表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇神大明神•シシャモ  作者: 黄色い泉
第一幕 スウィートダークナイトメア
7/20

第七話 地獄極楽巡り⑦

少女が目を覚ますと、そこは布団の中だった。周りを見渡すと、どうやら和室のようだ。八畳ほどの部屋で、窓は障子で戸は襖という、なんとも奥ゆかしい部屋だ。


名前が思い出せず混乱して、それから留子さんの抱擁で安心して寝てしまった。それでここに運ばれたのだろう。ここはいったいどこなのか?そして辺りに漂ういい香りはなんなのか…


少女がキョロキョロしているのを見て留子は声をかけた。


「起きたのね?よかったわ。あのまま起きなかったらシシャモに怒られてたものね。」


留子は少女の枕元に座っていた。さっきのお色気たっぷりの着物ではなく、もっとラフな普段着の着物に着替えている。まぁだからと言って、色気が消えたかといえば、そんなことはないのだが。


「ここは…?」


「ここは私の部屋。昔は仕事部屋だったんだけど、オーナーになってからお客さんはとってないのよ。店もキャバクラに変えたしね。だから今は、私の事務室。ま、結局は仕事部屋なんだけれど…仕事なんてあんまないしね。」


留子はクスッと笑う。イタズラ少女のような笑顔。いったいいくつなのだろうか。そんなことを思いながら、留子の顔を見る。


「あ、この香りはね…リラクゼーション効果のあるお香を焚いてるのよ。良薬口に苦しというけれど、鼻には良いみたいね。落ち着くでしょ?」


部屋の隅に机が退けてあり、その上には書類と筆、硯がある。ちゃんと仕事があるようだ。


少女は留子の方に向き直り、訪ねた。


「留子さんは、元人間なんですか?」


眠って頭がスッキリしたのだろう。思考がまとまっている。


「よくわかったわね。私の角にはいつ気付いたのかしら?」


「今です。笑った時に、髪の隙間から。」


「そお。不用意に笑うもんじゃないわね。怖がらせちゃったかしら?」


「いえ。ここに来る前、もっと怖い見た目なのに、とっても優しい鬼に会いましたから。」


「へぇ、そう。よかった。」


「…あの、どうして鬼になったんですか?」


「…あー、それはちょっと話したくないわね。」


「私と似たようなもの、って言いましたよね。私も鬼になるんですか?」


「大丈夫よ。貴女、別段人間を恨んだりしてないんでしょう?」


「はい。嫌いな人くらいはいますけど…」


「うん!それくらい当然だわ。だから大丈夫。」


「留子さんは…」


「だから話したくないのよ。あんまり人に話す話ではないの。」


「あ、いえ。そうではなくて、キャバクラの前のお仕事ってなんなのかな〜…と。」


留子は溜息を一つ。


「あんまり知らなくていいことよ。でもま、話したくないわけでもないから、教えてあげるわ。私はオーナーになる前、花魁だったのよ。わかる?花魁。」


「花魁道中とかの?どんな仕事かはちょっと…」


「簡単に言えば風俗嬢みたいなものね。」


留子はキセルに火を付け一服。フゥー…と煙を吹いて、話し始める。


「ここの刑場って変わっててね、刃の葉を持つ木の上で男の亡者を誘って登らせ、その隙に下に降りる。そうやってまた誘って降りさせる。それを繰り返すの。私達地獄の鬼は獄卒といって…まぁ亡者に刑罰を与える公務員みたいなものね。そんで、そこで一緒に働く男の鬼もいるわけ。人も鬼も同じ男。ムラムラしちゃうのよね。それで悪さをする鬼もいて、閻魔様が知恵を絞ったのよ。どうすればいいのか。こうも根源的な欲求が素の悪さは、単に縛るだけじゃ治らない。」


「だからこの街が出来た?」


「そうゆうこと。当時新米獄卒だった私達は、そっちの役割もやらされた。その分お手当もいいのだけれどね。」


「そんな…男の性欲を鎮めるために、結局女性を犠牲にするなんて…あんまりよ。」


「そうねー…彼もそう思ったみたいなのよ。」


「彼?…シシャモ!」


「そう。最初の仕事相手で情のあった私に、そんなことさせたくなかったのかしらね。毎日朝から晩まで私の座敷に居座り続けたの。新人でなんの技術もない私は安かったんだけど、そんなことしてたらあった言う間に大金になっちゃってね。でも、そのお陰で売り上げはぶっち切りのナンバーワン。それが前オーナーの目に留まって、オーナーの座を譲り受けたわけ。」


留子は紫煙の先を見つめて話していた。ふと気がつくと、少女の顔は真っ赤だ。


「留子さん、シシャモとはそんな関係だったんですね。それで惚れちゃったんですか?…じゃさっきの百万円って…」


留子はまた一服。紫煙で輪っかを作ったりして遊んで見せてから、寂しそうに呟いた。


「でも、ついに一度も抱いてくれなかったわ。そこまでするのに、私に惚れてるわけではなかったのかしらね。毎日焼酎を一瓶開けていったわ。朝から晩までチビチビと。金だけ置いて、遊びに来ない日だってあった。そんなお金受け取れないから、全部返金してやったわ!オーナーになってからね。」


紫煙で小判を描く。なんと巧みな芸だろう。そしてまた、なんと色っぽい芸なのだろう。


「留子さん、本当にシシャモのこと好きなんですね。それに、そんなの好きじゃない人にはしないんじゃないですか?」


「一度くらい抱いてくれればよかったのに。お陰で未だにおぼこだわ。」


「おぼこ…?」


「処女よ。」


「え!」


処女がこんなに色気を出すものか!処女がそんな巨乳のはずあるか!


「抱いてやろうか?」


襖を開け、中に入って来たのはシシャモだった。

次回はR18⁉︎

留子とシシャモの淫らな姿。その時少女は!

次回シシャモ 第8話 地獄極楽巡り⑧

次回も、サービスサービス♪


内容は予告なしに変更される場合がございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ