて、『魔法』は、未だに創意工夫の余地がある学問とされており、体系として必ずしも完璧にまとめられているものではありません。
強力な魔法の技ほど各個人のオリジナルが存在することもご留意ください。
そのような理由で、ハルや白魔女エミラルダがオリジナルで行使している魔法については、ここに記載していません。
魔法理論:
魔法とは『魔素』と呼ばれる謎の物質(この物質の正体については・・・よく解らない・・・とされています)によりもたらされるこの世界固有の現象であり、この『魔素』に『魔力』という力が作用することで初めて効力を発揮します。(詳しくは第二章 第五話 魔法理論を参照ください)
『魔力』というものは魔素にとって、命令書、兼、起動エネルギー、のような存在であり、これよって様々な物質的な力、非物質的な力(熱や光、重力や時間など)を発現させることができます。
この行為のことを魔法学術的には『事象の改変』と呼ばれています。
『魔力』とは人間の思念によって生み出されるエネルギーであり、人の持つイメージ力が元になっています。
このイメージ力を増幅させるのが『詠唱』という行為になりますが、強力で複雑な魔法ほど、長くて複雑な呪文が必要となります。
ただし、卓越した魔法の名人になると、この詠唱を省略することも可能で、極端に短くしたものを『短縮詠唱』、更に短いものには『無詠唱』という技術が存在しています。
通常詠唱、短縮詠唱、無詠唱の順で魔力が弱くなり、消費する魔力(精神力)も変わらないため、効率を考えると魔術師が魔法を行使する場合、普通は『通常詠唱』を選択します。
魔力は有限であり、その人の持つ精神力が源となっています。
魔力が消耗してくると、集中力が薄れ、酷くなると気絶、さらに完全枯渇まで行けば命を失う危険性もあります。
しかし、通常の人間がそのような極限域まで魔力を使うことはありません。
本能的に「もう無理だ」と身体が感じ、魔法の行使を止めてしまいます。
この魔力の保有量については個人差があって、ほぼ持たない人からかなりの量を持つ人まで千差万別です。
このように『魔力』の個人差については、個人の力量、資質、教養によるところが多い要素となります。
これに対して、『魔素』はこの世界の自然現象の一部です。
『魔素』単体に関して、人が制御できる要素は殆どありませんが、魔力が魔素に作用して魔法の炎や水が発生し、それが物理現象として定着すると、『魔素』は元の待機状態に戻ってしまうため、この『魔素』が枯渇することはありませんし、この『魔素』に関しては、この世界でほぼ一様の密度で分布すると言われており、あまり気にしている人はいません。
次に、魔法については、この世界の人間種族によって一般的に下記の属性に分類されています。
これはこの世界の人間が『自分達の持っているイメージ力』を元にして分類した結果であるため、必ずしもそれに当て嵌まらない魔法も存在しています。
そのような魔法については『無属性』と呼ばれるグループにまとめています。
また、各魔法についても、与える魔力によって下級・中級・上級と、威力による分類が別途存在しています。
これについては多少曖昧なのですが・・・一般的な定義として、個別単身に影響を与えるものを『下級』、広範囲に影響を与えるものを『中級』、広範囲に影響を与え、かつ、殺傷能力や及ぼした影響の結果が著しく大きなものを『上級』、として定義しています。
①炎(炎)属性:
【かがり火】松明の明かりと同じような「照明」的な炎の魔法。魔力が大きいほど広範囲・長時間安定して行使できる。
【火の玉(火球)】火の玉を飛ばして攻撃する魔法で、玉の大きさと飛距離は魔力による。
【炎の壁】炎の壁を出現させて、留めれば防壁になり、移動すれば攻撃としても使える。
【炎の槍】収束させた炎を槍の様に飛ばす攻撃力魔法で、直線的な攻撃手段。
【火炎旋風】炎の竜巻を発生させる攻撃手段。
②水属性:
【噴水】圧縮した水を発射する。魔力が大きければ、建造物の壁を壊すことも可能。
【水球】液体の水の玉を発射する魔法。炎を消したり、口に使うなどすると相手を溺れさせたりもできる。
【濃霧】霧を発生させる魔法。視界を奪うだけではなく、魔力が大きければ騎士一部隊を迷走させることもできる。
【水蛇】水の大蛇を行使する魔法。水圧と水流で相手にダメージを与える。
【水膜】水の薄い膜を展開し、炎の魔法などを防ぐ事ができる。
【大波】人の丈を超えるような大きな波を発生させて自由を奪う魔法。
【大渦巻】大量に水が存在する場所で大渦巻を発生させる魔法。魔力が大きければ船を難破させることも可能。
③土属性:
【石の礫】石の礫を相手にぶつけて負傷させる魔法。
【足場奪い】固い地面を局所的に流動化させて、相手を転ばせる魔法。
【泥沼】地面を湿地に変えて、相手の行軍速度を奪う魔法。
【土破壊】土の表面を破壊する魔法。砕いた岩を相手に飛ばすことも可能で攻撃に使う事もできる。
【土槍】鋭い土の槍を精製し、相手を串刺しにする攻撃魔法。
【土壁】岩石を集めて壁を作る魔法。高い魔力だと永続させることも可能。
【地割】地面を割って道を防ぐ魔法。穴に落とすこともできる。
④風属性:
【突風】突風を発生させて、人や物を飛ばす事ができる
【爆音】空気を急激に膨張させて衝撃波を発生させる。使い方によっては鼓膜を破ったりすることもできる。
【真空の刃】真空によって相手を切り裂く魔法(※本当は真空程度の圧力で肉体を切れる訳は無いのだが・・・できると思えばできるのがこの世界の特徴なのだ)
【竜巻】突風の上位となる竜巻を生成する魔法。縦だけではなく横にも発生させることが可能で、魔力によっては複数個出現させることも可能。
【飛翔】風の力で飛ぶ、もしくは、相手を飛ばすことのできる魔法(後述する「浮遊」との違いは、風の力で飛んでいるため、長時間の行使が難しいこと)
⑤氷属性:
【氷の礫】小さな雹の塊を相手に浴びせることができる攻撃魔法。
【氷の玉】「氷の礫」よりも大きな氷の玉を相手にぶつける攻撃魔法。当たれば当然ダメージを負うが、強い魔力で造られた場合は、当てた相手を氷漬けにすることも可能。
【氷槍】氷の槍を生成し、相手にダメージを与える魔法。
【氷結】地面から氷を生やして相手を閉じ込める魔法。魔力が強い場合は凍結によって一気に生命を奪う事も可能。
⑥光(雷・転移)属性:
【照明】小さな光の玉を生成し、暗闇を照らす照明として機能する魔法。
【光の玉】光の玉を相手にぶつける。強烈な光と熱によって火傷を負わせることも可能。
【光の矢】光の矢を相手にぶつける。純粋なエネルギーを相手に与える事で爆発と火傷を与える。
【微雷】静電気のような塊を投げる魔法で、次に示す「雷」の低級版。
【雷】雷の魔法で、雷属性の槍を相手に投げるイメージで、攻撃速度はあまり速くない。
【剛雷】大きな落雷に相当する攻撃魔法で、頭上に暗雲を呼び、そこから相手に雷を発射する。
【転移】瞬間移動ができる魔法。移動範囲は最大でも数百メートル。(転移は光の魔法の一種であり、隠蔽しなければ、一般的には見渡せる一直線な範囲での移動となる)
【大転移】より長い距離の瞬間移動ができる。移動範囲は最大数キロメートルだが魔力の消費が激しく、失敗すると元に位置に戻ってしまう。
【遠視】遠くの様子を拡大して見ることができる魔法。
【投影】自分の持つイメージを投影する魔法。記憶した映像を再現することにも使える。
⑦闇(重力)属性:
【暗闇】光を遮る魔法。相手から視覚情報を奪うことで、攻撃命中率を下げたり、混乱を与えたりする。
【物質移動】視界中の物を動かす事ができる。動かす距離と重さに反比例して魔力が必要。
【重化】局所的に重力を増加させる魔法。相手の身体を重くしたり、武器のみを重くしたりできる魔法。
【浮遊】局所的に重力を軽減させる魔法。自分の身にかけると空を飛ぶことも可能。
【束縛】重力の力を使って相手の自由を奪う魔法。
【死者復活】(邪法になるが・・・)死んだ肉体に作用して自分の思いどおりに操る魔法。
⑧幻惑・精神属性:
【友好】相手に悪意を抱かせないようにする魔法。
【眠り】相手を眠らせる魔法。
【威圧】相手に恐れを敢えて、判断力を鈍らせ、士気を下げる魔法。強い魔力で身体の自由を奪う事も可能。
【隠ぺい】相手に対して自分の存在を教えないようにする魔法で、隠ぺい効果を促し、気をそらさせる効果がある。
【言語翻訳】知恵のある者との会話を実現させる魔法。言葉が違っても互いに意思疎通ができるようになる
【魅惑】相手から親愛の情を引き出す魔法。一般的には相手に対する効能が弱く。何らかの衝撃によって解除され易い魔法でもある。
【真偽の魔法】相手が嘘をついているかどうかを知る魔法
⑨治療・毒属性:
【偽治癒】表面上は傷を癒して、痛みを取る魔法。魔術師が一般的に使う治癒の魔法はこれに当たる。実際は魔法の効果が切れると元に戻ってしまうが、大きな魔力が作用すれば一週間以上その効果が持続するため、自然治癒がこれに追い付けば、特に問題はない、とされている。
【本治癒】上記「偽治癒」の永続版。しかし、これには大きな魔力が必要であり、神聖魔法使いが行使する信仰の力による「治癒」術より効率が悪く、魔術師で使う人はほとんどいない。
【解毒】身体内に悪影響を及ぼしている毒を解毒する魔法。
【毒針】毒針を生成し、相手の身体に毒を注入する魔法。
【腐食】腐食液体を作り出し、酸による攻撃で敵や武器にダメージを与える。
【毒沼】毒沼を作り出し、特に罠として有効な魔法。
【毒霧】毒霧を作って相手に浴びせる魔法。簡単なものとしては目潰しなどがある。
【溶解】物と物を溶かす魔法で、こちらは魔工師が使う素材の錬成や、魔道具師が使う素材の加工などに用いられる。
⑩無系統:
【魔法防壁】魔法を無力化する。魔力によって防御できる上限が決まる。一般的に「物理防壁」魔法と併用ができない。
【物理防壁】物理的な攻撃を無力化する。魔力によって防御できる上限が決まる。一般的に「魔法防壁」魔法と併用ができない。
【魔法反射壁】魔法を反射できる壁面を生成。魔力によって反射できる上限が決まる。「魔法防壁」魔法よりも高度で複雑、かつ、多くの魔力が必要になる。
【鑑定】物質や物品の解析を行う
【保管庫】物をしまう。縮小化して持ち運びやすいようにする。(魔法袋を用いる時の出し入れの魔法)
【錬成】素材や化学物質同士を調合することに使う魔法。
【加工】機械加工・表面処理ができる魔法。
【付与】道具に強化系魔法を定着させるときに使う。
【能力向上】人間の基礎能力を高める魔法。腕力・脚力・判断力・集中力・防靱能力・知能など様々な能力を底上げできるが、消費する魔力も大きく、持続時間も短い。戦闘など咄嗟に魔法をかけるのは難しいので一般的な魔術師にとっては実用向きではないが、卓越した魔術師や、これを専門とする『格闘魔術師』にとっては逆に得意な魔法でもある。
【魔力吸収】他人や物から魔力を奪う魔法。かなり効率が悪く、得られる以上の魔力を消費してしまう。禁忌指定されている術のため、この魔法を使う人間は殆ど存在しない。
魔法の防御に関して
一)相克する魔法で対抗する。例:火⇔水・氷、風・雷⇔土・水、光⇔闇、毒⇔治癒系、精神系⇔精神系
二)術者よりも、より強力な魔法を行使して『事象の改変』を上書きする。
三)魔法防御効果のある魔道具を使う。
四)魔法防壁を使う。 ※ただし、「物理防壁」魔法と併用はできない
2020年2月17日
続編「白い魔女と漆黒の騎士」(Nコード:N5810GA)の連載を開始しました。
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