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アイギスの匣  作者: すくあ
第1章 第一の匣
30/44

 間4 休火山の街

(間章をはじめからお読みいただくと話の流れが分かります)

 休火山の街


「……ぁ…………は、放て……」

 ドラゴンが、自重にやって唸らせた地面との衝突音に、まだ戦い慣れていないであろうコーダの街の指揮官は響かない声を出す。

「は、は、放てえぇえ!」

 しかし、敵を目の前にして、「放て」という言葉すらも出ないのでは自身の進退に関わる。盆地となるディセクタム・ドラゴンの棲家で響く声を発して、五百メートルは優に超えるだろう高低差に苦労して運んだ火器類に命じる。

「バババババッ」

 という途切れることのない発砲音。

「ドンッ、ドンッ」

 という、一発一発が着弾する度に辺りを震わせる砲弾の発砲音。

 それらはドラゴンを向き、弾幕を浴びせる。

「間を空けるな! 常に弾幕を張れ!」

 脂汗を垂らしているのは、腰が引けている指揮官だけではない。火器を操作する討伐隊員も涙か汗か目に浮かぶ水滴を何度も何度も拭いながら砲口を紅きドラゴンに向けている。

「ッガガァァアアァア」

 一つ吼えるドラゴンは、弾丸を鱗で弾き飛ばすことで彼が佇む盆地の中心に山のように鉄くずを積み上げていく。

 しかし、咆哮は見せようとも、自身から攻撃することも、ましてやその場から動こうとすらもしない。置物のように顔色一つ変えず、砲弾の雨を耐えている。

「はぁ…………? 硬すぎんだろアイツ」

 ドラゴンを前に、先に顔色を変えてボヤくのはアスカ。

「どうする。あれじゃあ手も足も出ない。こんな鈍らじゃあ、あの砲丸すら弾き飛ばす鱗なんか断てやしないぞ」

 地形によって何倍にも増して聞こえる発砲音が聴力を低下させている中、ドラゴンを殲滅する方法を模索する。

「それじゃあここにいる誰にも傷一つつけられないよ。それよりも、ヤツが動かない理由の方が不気味だ。体の奥まで突き刺さるようなものじゃないと言っても、砲丸だぞ? ダメージは蓄積してるはずだ」

「カウンター?」

「そんな魔法があるって言うのか?」

「ドラゴンなんだ。何があっても驚くような事じゃない? 今までそんな情報なかったんだ。可能性は低いにしても無いとは言い切れないでしょ?」

「いや、この状況でそれはないわ。わざわざ空から私達の砲台も機関砲も届かない範囲から攻撃できる手段を持ってるんだ。なんでも空中から火球が打ち出せるんだろ?」

「でも…………、それなら、何を待ってるっていうの……?」

 ディセクタム・ドラゴンがしている事は、我々からすれば無駄な時間を過ごし、無駄なダメージを負いっている。正しく空理空論、一般的な感覚ではその意味を知りうることは出来ない。

 だからこそ、敢えて人をここに引き付けて何かを待っている、その結論に辿り着く。

 そして経過したのは十分を超える時。

「どぷっ」

「!?」

 その違和感に気づいたのはネムル唯一人。

 背筋をなぞるような違和感に咄嗟に振り返ると、恐怖で左目だけを薄めるように歪ませてほんの数分前までとの変化が無いかを確認する。

「ねぇねぇ……! 何か…………」

 しかし、その変化に気づいていたのは唯一人では無かった。正確に言えば一人と一頭。

「…………ッハァァァアァ…………」

 口をうっすらと開き、水蒸気か煙なのか深く呼吸をするドラゴンの口からはモクモクと何かが噴出し、そして体勢と視線は確実に何かにより変化している。

「何か……? 何も…………」

 しかし、ネムルがいう違和感は言われても感じることの出来ない。

 指で示されようと、口で違和感を説明されようと、そこに何かがあるようには思えない。ただ、直前と同じような枯れた木や草が荒んでいるだけなのだ。

「イオナ、ネムル……。先ずはドラゴンからだ」

 ドラゴンはその何かに明らかに反応している。つまり動き出す時は近いのだ。

「う、うん…………」

 その正体不明の違和感だからこそ、目の前に形として現れているドラゴンという強大な敵を優先して戦わねばならない。

 意識は完全に背後から目の前のドラゴンに向けられる。

「ビュバッ」

 翼を広げ、僅少ながら静止を見せたかと思えば、ゆっくりと加速して空へと羽ばたく。

 低空で、しかし完全に空気を捉えて。

「来るぞ」

 低く重い声を合図に、戦闘準備を万全にする。

「……ァァァアあぁああ!」

 山肌を磨り減らす程に低く、突き上げる格好でドラゴンをは上空へと飛び立とうとする。その飛行するであろう予測線は確実に五人の前を通る。

 その一瞬を狙って、テイナは背中全体を覆い隠すほどの広い剣身で鼻先を叩きつけるように、その軌道上に振り下ろす。

「……ガッッ……」

 一瞬。

 鈍い音を発したかと思えば、剣はドラゴンの鼻先の鋭利かつ高さの無い角に突き刺さりそのまま空中へと持ち去られてしまう。

「ッ……な…………!」

 驚きの表情を見せる僅かな間の後、剣を握ったままのテイナの身体はふわりと数センチメートルほど浮き上がり、思わず手を離す。

「持ってかれた……!」

 心臓が口から飛びでるのではないかと感じるほどの驚きを覚え、着地時には焦りと呆然の表情が入り混じったものの、即座にドラゴンに奪われた大剣に気の行き先を戻す。

 大剣を奪い取り、翼を畳んでくるりくるりと二度ほど地面に垂直に回転したかと思えば、辺りの枯れ木をなぎ倒す風圧を発して翼を広げ、その場でホバリングする。

「来るよ。何か……、大きいのが!」

 五人の近くにいた人間は、既に近接線のモードに入る彼女らと、ネムルがもたらす先読みの如く言葉に背中を見せて敵前逃亡する。

「寧ろ…………」

 フィリアはギギギッという軋む音が自身以外の四人全員に届くほどにさせながら弓を引く。ファースト、一般的な弓の形状のまま、二本の矢を同時に弦にかける、地面と水平な方向に構えて、そのまま空中へと矢先を向ける。口元を緩ませて。

「パチ……パチパチッ…………」

 怒りなのか、それとも計画通りなのか、笑っているのか、鱗に覆われた顔ではドラゴンの確実な表情は見て取れない。空中でこちらに焦点を合わせたまま、情報通りの火球を放とうとドラゴンが口元にそれを作り上げている。

「ガアアァアアァ」

 立ち所にその大きくやんわりとした炎が渦巻く火球を咆哮と共に放つ。

 短期間で作り上げようとも、威力は絶大なものであろう。

「ゴオオォオオォ…………」

 降り注ぐ姿は、近距離であるが隕石や流れ星とも言われるような様相をしている。

「好都合だよ…………!」

 ドラゴンの口元から火球が放たれる瞬間、同時にフィリアが弓を引く手も弦から離される。

 この火球により、自身の周囲から五人以外の人物が離れたことは、彼女らにとっては好都合である。

「バッ……チッ……」

 火球の核を突いて、たった二本の矢でその火球を打ち消そうと試みる。

「流石に無理かぁ……」

 項垂れるフィリア。

 火球は確かに威力を弱めはしたが、どろりと溶け出すように五人を囲むように拡散して垂れる。

 好都合の言葉通り、そこに五人以外の人間がいたらならば、拡散した火の餌食になっていたやもしれない。

 視界が橙の炎で覆われた事によって極端に狭くなった中、ネムルは身軽さを生かして空に軽やかに浮かぶと、腰に横向きに差していた短剣を抜く。

「ほっ」

 その後、空から降る剣に空いた穴に探検を引っ掛け数度回して勢いを殺してから手で掴む。

「ズッ……」

 しかし、ネムルは重さに耐えきれず、逆に身体が剣に吸い込まれる。

「!?」

 四人の中心の地面に突き刺さった剣とネムルに、視界の狭さから皆が驚かされる。

「あぁ……! こんなに綺麗に穴が空いちゃって…………!」

 持ち主のテイナが嘆く。五人が出会った時から使い続けている姿を見ているので、その気持ちはよく分かると、一瞬感傷に浸るテイナに感情移入をしたが、走って駆け寄ってきた指揮官によって現実に引き戻された。

「だ、大丈夫ですか!?」

 短髪で七対三に分けた髪型をし、一人だけ周囲と明らかに異なる、全身黒を貴重としたプレートに包まれた指揮官は青ざめた顔をしていた。

「あんな至近距離でドラゴンと……! それどころか日に囲まれて…………!!」

「大丈夫だ。そんなに怯える事じゃないだろ。無事なのは見てわかるだろ?」

「え、えぇ……確かにそうですね……。無駄な犠牲を出さなくて済んだので良かったです」

「無駄?」

「あ、いやっ! ドラゴンもどこかへ消えてしまったので、倒せても、況してや損傷も与えられていないの死人を出すのもどうかと思ってしまいまして

……」

「……!」

「どこいった!?」

 上空からはやっと渦巻いていた日が空気に還元された頃。そこにいたはずのドラゴンは忽然と姿を消している。

「不味いぞ」

「な、何が……? この場から離れただけなら、何も問題は……」

「今すぐ全員をコーダの街に引き返させて!」

 コーダの街とは、このドラゴンの討伐戦の為に人員を集めていた街。元々火山出会った山の火口を用いている街だ。そのためにかなりの高度がある街となっている。

「えっ……?」

「狙いは元から街だろうが!」

 耐えて耐えて耐えて。しかし、耐える前までこちらを見据えていたドラゴンの目的は、端からコーダの街の壊滅にあると考えるのが普通。

「ウソ……だ」

 我々五人の無傷で喜んでいた顔は、駆け寄ってきたに比べ数倍も青ざめて見えた。

「狼狽えるな! 早く! ドラゴンなら直線距離で十キロなんて一瞬だぞ、コラァ!」

「は、ハイィ……!」

 そう言って怯えきった顔で、すぐに討伐隊員に伝達に向かう。パーデットの五人がいる地点から円形の尾根を伝言ゲームの要領で伝わっていくことから時間はかかるだろう。

「とにかく戻るよ」

 もう遅いかもしれないけど。その言葉を続けることは出来ない。続けてしまえば、本当にそうなってしまっているとしか考えられなくなってしまうから。


   ***


 登るのは辛くとも、下る際はあっという間。斜面を滑るように、枯れ木を蹴って速度や向きを調整しつつ下り切れば、後はコーダの街へ続く階段を上るだけ。

「最初から目眩しが狙いとは随分おつむの出来上がったドラゴンじゃないの」

 巻いている足はどれほど早く回転させようとも、やはり階段上ではなかなか速度をあげることは出来ない。非常に高い休火山に建設された、周りから攻撃されにくい地形であることが災いし、その街の民もこの階段を使わねばならなく不便を強いられている。その代わりに実際、魔獣が現れる前も攻撃対象となることは少なかった。間隔が広くなだらかでで、それでいて一段一段の蹴上げも低い構造が、時間を掛ける余計な構成になってしまっている。

「やっぱり分かってたんだ。あのドラゴンがこちらの望んだ時…………。目線が確りと合った時、ドラゴンは私達を牽制するのと同時に、その奥のコーダも意識してた……!」

「直接ドラゴンに攻撃を当てていれば…………」

「当てたところで弾かれて終わりだろ、フィリア? 半端な攻撃じゃ何も出来ないのは分かりきってるんだ、あの状況ならあれが最適解だ」

「ありがとう、テイナ……」

 テイナなりの慰めの言葉をかける。

「パラパラ……パラ」

 壁のように反り立つ山肌を転がって砂礫が襲う。風に流されてやってきたと思われるそれ等は、コーダの街がある山の中腹まで登ってきた彼女達を通り過ぎると、加速度的に速度を増して斜面を転がり落ちる。五人の後ろを少し距離があるが付いてくる討伐隊員を襲う姿を尻目に捉えられる。

 しかし、まずは目の前に現れる敵に集中する。

「グルルルルル………!」

 群れを成してコーダの街へと続く一本道を陣取る。

「うっさいな……!」

 尻上がりに怒気を足し加えて言うアスカは、口調とは整合しない真顔のまま背中に斜めにかけられた槍に手をかけると、引き抜きざま一匹の狼に斬りかかり、一閃でその身体を断ち斬る。

「……ッ…………ァア!」

 一体目に見せた上段から左下方への袈裟斬りの終端から、二体目へ突き上げる様な攻撃を放とうとした時。

「一つ残しといてよ、アスカ!」

「!?」

 言葉を発したのはネムル。その言葉に、突き上げ攻撃は狼に直撃する前に引き止めることが出来た。

「ガウゥ…………ゥ!」

 狼は直上方向へ矢庭に飛び跳ねる。目でも捉えきれないその加速。そして不幸な陽の光による逆光でその光景は見て取れない。

「やっ……!」

「四人は前だけ見てて」

 両手のひらを重ね、最後尾から更に距離を取った位置で指と指の隙間から上空を望むネムル。

「テイナ…………! 少し背中かりるよ!」

 組み合わせた手を解き、その場でトントンの二度ほど跳ねてつま先を地面に当てた後、加速してテイナへと走る。

「……ッ……!」

 1歩目で地面を蹴り、二歩目で背負ったままの剣に存在する、ドラゴンの角に突き刺さった際に生じた穴に足を掛け、最終的にテイナの肩を足蹴にして空中へと舞ったネムル。

「…………」

 魔獣の狼が喉を唸らせすらしないのは気付かれないため。

 自由落下をする狼に直接空中で対面する。

「ガフッ……!」

 ネムルに対して、威嚇する狼。

 しかし、既に両手を広げ狼に飛びつくような体勢が完成しているネムルは、威嚇には屈せずそのまま空中で姿勢を保つ。

「よっ、いしょおぉ!」

「ガウッ……ウゥ……ゥウゥ!」

 衝突寸前、狼の噛み付きをひらりと避け、首元にがっしりと組み付いたあと、身体の向きを逆転させる。

「……ッ……ァァアァア!」

 組み付いたまま首をきつくきつく、力の限り締め上げる。

「ズザァアアァ」

 ネムルの狙いは着地時に姿勢を崩させること。

 物の見事に成功し、横倒れになった狼と共に地面に擦られる。

 摩擦によって二人が静止した頃、狼の目元に引き抜いた短剣をちらつかせる。

 首元で締め付け続け、かつ明らかな刃物で脅す。

「ウウゥウウゥ」

 未だ反抗的に喉を鳴らす狼。

 身を乗り出して、狼と視線が合致する位置にまで体勢を変えると、狼の目はギョロリとネムルの方を向いたことで、改めて短剣と、鋭く刺さる視線で脅す。

「カチャリ」

 敢えて音を立てる。

 徐々に首を絞めつける力を強め、極めつけに短剣を突き刺そうと振り上げたところで狼は観念する。

 反抗的だった態度からグダリと力の抜けたようになる。魔獣とは言え、明らかに死を感じ、逃亡が叶わない状況では人間と同じように降伏するのだ。

「よーし、上まで乗せてってね」

 狼に馬乗りになっていたネムルが下りると、大人しく立ち上がり背中にネムルを乗せる。

「お、おいネムル!」

「先に上行ってるよ!」

「……っとに……」

 いつも通りではあるが、ドラゴンという最大級の敵を相手にしているこの自体の中でも何一つ変わらないネムルに、呆れすら覚える。

「まあ、でも…………」

「これで全部薙ぎ払っても誰も文句言わないんだからな」

 対峙するのは、気付けば数が増えて数十頭を優に超えている。後方では階段のカーブに差し掛かったところで、討伐隊員が同様に、狼に足止めを食らっている。

 ちらりと階段を悠々と猛スピードで登っていく姿を見てから、改めて相手に視線を送る。

「ザッ」

 一太刀。

「ザンッ」

 二太刀。

 急加速できるのはそちらだけではないぞとばかりに攻撃を浴びせる。勿論、魔獣のような一瞬で視界外にまで跳躍するような芸当は叶わない。しかし、相手を翻弄させるだけの芸当ならばできる。

「ふふっ……!」

 ディセクタム・ドラゴンという本命になかなか辿り着かせてくれない運命をニヤリと笑える程度には楽しみつつも、早急にこの状況から脱するべく四人は陣形をとって殲滅行動へと入った。


   ***


「キャアアアァアアァアア!」

 その悲鳴はネムルの耳にだけ届いていた。

 狼に背負われて数分。コーダの街へはだいぶ近づき、中で起きている様子も想像できるようになっていた。

「早く……! 早く逃げろ!」

 階段を全速力で下りてくる人間が見える。中ではドラゴンが暴れているのか、阿鼻叫喚の模様が伝わってくるのだ。

「もふもふだぁ」

 狼の背中に頬ずりをしつつ、その状況を頭の中では整理している。ほんのり暖かい体温が、ネムルに眠りを誘うが、この状況下では普段から喧しく、感覚的に生きるネムルも頭での行動を強いられていた。

「ドラゴンはなんでこの街を襲ったんだろ……?」

 背中に抱きつくような姿勢でお腹を撫でるようにさわさわと撫で回しながら思考回路に電気を流す。

「一番近いから襲うっていう理論もわからないことはないんだよなぁ……。魔獣だし? 狼ちゃんみたいに人を襲うことが当然なわけだし……」

 右頬で頬ずっていたのを左頬へ変える。

「でも、だったら二ヶ月も待つ必要は無いんだよね。もう現れてからそれくらいは経つのに、やっと今頃動き出したなんておかしいよねぇ、おおかみちゃん?」

 当然何も狼は答えない。

 しかし、そのまま階段をしばらく無言で、顔をもふもふで柔らかい毛並みの背中に埋もれて考えていると、一つ、狼が唸る。

「ガゥ」

「どうしたの?」

 埋もれたまま狼を撫でると、毛足の長い体毛に包まれた部位が暑いと感じる。

「むぁ?」

 バッと顔を上げると、階段上は逃げ惑う人々で溢れ、狼という魔獣のお陰で道が空いていく。そして、人で溢れかえることから分かる通り、山頂に近づいていた。

「暑いいぃ」

 袖を捲って、少しでも暑さから逃れようとする。

「なんで山を登ってるのに暑く感じるんだよぉ……!」

 バンバンと駄々を捏ねるように背中を叩く。

「ガフン」

 と一度怒られてしまうが、間も無く着いて立ち止まった狼の背中から眺める、普段より一段高い世界から見える光景は異様。

 ドラゴンは火口に作られた街の中心で羽搏き、その度に風が吹く。そのホバリングしたままの直下ではゴポッ、ゴポッと音を立てて何かが吹き上がっている。

「これを待ってたんだ」

 一度、羽搏く。

 すると熱風が髪に衣服にと揺らして通り抜ける。

 肌が焼けるように暑い。

「これを……、待ってたんだ…………」


溶岩に肌をさらして歩けるわけ……。

感想や誤字脱字、誤用などありましたら、感想欄やtwitter(@square_la)でお待ちしております。

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