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魔法&スペシャルアイテム、ゲットだぜ!

 ぶぁかもん!森の中の高レベルな魔物を森の外に連れ出すとは何事じゃ!取り逃がした魔物が村を襲ったら一大事になるところじゃぞ!」


「フン!ちゃんと全部倒したんだからいいじゃない!スバルの鍛錬のためなんだから仕方ないでしょ。そもそも師匠がスバルを甘やかして原っぱなんかで遊ばせておくから、私が見かねて鍛えてあげたんじゃない、感謝してほしいくらいだわ!」


「ふざけたことをぬかすな!スバルは今日が初めての魔物狩だったんじゃぞ!」


「私が始めた魔物狩りしたときは一人で夜中に森の奥まで狩りに行って、オークの村を焼き払ってきたわ!スバルよりも小さいときにね!」


「お前と一緒にするな!」


「まあまあ2人とも、俺のために争わないで」


「そもそもスバルが弱すぎるのが問題なのよね」


「ハイ!ではでは、問題点が明らかになったところで、いよいよ会議を始めたいと思います!題して、『最弱勇者スバル育成計画』パチパチパチー!」


「なんだよそれは、テンちゃん」


「私は『最強にして最悪』って言われてたから、スバルは『最弱にして最低』って名乗っておきなさい」


「なんでだよ、ひどいよ。大体ルリ姉は『狂犬』じゃやなかったのかよ」


「ふふ、二つ名が一つとは限らないのよ?」


「じゃあ、私は『美少女天使』か『マジカルテンテン』あたりかな?」


「なんでテンちゃんだけかわいいキャッチフレーズなんだよ」


「まあ、スバルったら私のことカワイイだなんて、ポッ。もう、正直者なんだから♪」


「アニメじゃないんだから、私みたいにもっと冒険者か武闘家らしい呼び名を考えなさいよ。」


「ん~、じゃあ『めざせ黄蓉』でどうかしら」


「じゃあ私は『めざせ小龍女』か『めざせ任盈盈』ね」


「じゃじゃ、僕は『めざせ東方不敗』だね」


「ばかを申すでない、もげても知らんぞ!まったく、テンのはともかく、ルリとスバルのはいろいろ問題ありありじゃ。いくら強くてもまっとうな人生が送れんようではだめじゃろ」


「まあ私もスバルとどうにかなる気はないから、やっぱ小龍女はやめとくは」


「当たり前よ!スバルはまだ子供なんだから、色目使っちゃダメ!」


「何言われてるのかよくわからないんだけど、僕を強くする話はどうなったの?」


「そうでしたそうでした。でわでわ、スバルの強化策について話し合いましょう」


「まずは、ステータスの確認じゃな」



【現在のステータス】

 感想:3件             ⇒Lv3

 PV:388アクセス        ⇒HP388

 ユニーク:155人         ⇒MP155

 文章評価:12pt         ⇒攻撃力12

 ストーリー評価:11pt      ⇒守備力11

 ブックマーク:5件(×2=10pt)⇒魔力10(使える魔法1)

 レビュー:0件           ⇒ユニーク魔法0

 文字数:13760文字       ⇒経験値13760(スペシャルアイテム1)



「ふむふむ、順調に伸びておるの」


「なんか地味ねえ。もっと、ぶわーっと伸びないのかしら。いきなりランキング入り!とか」


「現実はそんなに甘くないわい」


「ええ~、これでも大分伸びたなーって思ってたんだけど、だめなの?」


「大丈夫、大丈夫、スバルは頑張ってるからね、短期間でこんなに伸びたら立派なもんなんだから。ルリ姉みたいなこと言ってたらおこられるよ?」


「はあ、テンがまたスバルを甘やかしてる。あんた男をダメにするタイプね」


「なによ!スバルはいい子のまま強くなってもらわなくっちゃいけないんだからね!いくら強くてもルリ姉みたいな乱暴者になったらだめだからね!」


「うわ~、世話女房気取り~」


「違うわよ!私は亡くなったスバルのお母さんから、スバルのことをよろしくねって頼まれてるんだから!だから、私がちゃんとスバルのことを見守っていい子に育てるんだから!」


「ええ~、年下のテンちゃんに育てられるなんていやだなあ」


「何言ってんの!そこはもうちょっとこう、うるっ、とかきて『テンちゃん、ありがとう!』ってなるところでしょ!」


「ほれほれ、横道にばっかりそれておらんと、スバルのステータスをちゃんと見てやらんかい」


「そういえば魔法が使えるようになってるわね」


「武駆摩×2の効果のおかげじゃな」


「それと、スペシャルアイテムがもらえるみたいだよ」


「わくわく、わくわく」


「まずは魔法じゃが、最初に覚える魔法は決まっとる」


「何ですか師匠!ファイアボールですか?ヒールですか?それとも電撃ですか!」


「うむ、最初の魔法はこれじゃ」



『変化』



「へんか?」


「へんげじゃない?」


「師匠、これはどういう魔法なんでしょうか」


「うむ、まあの、実際に使ってみればわかるじゃろ」


「じゃあ、今試しに使ってみてもいいですか」


「うむ、ではやり方を説明するぞ」


「ハイ!」


「まずはじゃな、最初は目をつむっておくとよいじゃろ。そして、精神を統一して、自分の体を何かなりたいものに変化させるようにイメージするのじゃ。そして『変化!』と念じてみ」


「はい、目をつむって、精神を統一して、なりたいもの、なりたいもの、なりたいものっと……………?なにがいいかな?」


「げろげろ、げろげろ、蛙になあれ」


「ルリ姉、へんなちゃちゃいれないの」


「ん~~~~何も思い浮かばないし、それでもいいや、『へんげ』!」




 ボン!



「ん?あれ?師匠、なにも変わってませんよ?」


「ん~?失敗じゃったか?」


「あー!スバルの手が!」


「あーほんとだ、ちゃんと変身してるじゃん」


「え?俺の手?あっ!指と指の間に薄い膜が張ってある!」


「ほう、水かきじゃな」


「………師匠、これだけですか?もっと完全に変身できないんですか?」


「まあ、最初はこんなもんじゃろ。これでも、泳ぐときには役に立つはずじゃぞ?あとは修行次第でもっと役に立つものに変身できるようになるかもしれんしの」


「はい!これからも頑張ります!」


「あー、それでの、元に戻すときは『なおれ』と唱えれば戻るはずじゃ。変化してる間は少しずつMPを消費するからの。ずっと変化したままだと魔力切れになって倒れてしまうから気を付けるんじゃぞ」


「はい、それじゃあ『なおれ』(ボン!)あ、元に戻った」


「やったねスバル!すごいじゃん、魔法が使えるなんて!」


「うん、ありがとう、テンちゃん。これで俺も魔法使いの仲間入りだ」


「いや、今ので魔法使いって言っちゃあ、本物の魔法使いに怒られるでしょ。だいたい、あんた魔法使い目指してたんじゃないでしょ」


「ルリ姉には男のロマンが分からないんだよ!魔法使いも男のロマンだよ!」


「まあ、魔法使いなら女の子でもロマンを感じると思うけどね」


「でも、ルリ姉は脳筋の武闘派でしょ?」


「脳筋は余計よ!まあ、私はこちゃこちゃ魔法なんか使うより、一発ぶちかます方が性に合ってるけどね」


「師匠、スペシャルアイテムのほうは何でしょうか、わくわく」


「うむ、スペシャルアイテムはこれじゃ」



『古びた木刀』



「え?これって、ずっと前から道場の更衣室の壊れたロッカーにほったらかしになっていた、ほこりまみれのぼろい木刀じゃないですか。稽古にすら使ってないやつでしょ?なんでこれがスペシャルアイテムなんですか?」


「ふむ、なんでかのう?」


「ええ~、師匠が選んでくれたんじゃないんですか~!」


「確かに今さっき、閃いてこれに決めたんじゃが、なんでこんなぼろい木刀を……………、ふ~む、しかしこの木刀、どこかで見たような…………」


「あれ、スバル、この木刀、柄のところになんか文字が彫ってあるよ?」


「どれどれ、ちょっとお姉ちゃんに見せなさい。何かしらこの木刀、何かまがまがしい気を感じるわ。それに、ところどころについているこのどす黒いしみは血の跡!ふむ、この木刀を持って構えると血のたぎりを感じるわ、ああ、木刀が血を求めている!今宵の贄はいずこ!」


「やだ気持ち悪い。んで、この文字は何て読むのかしら?こっちから読むと………なになに?ま~、ど~、か?まどか?」


「やだ、お母さんの名前じゃない」


「なんじゃと!まどかの木刀じゃと!確か裏山の祠に封印したはずなのに!いつの間にか魔封波が破られとったのか!」


「なにそれ、お母さんとなんか関係あんの?」


「それはの、むか~しむかし、お前らの母親のまどかがこの道場に通っとったころにの、まどかが使っとった、まどか専用の木刀じゃ。まどかはこの木刀で道場の兄弟子たちを叩きのめし、近隣の街の道場を次々と破り、果ては当時森に棲んでおったキングトロールをぶちのめして『トロール殺しのまどか』と呼ばれるようになったんじゃ」


「そういえば家のアルバムに、若いころのお母さんが倒れているでっかい魔物の上で木刀持ってふんぞり返ってる写真があったわねえ」


「あの頭から血を流して、体中血まみれでポーズ取ってるやつでしょ?お母さん、あれは若いころに村祭りで劇をやったときの写真だって言っていたよ?」


「嘘よそれ。お母さんは若いころ武闘派で手が付けられなかったっておばあちゃんから聞いたもん。お母さんの最後の二つ名は『血沼の鬼姫』だったそうよ」


「ぶるぶる、そんなのお母さんじゃない」


「あんたは末っ子で甘やかされてるからね。お母さんもあんたの前では優しい振りしてるし」


「振りじゃないもん!お母さんは優しいもん!」


「まあ、まどかも若いころに比べれば随分と丸くなったからのう。それも、お前らの父親の武彦君のおかげじゃて」


「そうそう、若いころ、お母さんに一目ぼれしたお父さんがお母さんを更生させたんでしょ」


「うむ、みなが匙を投げておった荒くれもののまどかを、武彦君がつきっきりで説得して改心させたんじゃ」


「まえにお母さんに聞いたんだけど、お父さんが付きまとって『人を傷つけるのはやめなさいって』言い続けたんだって。お母さんは、そのたんびにお父さんを半殺しにしたらしいんだけど、お父さんは何度ぶちのめされても次の日には体を引きずってでもお母さんの前に表れて、お母さんが乱暴なことをするたびに止め続けたんだってさ。それで、お母さんはしまいに本当にお父さんを殺しかけたんだけど、お父さんが『たとえ殺されても、君が乱暴なことをやめるまで化けて出るからね』って言われたんだって」


「ふ~ん、それでお母さんがようやくお父さんの真心に説得されたわけ?」


「それが、そうじゃなくってね。お母さんは当時、国一番の乱暴者と言われてたんだけど、唯一、苦手だったのがお化けだったのよ。それで、お母さんにさんざん殴られて顔をパンパンに腫らしたお父さんから化けて出るって言われて、この男なら本当に化けて出るかもしれないって思って怖くなったんだって。それから、お母さんはお父さんの言うことを聞くようになって、村に帰って結婚したんだそうよ」


「へ~、お父さんとお母さんにもそんな大河ロマンスがあったんだ」


「で、話を戻すと、この木刀はお母さんが若いころ、さんざん血沼を作った鬼姫愛用の木刀ってわけ」


「え~、何か、呪われたアイテムみたいに聞こえるんだけど~」


「安心しなさい、スバル。お母さんに倒された大勢の人の恨みがこもってるだけだから」


「それって絶対呪われてるよね!」


「でも、ただの木刀でしょ」


「試しに振ってみなさいよ」


「じゃあ貸してみて……なにこれ!なんで木刀がこんなに重いの!」


「まどかのやつが、中に鉄線か何かを仕込んで威力を上げたんじゃよ。おまけに魔力をつぎ込んで壊どんなに硬いものを叩いても壊れないようにしたんじゃ。おかげで、木刀なのに岩を殴ると岩の方が割れるようになったんじゃ。もっとも、そんな芸当ができるのはまどかだけじゃがの」


「まさに殴打用の武器ね」


「どこのヤンキーですか」


「こんなのスバルに持たせられないよ」


「誰かがまどかの真似をするといかんと思って、祠に隠しといたんじゃがのう」


「人の願いを裏切ってこの世に忍び出るのが呪いのアイテムってものよ」


「もうすっかり呪いのアイテムだよね。俺、こんな恐ろしいもん使えるのかな」


「大丈夫だよ、スバル!あんたが呪われて村一番の乱暴者になったら、あたしがお父さんみたいにつきっきりで更生させてあげるから」


「なんでそんな危ないものを使わなきゃいけないんだよ」


「まあ、威力は申し分ないし、今のスバルには刃物よりこういう殴打系武器にの方がむいとるじゃろ。長いこと祠にお供えしといたから、まどかの呪いも少しは薄らいどるじゃろし」


「おじいちゃん、お母さんを呪われた魔女みたいに言わないで!」


 こうして、俺は魔法と呪われたスペシャルアイテムを手に入れたのであった。


 だが、この時俺は、この呪われた木刀の本当の恐ろしさをまだ分かっていなかった……………。


                                          つづく




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