不審者と箱
その日もみきえは仕事をぬけてまどかのお迎えに、まどかを家まで送る途中、
まどかはお母さんと一緒でうれしそう、軽くはずみながら歩く、しかしみきえの
足取りは重かった
今は月初めで忙しい時期・・・そろそろ迎えをなんとかしないと・・・
「あ・・あのさぁ・・まどか」とみきえが話を切り出す
「ん?な~に?」あいかわらず間延びした返事がかえってくる
「お母さんさぁ、今、仕事忙しいんだ、だから・・」
「なんで~、忙しいの?」
「月初めでしょう、レセプトがあってさ」
「レセプトってな~に?」
「・・・・う~ん・・ま、診療報酬の請求書?・・かんたんに言えば請求書を作るってい
か・・・計算をするっていうか・・・でさ」
「ふ~ん・・・わかんな~い」
「いや・・だから・・」と言いかけた時二人の横を変な姿の男が越して行った
両手に箱をかかえてサングラスをした黒っぽい服装、あたりを見回しきょろきょろ
しながら歩いている
「うわ~、なんか変な人」とまどかがおびえたように「不審者!不審者だよ、あの人
やっぱ、だから一人でなんか帰るのムリ~」
「シッ!聞こえるって!」とみきえが声を小さくして注意する
しかしこれでみきえは話の続きが言えなくなった
まどかを家まで送りダッシュで職場に戻る、この時みきえは家のそばに置かれて
いる不審な箱には気づかなかった
「みーきーさーん」受付にもどると例のトリオが声をかける
・・・こんどは何?・・・
「ねっ!今夜、飲み会があるんだけどこない?」
「えっ!」・・今夜は残業もあるのにそれが終わってから?・・てか、なんて元気なんだ
この人たち・・
「・・すいません、今日はちょっと・・帰らないと・・」と断ろうとすると3人の
中の一番年上が「あなたがこないと!大学の若い先生も行きにくいって言うから!」
と付け加える
・・・そ、そのため?・・これでは断りにくい
「わかりました!行きます!行けばいいんでしょう!絶対、行きます!」
と3人があっけにとられるくらいやけくそぎみに返事をした