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冒険に出発!

H28.2.27一部訂正しました。(内容は変わっていません)

「師匠、折り入ってご相談が……」

「何じゃ、またテンやルリにいじめられたか」

「いえ、そのことではなく、実は『じゃんる』のことなんですが」

「ふむ、確かスバルは『ふぁんたじぃ』を選んだのじゃったの」

「はい、始めた時はもっと強くなって、ダンジョンにでも潜って魔物を狩ろうって思ってたんですが………」

「蓋を開けてみたらこのていたらくじゃしのお」

「クスン……、未だに泥人形1体しか倒せておらず、ダンジョンどころか森の手前の原っぱどまり」

「確かに、これでは『ふぁんたじぃ』らしさに欠けとるのお。そもそも、なんで『ふぁんたじぃ』にしたんじゃ?」

「だって……だって、やっぱり最初は王道を目指したいじゃないですか!男の子だもん!」

「で、結局やってみて現実に目覚めたわけじゃな。」

「はい。つきましては『じゃんる』変更をしたいのですが」

「まあそれはよいがの。このままではタイトル詐欺と言われかねんし。で、どの『じゃんる』にするのじゃ?」

「は、今の調子だと『冒険』がふさわしいかと」

「まあ、そこらが妥当なところじゃろうの」

「はい、ありがとうございます。それから………」

「まだなんかあるのか」

「はい……そのー、『たいとる』なんて勝手に変えちゃダメですよね?」

「やっぱりそれか。思い付きでよくわからん『たいとる』をつけるからいかんのじゃ。タイトル見て読みに来た人が中身見てがっかりするじゃろうが」

「すみません。自分でもなんでこのタイトルのしたのかよく分かりません。」

「まあ、このまま放置する方が迷惑じゃし、変えた方がええじゃろ。で、何にするんじゃ」

「はい、いろいろ考えたんですが、『スバルの冒険』にしたいかなって」

「今度はまたシンプルというか、まんまじゃの」

「はい、分かりやすいほうがいいかと思いまして」

「へえ~、タイトルに自分の名前付けるんだ、ずるいずるい、私の名前も入れてよ!」

「あ、テンちゃん!いつの間に」

「あ~あ、またうるさいのに見つかってしまったの」

「それに、ジャンルはやっぱり『レンアイ♡』が王道でしょう!こんなかわいいヒロインもいることだし!だし!」

「え~、そんなの十代男子には受けないよう」

「いいのいいの、今はやっぱ女子受けを狙ったほうがいいって。で、タイトルは『麗しのテン姫と頼りにならないスバル王子』で決定!!」

「ダメだよ!タイトルだけでも僕を目立たせてよ!中身はどんどんテンちゃん一家が中心になりつつあるんだから!」

「もー、わがままなんだから、しょうがないなあ」

「まあ、『たいとる』変更はええが、元の『たいとる』も『さぶたいとる』として残しておくようにの。見て下さる人を混乱させんように」

「分かりました!では!そういうことで!」


【新タイトル:『スバルの冒険~あなたがいなけりゃエターナル~』、新ジャンル『冒険』に決定!】


 ◇◇◆◇◇

 〇続いて本編♪〇


「それじゃあ、今日はまた森の方に行くわよ!」

「なんだよルリ姉、藪から棒に」

「今日はお母さんが熱出して家で寝込んでるし、テンはお母さんの看病するって張り切ってたから、私が遊んであ・げ・る?」

「へ~、おばさんが熱だなんて珍しいね」

「ほんとよ、お母さんはあんなだから、大抵は病原菌の方が逃げてくんだけどねぇ。なんだか、夕べから熱だし『血が……血の匂いが……若い頃の怨念があ……あなた、許してえ……』なんてうわごと言ってたのよ。どこかで呪われた血の匂いでも嗅いだのかしら」

「それでテンちゃんが心配になって看病してるんだね。えらいなあテンちゃんは」

「………私だって心配してないわけじゃないのよ?でも、私もお母さんも武闘派同士だからね?一緒に家にいるとついついね。二人で台所に立って料理をしていたかと思ったらいつの間にか包丁振り回して戦っていたりしちゃうからね?私がいない方がお母さんもゆっくりできると思ってね」

「それで、家にいても面白くないから俺をダシに遊びに行こうという魂胆ですね」

「さあ!今日こそはスバルの大活躍を見せてもらえるかしら!ちゃんと昨日の木刀は持ってきた?」

「持ってきたけど、木刀よりも剣とか槍とかの方がよかったなあ」

「まあまあ、世の中にはその木刀で森の魔物を狩り尽したっていうおつむの気の毒な誰かのお母さんて人もいるんだから、あんたも頑張ればスライムくらいやっつけられるんじゃない?」

「はあ、そろそろ原っぱに着くけど、このあと何しようか」

「私はその辺で昼寝でもしてるから、あんた小遣い稼ぎ用の薬草採取をしといて。私の分もね」

「はいはい、どうせ嫌って言っても聞かないし、いっそおとなしく昼寝しといてもらったほうが楽だわ」

「何か言った?」

「別に」


 ◇◆◇


「ふう、今日は薬草がなかなか見つからないなあ。いつのまにか、原っぱの外れにある小川まで来ちゃったぞ。大丈夫かな。また泥人形とか出ないかな。今日はテンちゃんもいないしな」


 ガサゴソ、ガサゴソ


「ん?なんか魔物の気配が?今のうちに木刀の用意を」


 スバルはまどかの木刀を取り出して構えた!まどかの木刀はほんのり呪われている!


「むむ、なんだかこの木刀からいやな感じの念が感じられるぞ?やっぱりこの木刀ダメなんじゃないか?捨てちゃおうかな?」


 そのとき!草むらからプチオーガが現れた!プチオーガは赤・青・黄の三匹トリオで登場した!


「うわ!いきなり強そうな魔物だ!逃げよう!」


 スバルは逃げ出した!しかし魔物に囲まれて逃げられない!


「くそう!こうなったら自棄だ!この木刀でやってやる!」


 スバルは木刀で赤プチオーガに殴り掛かった。しかし、魔物は素早くよけた!

 魔物たちの反撃!スバルは木刀で受けた!でも、力負けして尻餅をついた!スバルはダメージを受けた!


「うわ、こいつら無茶苦茶強いぞ。それに、やっぱりこの木刀じゃたいした威力がないし。やばい、どうしよう。」


 スバルは魔物たちに追い回された。スバルは徐々にダメージを受けている。スバルが危ない!!


「助けて!ルリ姉助けて!」


 しかし、ルリ姉は昼寝をしている。ルリ姉には目を覚まさない!


「たすけてー」


 スバルは半泣きになって叫んだ。

 その時、髪がぼさぼさの目つきの悪い男が通りかかった!


「どうした、大丈夫か?」


「た、助けてください!」


 スバルは知らない男に助けを求めた。


「よし、俺の後ろに隠れてろ。ん?なかなかいい木刀を持ってるじゃないか。ちょっと貸してくれるか?」


「はい、こんなもんでよければどうぞ」


 スバルは男にまどかの木刀を渡した。男が木刀を構えると、木刀から出ていた瘴気がおさまたった!


 男は木刀を上段に構えてプチオーガの群れに対面した。

 男とプチオーガの群はしばらくにらみ合った。

 そのうち、緊張に耐えられなくなった青のプチオーガが男に飛びかかった。


「てやぁ!」


 男は飛びかかってきた青のプチオーガから体をかわしつつ、プチオーガの脳天を木刀で叩いた!


 ドス!

 プギャ!


 青のプチオウガは頭から血を流して倒れた!青のプチオーガを倒した!

 男はさらに赤のプチオウガめがけて木刀を振り下ろした。赤のプチオーガは右腕で木刀を受けた。


 バキ!


 赤のプチオーガの腕が折れた音がした。


 プギャアアアアアアアア


 赤のプチオーガは悲鳴を上げて逃げ出した!続いて黄のプチオーガも逃げ出した!魔物はいなくなった!


「ふう、君、大丈夫かい?」


 男に声をかけられて、スバルは我に返った。すごい!この人強い!それに、目つきは悪いけど、いい人かもしれない!


「あ、ありがとうございます、助けていただいて……」


「危なかったね。はい、木刀返すよ。丈夫そうな木刀だね。でも、君くらいの子が一人で魔物狩りは危険だよ」


「はい、実はあっちに連れがいるんですが、ひるねングッ!」


 スバルはいつの間にか背後に立っていたルリ姉に口を封じられた。

 スバルは息ができず目を白黒させている!


「ホーホホホホ、あらまあ、スバルを助けていただいてありがとうございます。もう、この子ったら、ずっとそばにいなきゃだめよって言ってたのに、気が付かない間に迷子になってしまって。本当にどうもありがとうございました。ワタクシ、スバルの姉のルリと申します。あの、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


 ルリ姉がよそ行きの顔をしている!ルリ姉が獲物の品定めをする目つきになっている!

『お兄さん気を付けて!』スバルは心の中で叫んだ。


「ああ、お連れさんがいらっしゃたんですか。俺はケンタと申します。この村の道場におられる先生に御用があって参りました」


「あら、まあ、なんて奇遇なんでしょう!その道場はうちの隣にありますのよ。よろしかったらご案内しますわ。あなたも武芸をたしなまれるのですか?」


「はい、武者修行で各地の著名な道場を回っております。先生の御高名を伺って、できれば一度お手合わせをと思い、これからうかがうところです。あの、失礼ですがあなたも武芸を?」


「フフ、分かります?」


「ええ、同じ武芸者ですから」


「フフ、では、早速これから道場までご案内いたしますわ」


「ありがとうございます」


「ルリ姉がまるで別人だ」


「スバル?何か言ったかしら?」


 ルリ姉がスバルを黙らせようと睨み付けた!


「ルリ姉、そんなに殺気を放ったら、ケンタさんに正体がばれるよ」


「まあ、正体だなんて、何をお言いなのかしらこの子ったら、オホホホホホ」


 こうして、スバルとルリ姉は、髪の毛がぼさぼさで目つきが悪いけど案外いい人そうなケンタさんを連れて道場に戻ったのであった。


  つづく




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