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MY DOG  作者: pureko
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島村さんとクリスティーヌ

「ほう、わりとちゃんと飼い主やってるみたいだな」



2回目の予防接種に行くと天地先生がレセプトを診て言った



あいかわらず高飛車な言い方・・・・



「最近、子供も手伝ってくれて、レセプトもうれしそうです」



「ま・・犬がどう思ってるかしらんが、がんばるんだな」



「はい!」



診察室を出て待合へ、めずらしく待ってる患者さんがいる



初老の紳士が小さな犬を抱いて待っている、どこかで見たような・・・・



あ!   島村さん!



むこうもこっちを見て驚いた顔をして「おや?・・あなたは・・・たしか、病院の?」



ここまで来て逃げるわけも行かず「はい、受付の・・はい・・三木です」と恐る恐る返す




「そうですか・・あなたも犬を飼ってるんですか」と島村さんがいままで聞いたことがないくらいの


おだやかな口調で聞いてきた



「はい、わたしが飼ってる犬、レセプトっていいます」とレセプトの頭を無理やりをおじぎを


させるように下げる



「ほう、これは若いパピヨンだ」



「島村さんの・・・お犬さまは?」



みきえの変なしゃべりかたに苦笑しながら「ハハハ、うちの犬は結構な歳でね、もう15歳、


おばあさんだ」



「15歳?」



「ああ、白内障でもう眼もあまり見えないみたいでね、ずっと病院通いだ」




みきえが島村さんの犬をじっと見て「あ、眼が白く濁ってる」



「眼だけじゃないよ、腎臓も悪いみたいでね、大変だよ、だからこの犬が生きてるうちはがんばって


生きようって、ま、いい生きがいになってるよ」



・・・・そうだったのか・とみきえが思い「わたしもこの子を見てると元気になれるんです、いやな


ことがあっても、見てるだけで忘れるし、いやされるし、きゅっとだいてるとねむくなるし、なんか


明日もがんばろうって思えるし・・・」



一生懸命に話すみきえを見て島村さんが



「三木さん・・・あなた・・・今、いい表情をしている」



「え?」



「その笑顔でいつも受付にいればいい、仕事なんかできなくてもいい、その笑顔を絶やさずいるだけで


あなたは最高の受付係だ」



・・・みきえの胸にじんとくるものがあった・・・その時



「島村さん!島村クリスティーヌさん!どうぞ!」と診察室から声がする



島村さんがあわてて「あ、呼ばれたみたいだ、じゃあ、また、病院で・・ね」とそそくさと診察室に


入って行った



クリスティーヌっていうんだ・・あの犬・・



島村さんのキャラに似合わない犬の名前にくすっと笑いがこみあげた












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