よっぱらいと子犬
「よっぱらいで~す、よっぱらいやってま~す」
だれもいない夜道をみきえがよろよろしながら叫ぶ
酔っているせいで頭の中も過激になっている
・・あいつら・・若い医者らが急患ができたって帰ったら一気にお開きにしようと
しやがって!・・ハハハハ、ひきのばしてやったぜっ!・・おかげでこんなに
飲まされたけど・・・と道に落ちていた空き缶をけとばす
空き缶がころがる音が響き渡る
「すいませ~んよっぱらいなもんでぇ~」と誰もいない夜道であやまる
ふらふらよたよた歩く、やっと家までたどり着く、そして・・・
「・・・ん?」家の門のそばにある小さな箱に気づく
「あ!箱だぁ!なんだろ?なんだろ?」とよっているせいか無防備に箱にちかづき
ふたを開けようとする
「なんだろな~?プレゼントかな~」と開くと・・・
「「ギャッ!」なにかが飛び出してきた
みきえがうしろに倒れこむ、その物体がみきえの顔の上にのっかる、ハッハッハッと
小刻みな呼吸音が耳元で聞こえ、なにやら毛玉っぽいものが顔に触れる
・・だめだ・・殺される・・・死ぬ・・とあわてたみきえが目を見開くと
「え?・・・・犬?」子犬が顔にのっかっている、顔にくらべて耳が大きい、
顔は白、目と耳の部分が茶色な子犬
子犬を両手でつかみ起き上がる、つかまえられるとおとなしくなりじっとこっちを見る
つぶらな真っ黒なボタンのような目、みきえは思わず「か・・・かわいい~」とふにゃっ
とした声でささやき子犬をだきしめる、そしてそのまま「お家、入ろっか」と子犬を
だいて家の中に入っていった