獣医になる!
学校の帰り道
あかりが携帯をいじりながら帰っていると
むこうから黒い大きな犬を連れた白衣の男が歩いてくる
みるからに凶暴そうな犬、白衣の持っているリードをぐいぐい引っ張っている
目の前まで来た時、男の手からリードがはずれる、黒犬が猛然とあかりめがけて
走ってきた
あかりの前までくると、吠える、いまにも飛びかかるように激しく吠えまくる
しかし・・・あかりは怖くない、この犬の言ってることがわかる
オイ!オマエ!オレニサワレ!アタマデモサワッテイカンカイ!サワレ!
あかりがあきれたようにためいきをつきハイハイとしゃがんで黒犬の首すじの
あたりをなでる
黒犬はおとなしくなり気持ちよさそうに目をつぶった
白衣がちかづき「ほう、この犬にほえられて動じないとはたいしたもんだな」と
横柄な口調で言った
「わたし・・・犬の気持ちがわかるんです」この際だといままでだれにも
言ってない不思議な力について打ち明けてみる、が、言った後で後悔する
・・・なんでこんな怪しい白衣に言っちゃたんだろう・・どうせ信じてもらえ
ないし・・・
「・・・・ほう、そりゃあすごい能力だ、うらやましいぜ」
「え?・・それだけ?・・うそとかありえないとか・・思わないんですか?」
「世界は広い、そんなやつがいてもおかしくねぇだろ」
なんかうれしい、信じてもらえて・・うれしくなりついでに聞いてみる「あの・・・獣医
さんですか?」
「見りゃあわかんだろ、獣医だ、ダンサーに見えるか?」
「あたし・・獣医になりたいんです・・なれますか?」
「・・・・なれんじゃねぇの?」
「勉強、いまいちなんですよ、なれますか?」
「・・・おれでもなれたんだ、なれんじゃねぇの」
「ほんとに・・ほんとに、なれますか?」
「ああ・・・なれんだろ・・がんばりゃあな」
「じゃあ・・・がんばります!わたし・・がんばって獣医、なります!」




