表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

救急車のサイレンの音。

走る救急車内の音。

(隊員の声)「背骨が痛いといって倒れたそうです。どうぞ」

(無線の声)「意識はありますか?どうぞ」


(杏子)「(苦しそうに)はあ、はあ、」

(父と母)「・・・・きょうこ」

サイレンの音遠ざかり消えていく。


診察室の音。

(医師)「ふむ」

椅子の回転音。

(医師)「急性貧血ですぐ退院できますよ。看病疲れかな?」


(母)「ごめんね杏子。私のために」

(杏子)「いいのよお母さん。すぐ良くなるから。

私のほうこそ、ごめんなさい」


椅子の回転音。

(医師)「あ、念のため検査で3日間入院していただきます。

そのあとすぐ退院、間違いありません。じゃ、お大事に」


(若林のN)「杏子は予定どうり3日で退院した。

この間杏子は次のような夢を見ている。


”白衣を着た若林医師が駆け込んでくる。杏子のベッドで

ひざまずき目をつむって眠っている杏子の手をとり必死で、


『悲観的になってはいけない!君は必ず助かる。すぐ元気に

なって退院できるから頑張るんだ杏子!』


そこで杏子は目を開けて笑いながら思い切り抱きつく。

唖然としている若林医師。"


という夢だ。楽しそうな字で日記に書かれていた。この頃か?

杏子が、自分が抱えるとげの正体を本能的に自覚し始めたのは。


その後二人とも多忙になった。12月に入って出発日が確定し

手紙を出したが、その返事もきちんと書かれていた。教育実習

も卒論も終了し、後は登町小学校の採用通知を待つだけだと書


いてあった。・・・・・・・何故出さなかったんだろう?

日記を見てみた」


(杏子のN)「12月になるとひょっとしたらと思っていた

ところへ、若林さんからの手紙が届いていました。私には

直感で分かるのです。えいって指を鳴らすとポストに手紙が

入ってて輝いていたんですよ」


(若林のN)「その1週間後」


(杏子のN)「もう手紙は出さないことに決めました。

若林さんは返事を期待していない。住所も不安定。3年間も

旅に出るなんてもってのほかだわ。さっさと忘れて私も頑張ろう」


(若林のN)「その後の日記は最後の真新しいノートになっていた。

杏子は心機一転、新生活の戦いを開始したのだ」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ