絶対おかしい!
「ただいま~」
疲れ切ってふらつきながら家に帰ってきたみきえがリビングに入ると、あかりと
まどかがテレビを見ていた。二人とももうパジャマ姿でくつろいでいる
「あ、おかえりー」夜中なので少し小さな声であかりが返す
「ごめんね、遅くなって、ごはんは?食べた?」
「こんな時間だもん、食べたに決まってるじゃん」
みきえが洗い場を見る、カップラーメンの食べかすが散乱している
ろくにごはんも作ってやれないな・・・とみきえがさみしく思った時、まどかが
立ち上がり「さっ、寝~よっと、おやすみ~」と階段を上がって行った
「うん、おやすみ」とみきえが返す、そして買い物で買ってきた食べ物を整理し始める
「じゃあ、わたしも寝るね」と立ち上がったあかりがみきえを見て不思議に思う
みきえが料理を始めようとしている、肉や野菜を準備している、もしや・・・
「これから・・作んの?ごはん」
「え?う、うん・・」みきえがきまずそうに返事をする
「もしかしてお兄ちゃんのごはん?」
「う・・うん・・」
「・・・おかしい・・・それ」あかりが少し低い声でささやくようにつぶやいてから
「一日学校行ってるわたしたちがカップラーメンで家にずっといるお兄ちゃんが
ちゃんとしたごはんを食べるなんて・・・」
「そ・・それはそうだけど、あの子・・なにも食べてないし・・・」
「おかしい!絶対おかしい!」あかりが叫ぶ
「だって・・しょうがないじゃない」
「絶対おかしい!おかしいよ、こんなの!」とあかりがさけびながら荒々しくいすをけっ
立ち上がり階段を上がって行く
・・・・・
「おかしいって・・わかってるよ・」とみきえがぽつんとつぶやく、そしてそばにある
背の高い棚を見つめる、そこには亡くなった夫の写真が飾ってある、満面の笑みを
でピースサインをしている夫の写真が、