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02.エンカウント

 目を覚ますと俺は空を仰向けに寝っ転がっていた。

 空は晴れ渡り、そよ風が頬や髪を撫でて心地よかった。

 もうしばらく寝ていたいが、現状確認もしたいので体を起こす。

 目の前に広がる草原にちらほらと木があり、遠くには高い山が見え、ここが俺のいた町ではない事をすぐに分からせた。


「え~と………確か女神様に殺されたんだっけ?」


 自称女神のヤァンディレが俺に雷を落として殺した挙句に自分の世界に転生させたんだったな。

 まあ、生きたいと望んで生き返らせてくれたから若干文句が言い辛い……訳が無い!!

 もし会えたら、文句の一つでも言わないと気が収まらないな。

 あの女神様に怒りが溢れるが、今は状況確認が先だ。

 まず自分の事から見てみよう。

 服装は死ぬまでに着てたジャージか、ポケットの中を確認するが財布はない。

 代わりに名刺サイズのプレートが入っていた。

 これがプライベートカードか、そこには俺の名前と年齢、種族が記載されている。

 唯一職業と出身地だけが書かれていなかった。

 この歳で無職は辛いな。

 出身地も無いのは怪しまれそうだな、なんか理由を考えとかないと。

 しかし本当に身分証明書だなこれは。

 次は楽しみにしていたステータスを確認するか。


「ステータスオン」


 言い終えると、目の前に半透明でパソコンのディスプレイみたいのが現れた。

 早速画面を確認する。


【高町工郎】LV1

 種族:人間

 クラス:スキルホルダーLV1

 スキル:スキル検索

 スキルポイント:100


 まず言えることはレベルが低いな。

 いやまぁ、高いとは言ってなかったからそうだよな。

 しかし【スキルホルダー】ねぇ。

 その割にはスキルがスキル検索しかないけど。

 多分スキルポイントが関係してるんだろうな。

 とりあえずスキル検索を使ってみよう。


「スキル検索」

 

 ステータス画面の横に別の画面が表示された。

 一番最初に見えたのは、大きく書かれた『神ペディア』の文字だった。

 ウェ○ペディアかよ!!

 その下には注意書きが書いてあった。


 ※この神ペディアはヤァンディレが現在確認出来る我が子達のスキル詳細を記載した特設ページです。新たにスキルが開発された時には随時更新します。


 まめな女神様だな。

 しかし、どうやって検索するんだ?

 とりあえず画面を指で下にスクロールさせると動いた。

 少し下には、いくつかの項目に分別されていた。


「身体強化、武器技、身体技、属性魔法、補助魔法、回復魔法、生産、言語と色々あるな……んっ?」


 俺は一番下にあった項目に目を疑った。

 そこには、『神』とだけ記されていた。

 恐る恐る項目に触れると画面が変わり、項目名とその下に概要らしきものが書いてあった。


『これはヤァンディレや他の神が共通で使えるスキルです』


 いきなりチート級スキル来ちゃったよ。

 これがあれば大分楽じゃないか。

 意気揚々と画面をスクロールする。

 空間移動・次元航行・千里眼・創造魔法・消滅魔法・鑑定。

 最後以外どれも凄そうとしか言えない。

 最初の二つなんてうまくいけば元の世界に帰れるのでは?

 次元航行をタッチするとスキルの詳細が映された。


『異世界へ移動するためのスキル』


 シンプル過ぎる説明に気が抜けそうだが、これを習得しよう。

 でもどう習得するんだ?

 画面を触ったり、念じてもステータス画面に変化はない。

 首を傾げて今一度画面を見る。

 そしてスキル名の横に目を移すとある一文があった。


『必要SP100000』

「高ぁぁぁぁぁぁい!!!」


 10万って今の1000倍も必要じゃねえか!!!!

 SPがどれだけ貰えるか、そもそも貰えるかもわからないのに数字だけで絶望だよ!!!!!

 思わず叫んじゃったよ!!

 わかってたよ、人生そう簡単じゃないよな。

 それより他に役立ちそうなスキルはないだろうか?

 この鑑定はどうだろう?


『全て知ることが出来る』

『必要SP10』

 

 だからシンプル過ぎるだろ!!

 もう少し捻ろよ!!!

 そしてお手軽価格かっ!!!!

 もう突っ込むのも疲れたし、これは便利そうだから習得しとこ。

 そう考えていた時にはステータスに『鑑定LV1』と書かれていた。

 レベルについては追々考えるとして、試しに何か鑑定してみよう。

 何かないかと周りを見回そうとすると、後ろから風を切る音が聞こえ、顔のすぐ横を過ぎる。

 ザクッと地面に刺さったのは矢だった。

 認識すると同時に頬に痛みが走る。


「いたっ!!」


 手で頬を押さえると生暖かいものを感じた。

 手のひらを見ると血が付着して、頬の傷から流れている。

 もう少しずれてれば、頭を貫いていたかもしれないと考えると身が縮まる。

 そっと後ろを向く。

 距離としては大体20メートル位の所に弓を構えた人物がいた。

 いや人間と同じ二本足で立っているだけで、人間には見えない。

 体長は1メートル位しかない、緑色の肌に尖った鼻と耳。

 RPGゲームやってる人なら大体わかる容姿だ。

 その考えに確証を得たい為に心の中で鑑定と念じてみる。


【ゴブリット】LV4

 種族:ゴブリン


 やっぱりゴブリンだった。

 鑑定のレベルが低いせいか、名前と種族とレベルしかわからなかった。

 でもそれどころじゃない。

 俺より3つもレベルが上で弓持ち。

 丸腰の俺で相手に出来る訳ない。

 唯一の救いは1匹だって事だけど。


「うぎゃぎゃぎゃぎゃー!!」


 ゴブリンが叫ぶとあいつの周辺の木から2匹のゴブリンが現れた。

 手にはナイフや棍棒を持ち、弓持ちを中央に整列した。

 どいつもこいつもニヤリと笑って、獲物を見つけたって顔してやがる。

 こんな時にはどうすりゃいいか決まってる。


「逃げんだよ!!」


 俺は後ろに反転して全力で走り出した。

 同時に複数の雄叫びと足音が聞こえる。

 今は振り向いてる暇はない。

 ひたすら逃げるだけだ!!

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